裂果に強い黄化葉巻病耐病性ミニトマト品種「ロイヤルパッション」

抑制栽培のミニトマトは残暑が厳しい9月頃から収穫が始まりますが、近年の猛暑により夏から秋にかけての生産環境はさらに厳しさを増しています。高温期には草勢が弱まり花数が減少するうえ、花粉の稔性(受精能力)が低下することで着果不良や小果化が増え、収量が落ちやすくなります。さらに、果実が割れる(裂果)、軟らかくなる(軟化)といった品質低下も起こりやすく、結果として年内の出荷量や品質が不安定になり、市場価格にも影響を与える大きな課題となっています。
黄化葉巻病耐病性を持つミニトマト品種「ロイヤルパッション」は、高温期でも着果性と果実肥大性が安定し、裂果の発生が極めて少ないのが特長です。草勢はやや強くスタミナがあるため、栽培後半まで収量が落ちにくい点も魅力。
さらに、果実はツヤがあり濃く鮮やかな赤色で、甘味と酸味のバランスがよい食味に加え、軟化玉が出にくいため、出荷時だけでなく流通・店頭での見栄えや棚持ちのよさにもつながります。

■調査場所:静岡県 ■調査日:2025年3月14日※当社調べ
ミニトマトは収穫作業のほとんどを手作業で行うため、労働力の確保が難しい昨今においては作業性も重要です。「ロイヤルパッション」は、下段から花数が適度で摘花作業が軽減でき、節間が短いので、樹の高さを調整するつるおろし作業など誘引作業の頻度を軽減することができます。また、1枚1枚の葉の長さ(茎から葉先まで)が短く、葉が立つ開張型のため、果実への採光性がよく、薬剤散布作業の負担軽減にもつながります。

■調査場所:静岡県 ■調査日:2025年3月14日※当社調べ
「ロイヤルパッション」は、こうした特性から作業性や収量性の改善が期待できる品種です。では、実際の生産現場ではどのように評価されているのでしょうか。
ここからは、実際に栽培された生産者の声をご紹介します。
「完熟収穫でも別格に裂果しない」 ミニトマト生産者 平野晴三さんの評価
熊本市から南、有明海と八代海を分断するように突き出る宇土半島。遠浅の海を埋め立てた干拓地の一角に、平野晴三(ひらのはるみつ)さんのハウスはあります。目の前が海という土地だけに、塩分を含まない水の確保には苦労してきました。
ミニトマトの栽培歴は、父親の代から続いて30年以上。しかし地下水を利用できないので、思うように灌水ができず、収量を上げる栽培方法はなかなかできませんでした。
そこで、完熟した実を収穫することにこだわり、味を乗せたミニトマトをスーパーの直売コーナーなどに出荷、高単価で販売する方向を狙って経営してきました。

食味重視で必ず真っ赤に完熟させてから収穫する平野さん
完熟収穫は、もろ刃の剣です。真っ赤に完熟した実がおいしいのは、ミニトマト農家なら誰もが知ること。しかし、熟せば熟すほど実は割れやすくなり、ロスが多くなります。
「裂果に強いと聞いて作り始めた品種が、半分くらい裂果して、ほとんど出荷できなかった」
そんな苦い経験もあるという平野さん。一つの畝に5、6品種植え、比較試験をして、理想の品種を何年も探し求めてきたそうです。
そして3年前、付き合いのある種苗店に「最近いい品種ない?」と尋ね、教えてもらったのが「ロイヤルパッション」でした。県内で試験栽培を始めていた農家のハウスを見学して、手応えを感じて導入したのが一昨年のことです。
「作ってみたら、品種でこんなにも変わるんだと驚きました」と当時を振り返る平野さん。それまで作ってきたどんな品種よりも、「ロイヤルパッション」は完熟収穫しても格段に裂果が少なかったのです。

「ロイヤルパッション」(左)は他品種(右)と比べて発色も鮮やかでテリもよい
もう一つうれしかったのは、ヘタの姿です。
「ミニトマトは、ヘタも商品の一部。完熟収穫にこだわると、品種によっては収穫後すぐにヘタがしおれてしまい、商品価値がガタ落ちします。でも『ロイヤルパッション』は、ヘタが全然しおれないんです」
いろんな品種の実を収穫して並べ、何日でヘタがしおれてくるか比べてみたという平野さん。すると「ロイヤルパッション」が別格でしおれにくく、5日間置いてもピンとしていたそうです。

ヘタがピンと立ってしおれにくい「ロイヤルパッション」
いくら裂果しにくく、ヘタがしおれにくくても、直売で肝心なのは味です。その点も、「ロイヤルパッション」は肉厚で食感がいいうえに、作り方次第で味も乗り、糖度も8度前後まで十分上がりました。しかも草勢がよくて収量は安定し、摘果なしでも玉ぞろいはよく、病気も出にくくて作りやすいと絶賛。
「来年からは、全部『ロイヤルパッション』にします。もうちょっと早く発表してくれればよかったのに」と笑う平野さんでした。

「秀品率は高いし、歩留まりがいい」という平野さんの「ロイヤルパッション」
平野さんの実感を裏付けるように、試験でも「ロイヤルパッション」の強さが明確に表れています。
データが示す「ロイヤルパッション」の果実特性
「ロイヤルパッション」は、高温環境下における着果のよさに加え、果肉が厚く、裂果の発生が極めて低い品種です。肉質がしっかりして、輸送中の品質劣化が少ないため日持ち性にも優れています。収穫後9 日までの日持ち検査では、果皮の割れへの強さを表す果実外側硬度試験(図1)、果肉の硬さを調べる果肉硬度試験(図2)ともに品質劣化が少ない結果となりました。

果肉幅が厚く、果肉比率も高い結果となり(図 3)、図 1~図 3 などが示す総合的な果実の特性から、「ロイヤルパッション」は割れの発生率が極めて低い試験結果も得られています(図4)。

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(文・写真:依田賢吾/編集・写真一部提供:サカタのタネ)
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