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条件の悪い畑で作物を栽培するには? それぞれに相性のいい作物や工夫するポイントを解説

伊藤七

ライター:

連載企画:ずぼら女子の半農半X

条件の悪い畑で作物を栽培するには? それぞれに相性のいい作物や工夫するポイントを解説

日当たりが悪く、水はけも良くない土地で畑を始めてから1年が経ちました。条件の良い土地で作物を栽培していた頃に比べると、ミニトマトが実りにくかったり、冬の野菜がまったく育たなかったりと、上手くいかないことが多いです。
しかし、ずぼらな性格をしている私にとって、木を切って日当たりを改善することや、水はけをよくするために抜本的な改善をすることは敷居が高いです。
今年は「この土地でも良く育つ作物」に絞りながら、収量も諦めずに農作業をしていけたらと考えています。本記事では、条件の良くない土地で栽培する鉄則について私の体験談に基づきつつ、農業を生業としているFarm Saludの坪谷真実(つぼや・まみ)さんからのアドバイスを交えて解説します。

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坪谷さんプロフィール

2021年に南房総に移住し農業を開始。年間約100種類程の野菜やハーブ、果樹、キノコを不耕起で栽培、養鶏も営み、自家採種にも取り組む。
https://www.instagram.com/farm.salud_regen.ag

作物がよく育つ畑の基本条件とは

間引き大根

条件の良い畑ではもりもり育った大根

そもそも作物がよく育つ畑はどんな畑か?という点ですが、主には以下の要素が挙げられます。

● 土壌の状態が良い(ふかふか、栄養がある、微生物が豊かなど)
●日当たりがよい
●水の管理ができる

栽培方法によらず、土壌はふかふかで栄養があり、微生物やミミズが豊かだと作物がよく育つのはイメージできると思います。日光が十分でなければ光合成が十分なされないことや、水の過不足があると作物が育たないことも小学生時代に理科の授業で習いました。

しかし実際には、良い条件を満たす畑を持つことが難しい場合もあります。そんな場合でも十分な収量を確保しながら畑を楽しむ方法の一つが「その土地でも育つ作物に絞ること」です。

次の6つの観点から、条件の悪い畑でも作物を収穫するためのコツを考えます。

●痩せた畑
●日当たりが悪い畑
●水はけが悪い畑
●動物が多い畑
●面積が狭い畑
●こまめに畑に行けないので放置してしまう

痩せた畑

小さなさつまいも

小さなさつまいもばかり

痩せた土地とは、栄養分が十分ではない土地のことを指します。一般的に「畑には窒素・リン・カリウムが必要だ」と言われますが、環境や栽培方法のこだわりによっては、すぐに豊かな畑にはできない場合があります。

おすすめの作物

痩せた土地でも育つと言われる代表例は、芋類や豆類です。ほとんど耕していない場所にじゃがいもを植えた友人も、十分な収量がありました。

逆によく肥えた土地にさつまいもを植えた経験がありますが、ツルばかりが成長して実は小さかった記憶があります。これは「つるぼけ」と呼ばれる状態で、肥料が多すぎる場合などに起こるようです。

おすすめできない作物

トマトやナスなど実がなる作物は、痩せた土地では十分に育たないようです。確かに痩せた土地では、ミニトマトの実の量がやや少なかったように思います。

坪谷さん

痩せている土地で今すぐに野菜を作りたい、特にトマトなどの果菜類を作りたいという場合は、苗を植える場所に大きめの穴を掘り藁や堆肥などを詰めておくのがおすすめです。目安は、半径15cm、深さ30cm程。

イメージとしては、プランターを土に埋め込んだ感じです。畑全体の土壌改良をするのは時間がかかり難しいですが、スポットで改良することは案外容易です。

今すぐ作物を植えるわけではない場合は、1年間ほど緑肥を育てると土壌が大きく改善されます。おすすめは、イネ科とマメ科の混ざった緑肥MIXです。刈り込みを何度か繰り返すことで刈った草が枯れ、炭素源として土壌微生物の餌になります。また、刈り残された草(まだ地に根を張っている部分)は新たな根を伸ばして再生を続けるため、植物は育ちながら土壌も改善されるという効果が期待できます。

日当たりが悪い畑

自生する植物

日当たりの悪い場所でも自生する植物

日当たりとは、文字通り日光の当たり具合のことです。日陰や半日陰でも育つ作物もありますが、基本的には日当たりが十分あった方が様々な作物が育ちます。

おすすめの作物

みつば、みょうが、レタス、小松菜、春菊などは日当たりが悪くても育ちやすいようです。日当たりの悪い場所でもみつばやクレソンが自生しているのを見かけたので、そういった植物は日陰でも十分育つのでしょう。

おすすめできない作物

トマト、ナス、ピーマン、カボチャなどの夏野菜は、日当たりが不十分だとなかなか育たないようです。

坪谷さん

セロリやシソなどの葉物は、むしろ日当たりが良くない場所の方が柔らかくできて美味しいです。ショウガも半日陰で育てる野菜として有名です。

また近年、真夏は猛暑日が続くので、日向を好む野菜でも日当たりが良くない場所に植えておいた方が元気な場合もあります。しかし、光合成をしっかりさせることは重要なので、日陰に植える場合には株間を広めに取って、株同士や葉同士の重なり合いがないようにしてあげるのがコツです。

水はけが悪い畑

しそ

日当たり・水はけの悪い場所でも育つしそ

かつて田んぼだった土地や、畑の下層が固い土地は水はけが悪い傾向にあります。高畝にする、排水の道を作る、資材を混ぜるなどの改善方法が一般的です。

おすすめの作物

里芋やしょうが、枝豆、空心菜などは水はけが悪くても育ちやすいようです。私はシソやハーブを育てましたが、水はけが悪くても問題ありませんでした。

おすすめできない作物

トマト、ピーマン、にんにくなどは育ちにくいようです。

私は以前、そもそも水はけの良くない土地で、斜面のもっとも下に位置する畝で落花生(おおまさり)を栽培しました。収穫期に掘り起こしてみると、半分ほどが腐った状態でした。せめて斜面の上の方で栽培すべきだったと思っています。あまりにも水はけが悪いと、土に埋まった部分が腐るのかもしれません。

坪谷さん

水はけが悪くても育つような「その地にあった作物」を育て、徐々に土壌改善をしていくといいと思います。

動物が多い畑

とうもろこし

すぐに動物に食べられてしまうとうもろこし

里山や山間部では、イノシシやシカ、サルなどが出ます。基本的には柵を張り巡らせるような対策が必要ですが、柵を飛び越えてくる場合もあるため、動物から食べられにくい作物を栽培するのも一つの手です。

おすすめの作物

香りの強いものは食べられにくく、シソやネギ、にんにく、唐辛子、ハーブなどは育てやすい印象です。

おすすめできない作物

特に食べられやすかったのは、トウモロコシ、じゃがいも、豆類、トマトです。トウモロコシは、実がつきはじめたそばから食べられ、また風によってすぐに倒れるので、ずぼらな私にはやや難しい作物だと感じています。

トマトは完熟した瞬間にサルに食べられました。美味しいタイミングを分かっているようです。

そのほか、果樹は動物や鳥類に食べられやすい印象です。「クマを寄せ付けないために柿の木を切った」という方の話も聞くほどです。

坪谷さん

私の農園でも柵なしで何年か栽培を続けましたが、イノシシの再来が激しく、何も植えていない場所でも土を掘りかえすので、ワイヤーメッシュを張り巡らしました。

柵以外のサル対策としては、畑の近くに車を停めておくことで、人間がいるように見せかけて追い払うという方法を聞いたことがあります。

それでも、毎日車の停める位置や向きを変えないとすぐばれてしまうトリックだそうです。

面積が狭い畑

おくら

縦に伸びるおくら

庭や市民農園の一画など、小さな面積で畑を楽しむ場合もあると思います。小さな面積でも複数の品種を栽培できた方が楽しいのではないか、という前提で考えました。

おすすめの作物

収穫のサイクルが早い作物や縦に伸びる作物は、面積が小さくとも楽しみやすいでしょう。ハーブやシソ、カブ、ミニトマト、ゴーヤなどは小さな面積でも楽しめるように思います。

おすすめできない作物

収穫のサイクルが遅い作物や地面を這いながら成長する作物は、面積が小さい場合にはあまりおすすめできません。

収穫のサイクルが遅い作物の例として、アスパラガスや里芋、菊芋、にんにく、かぼちゃ、ネギなどが挙げられます。収穫までに半年以上かかるような作物は、土地を長時間占領し続けるのでおすすめできません。

地面を這いながら成長する作物には、かぼちゃやスイカ、メロンなどがあります。これらを植えると畑全体を葉や蔓が覆ってしまうので、面積の小さな畑で栽培するには適切とは言えないでしょう。

坪谷さん

植えたい作物の樹形も考慮すると小さな面積を有効活用できます。例えば、オクラがある程度大きくなったら、株もとに地を這うかぼちゃを植えることで、同じ面積で2つの作物を栽培することができる上、オクラをかぼちゃがマルチしてくれる効果もあります。

ネギはスペースを必要としないため、ナスやピーマンの株もとに植えることも可能です。トマトの株もとにレタスを植えることで、少ない面積でも多様な作物の栽培が可能になります。

なお、小面積での栽培を最大化する場合、「縦の構造を増やす」という考え方もおすすめです。例えば、害獣対策に設置したワイヤーメッシュに沿ってキュウリやゴーヤ、インゲンを生やすこともできます。

こまめに畑に行けないので放置してしまう

ゴーヤ

小さめで収穫しても美味しかったゴーヤ

「家から離れたところに畑がある」「仕事が忙しいので週末しか世話できない」という方もいると思います。手入れが比較的簡単な作物を選ぶのも一つの手です。

おすすめの作物

手入れの必要があまりなく、収穫時期がズレても美味しく食べられる作物がいいのではないかと思います。シソ、さつまいも、ツルムラサキ、春菊、かぼちゃ、ミニトマト、ゴーヤ、ハーブ類などはおすすめです。

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おすすめできない作物

こまめな手入れが必要なものや、収穫時期がズレるとすぐに味が落ちる作物はあまりおすすめできません。

手入れが必要な作物としては、キャベツや白菜、ナス、いちごなどがあります。虫がつきやすいので、虫がついた状態で放置すると悲惨なことになります。

収穫時期がズレるとすぐに味が落ちる作物は、カブやきゅうりなどがあります。オクラは収穫時期を1日逃すだけでも筋が入って食べられなくなるので、難しいかもしれません。ちなみに、丸いおくらは筋が入りにくいので、ずぼらな方には角オクラより丸オクラの方がおすすめです。

頻繁な水やりが必要なにんじんも、ずぼらな人にはややハードルが高いかもしれません。

坪谷さん

収穫頻度の問題もありますが、夏は雑草の問題もあります。草の生えやすい時期を把握し、カバークロップなどを活用したリビングマルチを取り入れるのもおすすめです。

※カバークロップ(被覆作物)は、主作物の収穫後や栽培期間中に土壌を覆うために栽培する植物(ライムギ、ヘアリーベッチなど)の総称

もし株数があまり多くない場合は、底を抜いた素焼きの鉢に土を詰めて畑に置き、そこに苗を植えると雑草に埋もれにくく作物を見つけやすくなります。

さいごに

条件があまりよくない場所で畑をやるのは、農家さんや農作業に慣れた人にとってはありえないことなのでは、と少し心配していました。しかし高島さんのお話を聞いてみると、小さい範囲で土壌改良できることや近年の猛暑ではむしろ日光が当たりすぎない方が良いことなどが分かり、希望を感じられました。緑肥を植えたり、土地に合う作物を探したり、の構造を意識したりしながら、今後も実験を続けていきたいです。

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