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“なんとなく”の農業を卒業 販路も規格も変え、33歳で年商7000万円へ

栃木県宇都宮市。イチゴの大産地として知られるこの地域で、33歳という若さで年商7000万円を達成した農家がいる。GRITH FARMの篠原豪(しのはら・ごう)さんだ。ただ、決して道のりは平坦ではない。借金2000万円というマイナスからのスタートから、どう経営を安定させ、ここまで成長するに至ったのか。篠原さんにお話を聞いてみた。

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親元就農と思いきや、ほぼ新規就農へ

現在33歳の篠原さんが地元の宇都宮市で就農したのは10年前のことだ。
両親も農家だが、いわゆる親元就農とは少し違っていた。
両親は花き農家だったが、それを継がず、イチゴ農家として就農したのである。

「両親と違うことをやってみたいと思ったんです。宇都宮市はイチゴの産地ですし、若手農家もたくさんいたので挑戦しやすいと思いました」

とはいえ、イチゴ栽培の経験はほぼゼロ。
大学卒業後は、栃木県農業総合研究センターいちご研究所で1年間栽培と経営の基礎を、近所のイチゴ農家で1年間現場を学んだ。
さらに就農にあたっては、ハウスなどの設備投資のため、2000万円の借金を抱えてのスタートだった。
なかなか思い切れることではないだろう。
「今考えたらよくやったなと思います」と篠原さんも当時を振り返る。

なんとなくの農業からデータで見える化する農業へ

勢いのあるスタートだった。
就農1年目、2年目ともに年商は約1400万円。
就農して間もない農家としては決して悪くない数字だが、篠原さんはそこに限界も感じていた。
「このままでは伸びないなと」

そこで、さらなる成長を目指し、コンサルを導入。
親のハウスを借りて栽培面積を拡大し、品種はとちおとめから、病害虫に強く収量に期待できる「とちあいか」へ切り替えた。

中でも、篠原さんが力を入れたのが環境制御の徹底だ。
温度や湿度、灌水(かんすい)などを機械で管理し、その日の天候や前日の株の状態を踏まえて毎朝調整する。
「データを見て、この時間帯は日差しが強いから水をちょっと多めにしよう、といった判断ができるようになりました。感覚ではなく、根拠をもって管理できるようになったのが大きかったです」

こうした日々の積み重ねが着実に結果として現れ、反収は就農当初の5.5トンから7トンまで増加。品質も格段に良くなった。
同社の作るとちあいかは酸味が少なく、甘みが強いのが特徴だ。
出荷先からは、食味の良さに加え、「傷みにくく棚持ちがいい」という評価も得られるようになった。

売上拡大を支えた直販と販売規格の工夫

売上7000万円を支えるもう一つの柱が、販路戦略だ。
現在、イチゴについては市場出荷を行わず、全て直販で対応している。
出荷先はスーパーや量販店を始め、ケーキ屋、飲食店、コンビニ、ホテル、直売所など多岐にわたるが、営業活動はほとんどしていないと言う。

「まずはいいイチゴを作って、色んな方に渡す。それだけなんです。飲食店で働いている友人や、そのつながりから少しずつ出荷先が広がっていきました」

いいイチゴを作ることで自然と販路が広がる。農家の見本とも言える姿だろう。

直販は、価格面でも大きな強みになる。
市場出荷と比べると、時期によってはキロ単価で1000円以上の差が出ることもあり、売上への影響は決して小さくない。

さらに、販売規格の見直しも大きな転機となった。
以前はサイズにかかわらず同一価格だったが、現在はサイズ別に4~5パターンの販売規格を設定。
例えば、株の中で一番最初に咲いた花からでしか収穫できない大粒のイチゴは、他の規格より10~20%程度高い価格で販売している。
ひとつひとつは小さくても、積み重なれば大きな金額になる。

多品目栽培でリスクを分散し、経営を安定化

ただし、売上を伸ばすことだけを考えていては、農業経営は長続きしない。
篠原さんが同時に意識してきたのが、「万が一があっても崩れない経営体制」をつくることだった。
現在、イチゴだけでなく、オクラやブロッコリー、ナスなどの露地野菜も栽培することで、経営のリスク分散を図っている。

「イチゴだけだと、何かあったときのリスクが大きすぎます。どれか一つが不作でも、経営が傾かないようにしたいんです」

イチゴの栽培時期は年間を通して限られている。多品目栽培することは、通年で従業員を安定して雇用できる体制づくりにもつながっているのだ。

2年以内に売上1億円達成を目指す

2000万円の借金からスタートし、徹底した栽培管理の他、販路、販売規格の差別化、多品目栽培により年商7000万円を達成したGRITH FARM。
しかし、篠原さんは現状に満足していない。

「少しずつ規模を拡大して、再来年までに売上1億円を達成したいです。また、色んなことにどんどんチャレンジして、若い人に『農業をやってみたい』と思ってもらえるような、道を示せる農家になりたいですね」

農業経営者として、そして次世代を担う存在として。
篠原豪さんの挑戦は、これからも続いていく。

取材協力:GRITH FARM

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