ポテトバッグとは
ポテトバッグはジャガイモを袋栽培するための培養土です。
袋栽培とは、プランターや植木鉢を使わずに、培養土が入った袋のまま育てることです。見た目はポテトチップスの袋そっくりですが、横が30センチで縦が50センチほどあり、巨大です。

ポテトバッグから葉が伸びたジャガイモ
ポテトバッグの開発
ポテトバッグは、ポテトチップスを販売するカルビー株式会社と、家庭園芸用の培養土を販売する株式会社プロトリーフの共同開発商品です。見た目はまるで巨大なポテトチップスでバラエティーグッズみたいですが、中身はちゃんとした園芸メーカーが製造しています。

ポテトバッグ黄色パッケージ
ポテトバッグの原料と捨て方
ポテトバッグに使われている培養土は、ココヤシといってココナッツの殻を粉砕したものです。ココヤシは植物性なので、自治体にもよりますが使用後は燃えるゴミとして捨てることができる場合が多いです。また、使用後は廃棄せずに、リサイクルして他の野菜や花の栽培に再利用できます。

ポテトバッグの中身のココヤシ
種芋ぽろしり
ポテトバッグとセットで、ジャガイモの種芋「ぽろしり」も販売されています。ぽろしりはカルビーのポテトチップスに使われている品種。つまり、収穫したジャガイモを使えば、あのカルビーポテトチップスの味を自宅で再現できるかも……?!
なお、ポテトバッグとぽろしりは、毎年2月頃から全国のホームセンターやネット通販で購入できるようになります。ぽろしりは2個入りと6個入りの2種類があり、ポテトバッグ1個につき、ぽろしり2個を植え付けます。

種芋のぽろしり2個入り
ポテトバッグでジャガイモを育てる方法
次にポテトバッグでジャガイモを育てる方法を説明します。私はポテトバッグが発売された2022年からポテトバッグを使ったジャガイモ栽培を毎年していて、2026年で5年目です。2022年から2025年までの4年間で、合計15袋以上のポテトバッグで栽培をしました。もちろん、2026年もポテトバッグで栽培をしています。これまでのポテトバッグを使った栽培経験で学んだコツを皆さんに紹介しますね。

ポテトバッグに囲まれる私
ジャガイモの栽培時期
「春ジャガイモ」と「秋ジャガイモ」があるように、ジャガイモを栽培する時期は主に2つあります。ポテトバッグで袋栽培をする場合は、春ジャガイモの時期の方が育てやすくおすすめです。春ジャガイモは、関東などの温暖な気候の地域では、2月中旬から下旬が種芋の植え付けに適しています。
2月中旬に種芋の植え付けをすると、芽が生えてくるのはおよそ1カ月後の3月中旬頃です。「バレンタインデー頃に種芋を植えると、ホワイトデー頃に芽が出てくる」と覚えましょう。その後、葉が生い茂り、葉が黄色くなり枯れ始めたら収穫適期です。ジャガイモを収穫できるのは、6月下旬から7月上旬頃になります。東北や北海道などの寒冷な気候の地域では、種芋の植え付けを1〜2カ月ほど遅らせてください。
用意するもの
- ポテトバッグ1個
- 種芋2個
- 背抜き手袋
- マスク
- 割り箸(他にもドライバーなど棒状のものであればOK)
- 園芸用シートかバケツ
- ジョーロ
ポテトバッグを使った育て方
1. まずは種芋植え付け前の準備をします。
ベランダや庭など、床が培養土で汚れても良い場所で作業してくださいね。床が培養土で汚れるのが嫌な場合は、下に園芸用シートなどを敷きましょう。
培養土を素手で触るとチクチクするので、背抜き手袋を使いましょう。また、乾燥しているココヤシは粉が空中に舞うので、マスクの着用もおすすめします。
準備ができたら、割り箸やドライバーなどを使い袋に排水用の穴を開けます。ポテトバッグの下から5センチほど上の側面と、袋の底に穴を開ける場所の目印が付いているので、ここに割り箸を突き刺します。突き刺したら、その穴を広げる必要はないので、そのまま抜いてください。穴を広げるとその穴から培養土が流れ出てしまうので注意しましょう。

ポテトバッグの穴開けの目印(黒丸に十字の線が入っている)

ポテトバッグの底にある穴開け目印
2. 次に種芋を植え付けます。
袋の底から10センチほど上の深さに種芋を植えるのですが、袋に培養土が入ったままだとその深さまで腕が入らず、種芋を植えにくいです。
そこで、園芸用シートや大きめのバケツを用意して、袋の中の培養土を一旦出すことをおすすめします。袋に種芋を植える深さの目安が書かれているので、その深さまで培養土を外に出しましょう。その深さで、種芋を2個置きます。種芋は袋の両端に置いて、距離を離しておくのがコツです。その方が芋ができるスペースが広くなり、収穫量が増えますよ。

ポテトバッグの培養土を一旦外に出す

ポテトバッグに描かれた種芋を植える深さ

ポテトバッグに2個の種芋を離して入れる
種芋を置いたら、その上に一度取り出した培養土を戻していきます。すべての培養土を袋の中に入れてください。最後に袋の上部をくるくる巻いて、培養土の表面に光が当たりやすくしましょう。地表の温度が上がり、芽が出やすくなります。

ポテトバッグの種芋の上に培養土を入れる

ポテトバッグの上をくるくる巻いて地表を出す
「こんなに深く植えて大丈夫……!?」と心配になりますよね。
深く植える理由は、収穫するジャガイモは、種芋よりも上にできるからです。種芋を深く植えることで、収穫量を増やせます。畑でのジャガイモ栽培では、土寄せという作業を行い、種芋の上に後から土を足します。袋栽培では、最初に種芋を深く植えることで、土寄せを省略できるのです。
また、「あれ? 肥料はあげなくていいの?」とも思うかもしれません。培養土の中にはあらかじめ肥料が入っているので、植え付け時に肥料を追加する必要はありません。ゆっくり溶ける緩効性肥料が使用されているので、追肥という後から追加する肥料も不要です。
3. 種芋を植え付けたら、次は水やりです。
水は円を描くように培養土全体にかけてください。ポテトバッグ1袋に15リットルほどの水をかけると、底に開けた穴から水が漏れてきます。水が漏れるまで水をあげて、漏れてきたらそこでやめてください。

ポテトバッグに水をたっぷり与える
培養土の原料のココヤシは乾燥していて、水を弾きやすくなっています。培養土の表面が濡れていても、表面をどかすと中は乾燥しています。水を円を描くように全体にかけて、底から水が漏れるまで、たっぷり水を与えてください。

水を弾いているココヤシ

袋の穴から水が漏れてきた
4. これで植え付け作業は完了です。ポテトバッグは、ベランダや庭など日当たりが良い場所に置きましょう。植え付けからおよそ1カ月で、芽が出てきますが、芽が出てくるまでは、水やりはしないでください。小雨が当たる分には構いませんが、大雨が降るときには袋の上部を閉じて雨が入らないようにしてください。培養土の中の水分が多すぎると、種芋が腐りやすいためです。

ポテトバッグを日当たりが良い場所に置く

およそ1カ月後に出てきたジャガイモの芽
5. 芽が出てきたら、水やりを始めます。基本的には、培養土の表面が乾燥して色が変わったときに底の穴から水が漏れるまで、水をたっぷりと与えてください。色の変化がわかりにくい場合は、袋を手で持ち上げて、水やり後の袋と比べて重さが軽くなったら水を与えても良いです。
水やりの目安は、芽が出た後の3月は週に2回程度、4月は週に3回程度、5月から6月は週に7回程度です。ジャガイモは3月から6月にかけて、葉の枚数が増えて必要な水の量が増えていきます。水不足になると収穫量が減るので、忘れずに水やりをしましょう。

葉がたくさん生えたポテトバッグ
ポテトバッグを使った収穫方法
緑色だった葉が6月中旬頃になると、黄色く変色し始めます。これは培養土の中で芋が大きくなり始めた証拠です。ここで焦って収穫してしまうと、芋の数が少なく、小さな芋しか収穫できません。
葉が完全に枯れるまでぐっと我慢して、葉が枯れたら収穫をしましょう。ポテトバッグの袋にボコッとした膨らみができていたら、そこに大きな芋ができていますよ。葉が枯れ始めたら水やりを控えて、収穫の数日前から培養土を乾燥させて収穫しやすい状態にするのがおすすめです。

左の葉はやや黄色っぽい

ポテトバッグにできた芋の膨らみ

葉が枯れたジャガイモ
収穫をするときのポイントを紹介します。
まずはポテトバッグを園芸用シートの上に置き、ハサミでジャガイモの茎を根元から切り落とします。ジャガイモの葉や茎はコンポストにするか、生ごみとして捨ててください。

ジャガイモの葉を切り落とす
次にハサミで、ポテトバッグを切り開きます。ジャガイモの根によって培養土が一つの塊になっているので、手で培養土をほぐしながら芋を探しましょう。
栽培に成功していたら、中くらいのサイズの芋がゴロゴロ出てきます。大きな芋だと1個で200グラム以上になりますよ。ポテトバッグ1袋で、芋が15個ほど収穫できて、芋の総重量が1キロほどであれば大成功です! 直径が2センチ未満の小さな芋には毒が含まれている場合があるので、食べるのはやめましょう。

ポテトバッグの中身

ポテトバッグ1袋から収穫できた芋

ポテトバッグから収穫した巨大な芋

ポテトバッグ1袋から収穫した芋の総重量
気になるギモンをQ&A形式で紹介
子どもでも栽培できますか?
私の3歳の娘は私が手伝いながらであれば、ほぼ一人で種芋の植え付け作業ができました。水やりは水かけ遊び、芋掘りは宝探しゲームみたいなので、子どもでも楽しんで栽培できると思います。
ポテトバッグのパッケージの色は黄色だけですか?
最初はオレンジ色のパッケージでしたが、2025年から黄色のパッケージに変わりました。まるでポテトチップスの「のりしお」のパッケージみたいですね!
日当たりが悪いベランダでも栽培できますか?
日当たりが悪いと茎が長く伸びる「徒長(とちょう)」という症状が起き、芋がほとんどできないので、おすすめできません。日当たりが悪い場所なら、光が弱くて育ちやすいハーブ類や葉物野菜がおすすめです。

日当たりが悪い場所で栽培したジャガイモの収穫量
種芋はぽろしりではなく、男爵やメークイン、キタアカリなど他の品種でも育てられますか?
はい、ぽろしり以外の品種でも育てられます。
種芋は浴光催芽をした方が良いという話を聞きましたが、必要ですか?
種芋を植える前に2〜3週間ほど日当たりが良い場所に置くと、芽が少しだけ生えてきます。これが浴光催芽という処理です。浴光催芽をした方が芽が出てくるのが少し早くなりますが、必須ではありません。浴光催芽をせずに種芋を植えても良いです。

浴光催芽により芽が少し出た種芋
種芋から1カ月経っても芽が生えてきませんが、どうしたら良いですか?
気温が低かったり、日当たりが悪い場所だと芽が出るまでに時間がかかります。1.5カ月待っても芽が出なければ、培養土を優しく掘って芽や種芋の状態を確認してみてください。種芋が腐ってしまった可能性があります。種芋が腐っていたら取り除き、新しい種芋を植えてください。
芽がたくさん出てきましたが、芽かきはした方が良いですか?
大きな芋を収穫したい場合は、出てきた芽を1袋あたり4本程度にした方が良いです。芽かきをしない方が収穫できる芋の数は多くなりやすいです。
肥料の追加はした方が良いですか?
ジャガイモをはじめて育てる場合は、肥料の追加は必要ありません。日当たりがとても良い場所で栽培でき、収穫量を最大化したい場合は、肥料や培養土を追加しましょう。種芋を植え付けるときは、堆肥(たいひ)や発酵油かす、緩効性化成肥料がおすすめです。芽が出た後は、速効性化成肥料や液体肥料がおすすめです。ポテトバッグを製造するプロトリーフから「土ブロック」という圧縮ココヤシが販売されています。この土ブロックを水で膨張させて、ポテトバッグに追加するのもおすすめです。
活力剤やバイオスティミュラントは使った方が良いですか?
使用しなくても良いですが、すでにお持ちの活力剤やバイオスティミュラントがあれば、使用してみてください。使用するタイミングは種類にもよりますが、種芋の植え付け時や芽が出た後、気温が高くなり葉の生育が旺盛になったときがおすすめです。
ジャガイモの花が咲きそうですが、どうしたら良いですか?
花を残しておくと実ができることがありますが、実は有毒で食べられません。栄養を消費してしまうので、つぼみや花の段階で摘み取りましょう。

右側のジャガイモで花が咲いた
茎が伸びて折れそうですが、どうしたら良いですか?
そのままにすると茎が折れたり、風で袋ごと倒れたりします。園芸用の支柱を挿して、茎と固定しましょう。
袋が倒れてしまいますが、どうしたら良いですか?
培養土が乾いたり、茎が高く育つと倒れやすくなります。植木鉢やブロックで挟んで倒れないようにしてください。
梅雨の時期はどうしたら良いですか?
雨が当たることは問題ありません。雨が何日も続いて、培養土がずっと湿っていると根や芋が腐ることがあります。雨が何日も続く場合は、袋の上部を閉じて雨が中に入らないようにしてください。
ジャガイモにテントウムシみたいな虫が付いていますが、どうしたら良いですか?
その虫の体がピンク色で背中に星が20個以上あれば、ニジュウヤホシテントウです。通称、テントウムシダマシとも呼ばれています。テントウムシに似ていますが、草食のため、ジャガイモの葉を食べる悪い虫です。卵は黄色で細長く、葉の裏面に産み付けられます。幼虫はトゲが背中に生えた小さなイモムシです。手で捕まえて捕殺しましょう。

ニジュウヤホシテントウ
培養土の表面に芋が見えていますが、どうしたら良いですか?
そのままにすると光が皮に当たり、皮が緑色になり毒を持ってしまいます。そうなる前に培養土を寄せて土をかぶせましょう。もし皮が緑色になったら、食べるのを控えてください。
収穫が終わった後の土(ココヤシ)はどうしたら良いですか?
お住まいの地域の自治体に確認をして燃えるゴミとして廃棄するか、野菜や花の栽培に再利用してください。再利用する場合は、培養土のリサイクル材がホームセンターで売っているので、それを混ぜて使ってください。例えば、エダマメやイチゴなどの栽培に使えますし、畑や花壇の土壌改良材としても使えます。
秋ジャガイモの栽培にもポテトバッグが使えますか?
はい、使えます。秋ジャガイモの種芋の植え付け時期は夏の終わりですが、ポテトバッグは夏には完売することが多いので、春に買って保管しておきましょう。
カルビーポテトチップスの味を自宅で!
ポテトバッグのココヤシ培養土でジャガイモを栽培すると、皮がツルツルの芋が収穫できます。水洗いするとかんたんにきれいになりますし、皮ごとお料理に使っても皮が気になりません。カレーやシチュー、ベイクドポテトなど、ぜひ皮ごとお料理に使ってみてください。

皮がツルツルなジャガイモ
収穫したジャガイモは、いろんな料理に使えますが、せっかくならポテトチップスを作りたいですよね! 種芋のぽろしりはカルビーのポテトチップスに使われている品種です。なぜ、ぽろしりがポテトチップスに使われているかというと、ぽろしりは油で揚げても焦げにくく、見た目がきれいなポテトチップスが作れるからです。自分でジャガイモからポテトチップスを手作りできるなんて貴重な経験です。当たり前なことですが意外と盲点なのは、できたてのポテトチップスは熱々ということ。市販のポテトチップスは冷たいですが、自分で作ると熱々のポテトチップスが食べられて絶品ですよ!

ぽろしりで作ったポテトチップス
ただし、ぽろしりは絶対に焦げないわけではないので、160℃くらいの低温の油で揚げて、最後に温度を上げてパリッと仕上げるのがおすすめです。私は最初から高温の油で揚げて、焦がしてしまいました…… それでも自分で作ったポテトチップスはおいしく感じます。アジシオをかければ「うすしお味」に、青のりの粉もかければ「のりしお」になりますよ! ぜひ、いろんなフレーバーのポテトチップスを作ってみてください。

焦がしてしまったポテトチップス

















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