名前に込めたのは、「荒波でも収益機会を逃さない」という発想
近ごろの天候は、読みづらい。
暑さが続く年もあれば、雨で段取りが崩れる年もある。思った通りに進まないことが増えるほど、「いつ収穫できるか」「いつ出せるか」が経営の要になります。
こんな年ほど、「売り急がない」選択肢が欲しくなる——そんな実感はありませんか。
「黒船ハマー」は新品種です。名前の由来は、横浜の港に現れた“黒船襲来”のイメージ。荒波の時代に流れを変えた存在になぞらえ、荒波でも航路を見失わない「横浜の航海者」の姿に重ねました。
まず目指したのは、天候が読みにくい年でも計画を崩しにくい“安心感”。剛健な草姿が、その土台になります。
次に、軍艦の装甲のような“肉厚”品質。可食部が多く、加工現場でも家庭でも「食べる部分が多い」という価値につながります。
そして、これからのカボチャ栽培に“新しい選択肢”を増やすこと。密植や貯蔵まで含めて、作って終わりではなく、出荷の組み立てまで見据えられる——その発想を名前に込めました。

黒皮で果肉の厚さが際立つ「黒船ハマー」タネ部分が小さく、上下の厚みにあまり差が出ないため火の通りも均一に
カボチャは“売るタイミングを選べる作物”
近年の栽培現場では、天候リスクと労力不足が同時に進んでいます。葉物は高温で傷みやすく、果菜類は着果や品質が安定しない年もある。さらに相場は読みにくく、出荷が集中すれば価格は下がります。
その点カボチャは、完熟で収穫でき、収穫後に一定期間保存できます。乾燥と温度管理を行えば、比較的日持ちがしやすく、収穫=即出荷に縛られず、販売計画を後ろにずらすことも可能です。
つまり品種を選べば、急いで売らなくてもよい作物といえます。
この「時間を味方にできる」特性は、作業分散や価格調整を考える上で大きな意味を持ちます。
「黒船ハマー」は、このカボチャ本来の強みを、経営設計に取り込みやすい品種です。

収穫後1カ月経過した「黒船ハマー」
「黒船ハマー」で描ける収益の見通し——北と南の実証
北海道と鹿児島。条件が違っても“収益計画に落とし込みやすい”収穫実績が積み上がっています。
収益につながるポイントは三つです。
・栽培計画が立つ(=収益計画が立つ)
・規格がそろう(=選別の労力・ロスが減る)
・貯蔵できる(=売り急がず、出荷の主導権を持てる)
つまり「作って終わり」ではなく、“出すタイミングまで設計できる”から収益機会を逃さないという仕組みになります。
「黒船ハマー」は、その考え方を現実の栽培に落とし込みやすい品種です。
重要なのは、最高収量を狙えるかよりも「計画が立てられるかどうか」。
「黒船ハマー」は中早生タイプで、開花後およそ45日前後で収穫期を迎えます。作業の山を予測しやすく、他作物との組み合わせや人手配分を考えやすい品種です。
果実は2.0〜2.5kg中心の偏円形で、サイズの振れが比較的小さいです。規格がそろいやすいことで、出荷ロスや選別負担を抑えやすい点も見逃せません。

左:出荷を待つ「黒船ハマー」 右:北海道 JA北はるか 鈴木俊雄さん

鹿児島県 JAいぶすき 山川地区野菜部会 かぼちゃ部会長 田畑正一さん
さらに、完熟収穫後に乾燥させ、風通しのよい軒下などで管理すれば約1.5カ月の貯蔵が可能です。
畑で作って終わりではなく、倉庫の活用計画まで含めて収益を設計できることが、「黒船ハマー」の大きな強みです。
面積を増やせない現場の“増収オプション”——密植評価
栽培面積を増やせない中でも、株数という手段で収量を伸ばせる可能性があります。
10aで収量2.6t前後だった水準が、条件によっては3tを超える水準まで伸びた試験事例もあります。
北海道立総合研究機構の試験では、1,000株/10aという密植条件の中で「黒船ハマー」が評価され、安定した収量水準を示した品種として選定されています。
※北海道立総合研究機構による研究結果の詳細はこちらから
密植は、ただ株数を増やせばよいというものではありません。品種によっては果実が小さくなったり、サイズのばらつきが大きくなったりします。
その点、「黒船ハマー」は、つるを細かく整理しない放任栽培でも評価されました。
つまり、密植しても品質や規格が大きく崩れにくいという裏付けがあるということ。
面積を増やせない経営者にとって、「株数を増やす」という選択肢があることは、大きなメリットになります。
“売れる理由”が語れる品種「黒船ハマー」
「黒船ハマー」は“売れる理由”を説明しやすい品種であることも強みです。
青果は肉厚で、タネ部が比較的小さく可食部が多い特徴を持ちます。
これは、加工現場では歩留まりが高く、家庭では満足感につながる特性です。
食味の面では、加熱すると甘みとコクが出やすく、
・蒸せばホクホク
・煮物では煮崩れしにくい
・天ぷらでは甘みが引き立つ
ということがわかっています。

味香り戦略研究所による味覚分析の結果
調理面から見たこうした説明もできると、売り場での会話が生まれます。
「なぜこの品種なのか」を言葉にできること。
それは、単なる原料ではなく「指名される商品」になるための重要な要素です。
結果として、価格だけで比較されにくくなり、継続的な取り引きにもつながりやすくなります。
収量、歩留まり、食味。
この三つがそろうことで、価格競争に巻き込まれにくい設計が可能になります。
こんな人におすすめ:失敗しにくい導入ステップ
最後に、「黒船ハマー」を特におすすめしたい人と、失敗しにくい導入ステップをまとめます。
・冬野菜の後に畑が空いてしまう人
・転作で限られた面積を有効活用したい人
・夏場に使われていない倉庫を活かしたい人
・作業負担を増やさずに収量を確保したい人
・出荷タイミングを自分で決めたい人
1. 小面積で規格歩合と作業感を確認する
2. 密植を段階的に取り入れる
3. キュアリング(風乾)と貯蔵の際の乾燥と温度管理を徹底する
4. 肉厚のメリットを、売り場説明・取引先提案(加工含む)に展開する
北でも南でも収穫の実績があり、研究結果が省力多収の裏付けとなり、青果としての特徴が「売れる理由」につながります。「黒船ハマー」は、課題を抱えた現場が収益化へ向かうための、根拠のある選択肢です。
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株式会社サカタのタネ 野菜統括部
〒224-0041
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