エゴマとは?
エゴマの基本情報

エゴマはシソ科に属する一年草で、日本各地で古くから親しまれてきました。特に東北地方では「じゅうねん」や「じゅね」と呼ばれ、地域の郷土料理に欠かせない存在です。見た目はシソの葉に似ていますが、香りや味わいは異なり、独特の風味を持つのが特徴です。エゴマは、葉・種・油とすべてが食材として利用できる万能植物として知られています。
葉と種の特徴

エゴマの葉は大ぶりで柔らかく、韓国料理ではサムギョプサルのように肉やご飯を包んで食べることでも有名です。ほんのりとした苦味と香りがあり、漬物や和え物にしてもおいしく食べられます。
一方、種子は小粒で淡い褐色をしており、すりつぶしてふりかけや和え物に加えたり、みそ汁の具材にするなど幅広く利用されます。さらに、種子から搾油されるエゴマ油は、オメガ3脂肪酸のαリノレン酸を豊富に含むことで注目を集め、健康食品として広く活用されています。
ゴマとの違い

エゴマという名前から、ゴマと混同されることも少なくありません。しかし、両者はまったく別の植物です。ゴマはゴマ科に属し、黒ゴマや白ゴマといった種子を食用にするのに対し、エゴマはシソ科で、葉や種子、油など幅広い形で利用されます。
また、栄養面でも大きな違いがあります。ゴマはセサミンをはじめとする抗酸化成分が豊富なのに対し、エゴマの最大の特徴はオメガ3脂肪酸のαリノレン酸を多く含んでいる点です。この違いが、健康食品としての注目度をさらに高めています。
健康食品として注目される理由
エゴマの油分は約6割がαリノレン酸で占められており、これは体内でEPAやDHAに変換される必須脂肪酸です。
血中脂質の改善や生活習慣病の予防、脳の健康維持などが期待されるほか、美容やダイエットにも効果があるとされています。さらに、花粉症やアレルギー症状をやわらげる可能性についても研究が進められており、幅広い層から関心を集めています。
エゴマの食べ方・調理方法
葉で肉やご飯を包む

エゴマの葉は、その豊かな香りとほんのりした苦味が特徴で、韓国料理などでも使われます。冒頭でもお伝えしたように、肉やご飯を包んで食べるサムギョプサル風の使い方は定番です。また、しょうゆ漬けにしておけば、ご飯のお供やちょい足しトッピングとして重宝しますし、刻んで冷奴に乗せたり、和え物に活用したりするのもおすすめです。
香り成分のペリラケトンやエゴマケトンには防腐作用や、肉・魚の臭みを和らげる効果があるため、臭み対策にも便利です。
実をふりかけのように使う

エゴマの実(種子)は、プチプチした食感と香ばしさが魅力。ふりかけに使えば、ご飯のアクセントになります。みそ汁に直接ひとつまみ加えるだけでも風味豊かに。
伝統的には、地方によってエゴマもちなど和菓子に使われることもあります。隠れた活用例として、すり鉢ですりつぶし、塩だけのシンプルなタレとしてそばやうどんにかける方法があります。
油として活用する

エゴマ油は、サラダやスープ、納豆や卵かけご飯など、食材の上からかける使い方が一般的で、手軽にオメガ3脂肪酸を補えます。オメガ3脂肪酸のα-リノレン酸は熱に弱いため、加熱せずそのまま使うのがベストです。
みそ汁に加える程度の間接的な加熱は許容されますが、炒め油の代用などの加熱調理には不向きとされます。
エゴマの栽培方法

栽培に適した環境
エゴマはシソ科の一年草で、東南アジアを原産とする丈夫な植物です。日当たりがよい場所を好みますが、半日陰でも十分に育ちます。背丈は1メートル以上になるため、家庭菜園で育てる際は植え付け場所やプランターのサイズに注意が必要です。
乾燥しすぎると葉が硬くなりやすく、過湿では根が傷むため、水はけがよく適度に湿り気を保つ環境が理想的です。シソと交雑しやすい性質があるため、シソ科植物とは離して植えるのがポイントです。
土づくりと肥料
畑で育てる場合は、植え付けの2週間前に1平方メートルあたり100グラムの苦土石灰を施して土壌を中和します。1週間前には1平方メートルあたり堆肥(たいひ)2〜3キロ、化成肥料50〜100グラムを混ぜ込み、畝を高さ10〜15センチほど作っておきます。
エゴマは肥料を吸収しやすい植物で、過剰に与えると草丈ばかりが伸び、葉が硬くなるうえ病害虫の被害も増えます。そのため、元肥(もとごえ)を少量与える程度に抑え、追肥は基本不要と考えるのがコツです。プランター栽培では市販の野菜培養土を使用すれば十分で、特に肥料を足さなくても問題ありません。
種まきと苗の植え付け
種まきの適期は5〜6月で、発芽適温は20℃前後です。エゴマの種は好光性種子(こうこうせいしゅし)なので覆土は1〜2ミリ程度に薄くします。まく前に一晩水に浸けると発芽がそろいやすくなる点もポイントです。芽が出たら本葉4枚の頃に間引き、最終的に株間30〜40センチを確保します。プランターでは60センチ幅の大型プランターに2〜3株が適当です。
市販の苗を購入する場合は、4〜6月頃に出回るものを選び、茎が太く葉色が濃い株を選ぶと失敗が少なくなります。植え付けは曇りの日や夕方に行い、作業後はたっぷりと水を与えてください。
日常の管理と水やり
エゴマは水切れに弱いため、特に夏場はこまめな水やりが必要です。畑の場合は基本的に雨水で育ちますが、梅雨明け以降の乾燥期には朝か夕方に追加の水やりを行いましょう。プランターは乾燥しやすいため、土の表面が乾いたらたっぷり与えるのが基本で、真夏は朝夕2回の水やりが安心です。
根元に敷きわらや腐葉土でマルチングをすると乾燥防止に効果的です。草丈が30センチを超えたら摘心(てきしん:先端を摘み取る作業)を行い、枝数を増やすと葉の収穫量が大幅にアップします。
収穫のタイミング
葉は本葉が10枚以上になった頃から下葉を中心に収穫できます。こまめに摘むことで風通しが良くなり、病気予防にもつながります。夏の間は次々と新しい葉が生えてくるので、6月下旬から9月にかけて繰り返し収穫できます。花穂がつくと株の栄養が実に集中し葉が硬くなるため、葉を長く楽しみたい場合は花穂を早めに摘み取ると良いでしょう。
種子の収穫は10月頃、莢(さや)が茶色くなり始めたタイミングが適期です。刈り取った株を1週間ほど乾燥させ、脱粒して保存します。収穫が遅れると自然に種が落ちてしまうため注意が必要です。
害虫と病気の対策
エゴマは比較的丈夫ですが、アブラムシ、ヨトウムシ、ハダニなどが発生することがあります。特に葉が茂りすぎて風通しが悪いと害虫が増えやすくなるため、間引きや摘心で通気性を確保するのが予防の基本です。
病気ではさび病や青枯病(あおがれびょう)に注意が必要で、発病株は早めに処分し拡大を防ぎます。肥料を与えすぎない、雨で土が過湿にならないよう排水を工夫することが最大の予防策です。必要に応じて食品成分由来の園芸用資材を活用するのも有効です。
まとめ
エゴマは、古くから日本の食文化に根付いた植物であり、近年はオメガ3脂肪酸のαリノレン酸を豊富に含む健康食品として改めて注目を集めています。葉は香りや苦味を生かして包み菜や漬物に、実はふりかけやみそ汁に、油は非加熱でサラダやスープにと、形を変えて幅広く利用できるのが大きな魅力です。
ぜひこの機会にエゴマを取り入れてみましょう。















