高校生の頃から、祖父に許可をもらって田植え機と稲刈り機に乗っていた
──小さい頃から農業が身近だったそうですね。
Machico 実家が農業をやっていて、祖父がいた頃は米とみかんと里芋がメインでした。他にもキャベツなども育てていましたし、いろんなところに畑を持っていて、相応の面積があったと思います。ただ、2018年の西日本豪雨の影響で、土砂が畑に流れ込んでしまい、農業を縮小せざるを得なくなりました。その後、祖父の他界もあって、今は規模を縮小し、里芋がメインになっています。祖母と母が近所の方や親戚に力を借りながらやっていて、ほぼ母一人で回している状況です。私も帰省した時には、深夜まで里芋の選別を手伝いました。
──里芋はどうやって食べるのが好きですか?
Machico 里芋コロッケにして食べるのが一番好きです。じゃがいもだとホクホクした食感ですけど、里芋は独特のねっとり感がクセになります。2023年から呉市の「クレイトンベイホテル」さんで公式アンバサダーを務めさせていただいているのですが、私の実家で収穫した里芋を使ったコロッケも提供しました。ファンの方も大勢来てくださって、味も好評で本当にうれしかったです。自分が農業声優をしているからこそできたことかなと思います。
──小さい頃から畑の手伝いをしていたのでしょうか?
Machico 祖父母の家が近所だったので、よくお手伝いさせてもらいました。私の家の窓から祖父母が畑に出ているのが見えて、どこでどんな作業をしているか分かる距離感で育ったので、とても農作業が身近でした。小さい頃は遊び感覚で収穫を手伝うぐらいでしたが、高校生になると、祖父に許可をもらって実家の敷地内で田植え機と稲刈り機にも乗っていました。祖父のようにはできませんが、農業は人手も重要なので、足りない時は行くというスタンスで手伝っていました。
──2025年はお米作りにも挑戦されました。田植え機や稲刈り機を操縦している様子が、JAグループ広島とRCC(中国放送)のYouTubeに公開されていますね。
Machico 久しぶりに乗らせていただいて楽しかったです。田植え機は集中力が必要で、少しでもズレると、苗の列が大きく曲がってしまいます。高校生の頃から、祖父に注意されていました。何度も失敗を繰り返しながら、なんとか真っすぐ植えられるようになりました。
──機械で入れない部分は手作業になるんですよね。
Machico そうですね。どうしても機械が入れない端の一列や角の部分は手作業になります。稲刈りも同で、機械でできない部分は手作業でカバーしています。機械を使う時も一人ではできない作業もあるので、人手が重要なことは多いですね。

自分の中では当たり前すぎる農業の話題が面白いと評価された
──「農業声優」として活動するようになったきっかけをお聞かせください。
Machico あるラジオで、たまたまコンバインや農業のお手伝いの話をしたら、パーソナリティの方やファンの方からの反響が大きくて。自分の中では当たり前のことだったので、反響があったこと自体が意外でした。私にとっては身近にある農業でしたが、知らない方も多いことを知ったので、もっと農業のことを知ってもらいたいと思い、YouTubeでの発信を始めました。2021年にたけのこを掘るだけの動画をあげたらそれにも反響が出て、2022年には『農業声優Machicoの週末ノウカー』というラジオ番組が始まったり、JAグループさんとお仕事をさせていただくようになったり、農業声優としての認知度が広がっていきました。
──SNSにアップした農作業服を着ている姿も話題になりました。
Machico ファッションが好きなので、普段のSNSは派手な格好での投稿が多いですが、農作業をする時はおしゃれを気にせず、作業着ですっぴんで畑に立っています。声優の時とのギャップを楽しんでもらいながら、農業にも目を向けてもらえているので嬉しいですね。
──稲作を取り入れたスマートフォン・PC向けゲーム『天穂のサクナヒメ~ヒヌカ巡霊譚~』でヒヌカヒメの声を担当しているのも、農業声優の流れからオファーがあったのですか?
Machico 配役自体はオーディションでした。リリースされたときに「農業の作品だから出たい」という話をしていたら、数年後にオーディションの機会をいただきました。公式の生放送配信で「この作業は実際にやっていました」という実体験を話したら、制作チームも喜んでくださいました。自分の農業経験が作品に説得力を持たせてくれたので、やっていてよかったなと感じた瞬間でした。
──2022年12月からは「JAグループ広島『地産地消』デリシャス大使」を務めていますが、農業声優としての活動が声優の仕事にも広がっているんですね。
Machico 食をテーマにしたアニメ『デリシャスパーティ♡プリキュア』(2022-2023)のオープニングテーマ「Cheers!デリシャスパーティ♡プリキュア」を担当させていただいたり、デリシャス大使に就任したのをきっかけに、農林水産省さんのYouTubeにゲストで出させていただくこともありました。声優がJAグループさんとこういう形で連携するのは、あまり聞いたことがないので、自分の経験が繋がっていくことに感謝しています。
──デリシャス大使の活動で印象的だったことは何でしょうか。
Machico 収穫したお米を「Machico米」という商品にさせていただきました。「ひろしまフードフェスティバル2025」で、Machico米を販売してありがたいことに完売しました。2022年に産直市「とれたて元気市広島店」で、集まったお子さんと保護者の方々に向けて、食をテーマにした紙芝居の読み聞かせをしたのも印象に残っています。

生産者と消費者を繋げる活動に関わっていきたい
──Machico米のプロジェクトはどのように始まったのですか。
Machico JAグループさんとお仕事をするようになって、自分が関わった農作物をファンの方に届けたいという夢ができました。数年来の思いが実を結び、2025年ついにMachico米を実現できました。Machico米を生産するための土地もJAグループさんからお借りして、広島県産米の品種「あきろまん」を使いました。デリシャス大使として地産地消をお届けしているので、私自身が実現できて嬉しかったです。
──改めて米作りを体験されて、どんな発見がありましたか?
Machico 実際に私が手を動かせた作業は田植えと収穫だけではあったんですが、一年を通してお米の成長を見守ることは初めてで、今まで知らなかった作業工程も知ることができ、学びが多かったです。
──農業声優としての活動で、どんな時にやりがいを感じますか。
Machico 携わった農作物を美味しく食べてくれたときに、一番やりがいを感じます。作り手と食べる人が直接つながる瞬間の温かさが、今も私の原点にあります。
──農作業の中で一番大変だと感じることは何でしょうか。
Machico 収穫や田植えよりも、維持管理することが一番大変だと思います。最近は気候変動も深刻で、猛暑で里芋が焼けて、品質が落ちたり、大雨の影響を受けたり。
──農業の高齢化問題と後継者不足を肌で感じることはありますか。
Machico 実家の周りの農家さんも高齢化が深刻です。50〜60代でも若いほうで、70〜80代がメイン。もちろん若い農家の方もいらっしゃいますが、少数派というのが現状です。
──アグリテックや農業の技術革新についてはどう捉えていますか。
Machico どんどん進化していますが、資金的なハードルは高く、小規模農家さんで導入することが難しいという現実もあります。小規模になるほど高齢化も進んでいる傾向もあるので、なかなか難しいですね。
──物価高は農家の方に大きな影響を与えていますが、どのように感じていますか?
Machico 食料品の価格高騰はニュースなどでも注目を集めやすいですよね。消費者目線だと安いほうがいいのは分かるのですが、生産者目線になると材料費や燃料費が高騰している中、農作物を安く卸すとなると、農業を持続していくことが難しくなります。私自身も消費者なので、安い方が良いと思う気持ちはありますが、生産者の方々に対して、しっかりと対価を払うという意識を持つようにしています。
──今後、農業とどのように向き合っていきたいですか?
Machico Machico米のように、生産者と消費者を繋げる活動に関わっていきたいと思っています。生産者と消費者が顔を合わせることで、農家さんのことをもっと知ってもらいたい。その中で私ができることはきっかけをつくること。収穫した農作物をファンの方々やイベントなどを通じて多くの方に届けることで恩返していきたいです。Machico米のような企画も単発で終わらせないように、これからも取り組んでいきたいと思っています。

■プロフィール
Machico
3月25日生まれ。広島県呉市出身。2012年、アーティストデビュー。2013年、声優デビュー。以降、アニメやゲームに加え、イベントや配信番組など精力的に活動している。JAグループ広島「地産地消」デリシャス大使。くれ観光特使。
(取材協力:株式会社シーズカンパニー)















