ナガノパープルってどんなブドウ?
ナガノパープルは長野県須坂(すざか)市にある長野県果樹試験場で育成されたブドウで、2004年(平成16年)に品種登録されました。
皮の色は巨峰同様の黒紫色で、甘味が強く酸味はありません。皮はやや厚いのですが、渋みがなく、噛むと果肉と一緒にボロボロと崩れていくため、巨峰系の品種の中では珍しく皮ごと食べることができます。
長野県のオリジナル品種で、当初は長野県内でのみ栽培できる品種でしたが、2018年より県外に解禁され、現在は日本国内であればどの県でも栽培できます。
交配親は巨峰×リザマートで、巨峰からはジューシーで強い甘さを、リザマートからは皮の薄さと果肉の硬さ、そして上品な後味を受け継いでいます。品種登録時には交配親が巨峰×ロザリオビアンコとされていましたが、2010年12月にDNA鑑定により、父親がリザマートであったと訂正されました。
ナガノパープルの特徴
皮ごと食べられる
ナガノパープルの一番の特徴は、何といっても「巨峰系ブドウなのに皮ごと食べられること」です。
シャインマスカットの登場以降、種なしで皮ごと食べられるブドウの人気が高まっていますが、巨峰系のブドウは種なしではあるものの、どうしても皮が厚く、皮ごと食べるのは難しい面があります。
ナガノパープルの皮はやや厚く、果肉にぴったりくっついて一体化しているため、手で剥くのが難しい品種です。しかし、果肉を噛むと、皮も果肉と一緒にボロボロと崩れていき、皮ごと食べることができます。皮ごと食べることで、皮に含まれているポリフェノールも一緒に摂取できるのもうれしいです。
種がない
ブドウには染色体数による分類があります。デラウェアやシャインマスカットなど、多くの一般的なブドウは2倍体、巨峰系のブドウは4倍体と分類されます。巨峰(4倍体)とリザマート(2倍体)を掛け合わせたナガノパープルは、比較的数の少ない3倍体と呼ばれるブドウです。
巨峰やシャインマスカット、デラウェアなど、一般に流通しているブドウの大半はジベレリンという植物ホルモンで処理することによって、人工的に種なしにしています。しかし、3倍体のブドウはほとんど種が入らないという特性があります。
ジベレリン処理はとても労力がかかる上、天候に左右されやすい作業です。しかし、ジベレリン処理をしなくてもほとんど種が入らないナガノパープルは、安定して種なしになりやすいブドウです。消費者が種を気にせずに食べることができますし、栽培者にとっても労力のかかる作業が少ない品種ということもあり、人気を後押ししています。
大粒でジューシー、甘さも抜群
ナガノパープルの味は巨峰に近いですが、ワイルドな甘味の巨峰と比べると、ややマイルドで上品な後味があります。果肉も巨峰と比べると硬めで、歯ごたえもしっかり感じることができるでしょう。
果粒は13〜15グラムで巨峰と同じぐらい。糖度は18~21度と非常に高く、口に含むとさわやかな甘さが口いっぱいに広がります。皮と実が一体化しているため、食べごたえも十分。まるでスイーツのようなぜいたくな味わいが楽しめます。
「サビ」が出やすい

<キャプション>サビのあるナガノパープル(画像提供:馬場葡萄園)キャプション>
種なしで皮ごと食べられ、とてもおいしいナガノパープルですが、欠点もあります。それは皮の表面に茶色や黒っぽいざらざらした傷・汚れのようなものが出やすいこと。これは「サビ」と言われる障害で、農薬の水分が残ったり、雨に当たったりすることによって発生します。
高級果専店に並ぶようなナガノパープルはもちろんこのようなサビのないものがほとんどですが、スーパーなどで売られているパックのナガノパープルはサビが出ているものもあります。皮が薄くてデリケートなので、このようなサビ症状が出やすい品種です。
一見傷のように見えますが、サビは傷ではないので、そのまま皮を食べても問題ありません。見た目はちょっと悪いですが、味も通常のものと変わりません。自分で食べるなら、サビはあまり気にせずとも大丈夫です。
割れやすい
これも皮が薄いことの裏返しですが、ナガノパープルは非常によく裂果します。裂果とは、果実が割れてしまうこと。果肉の肥大に薄い皮が追い付かず、割れてしまうんです。
風船は小さいうちは厚いのでよく伸びますが、大きく膨らませると薄くなっていき、最後には破裂してしまいますよね。それと同じで、皮が薄いブドウは割れやすいという欠点があります。
種が入りづらくておいしいナガノパープルですが、この裂果しやすい特性が生産者を非常に悩ませています。大雨が降った後などは特に割れやすいため、ハウス栽培や、雨よけをして栽培されることが多いです。プロでも栽培に苦労する品種のため、家庭で栽培するにはかなり難易度が高いと思います。
シャインマスカットと並ぶ高級ブドウであるナガノパープルですが、価格が高いのにはこういう理由があるんですね。
ナガノパープルの旬の時期
ナガノパープルは7月ごろから出回り始め、10月の中旬までが主なシーズンです。早い時期に出回るナガノパープルは加温ハウス栽培のもので、値段も高め。9月に入ると取扱量が増えて価格も落ち着くので、個人的には一番おすすめの時期です。
9月になると長野県や山梨県の直売所やスーパー、通販などでも多く見かけるようになります。
おいしいナガノパープルの選び方

軸がみずみずしい緑色をしているか
まずチェックしたいのが軸の色。新鮮なナガノパープルは、軸がみずみずしい緑色をしています。茶色く乾燥している場合は、収穫から時間が経っている可能性があるので要注意です。
粒の色・張り・つや
ナガノパープルは黒紫色が特徴の黒ブドウ。粒の色がしっかり濃く、全体が均一に色づいている房を選ぶと、甘さがしっかり乗っていることが多いです。
また、果粒に張りとつやがあり、指で軽く触れて弾力があるものは新鮮な証拠。逆にシワが寄っていたり、押して柔らかすぎたりするものは避けましょう。
果粒にブルーム(白い粉)がついているか
粒の表面に白っぽい粉がついていることがありますが、これはブルームと呼ばれるロウ状の天然成分。果実の水分蒸発を防ぐ役割があります。
このブルームは時間が経つと失われるほか、ぶつけたりこすったりすると簡単に取れてしまいます。ブルームがないからといって新鮮ではないというわけではありませんが、ブルームがしっかり乗っているナガノパープルはそれだけ畑や店頭で丁寧に扱われている証拠というわけです。
粒の大きさとバランスが良い
ナガノパープルは大粒のブドウですが、房の中で粒のサイズがそろっていて、ぎゅっと詰まっているもののほうが、見た目だけでなく、味もいいです。
ブドウはもともとたくさんの粒がついていますが、生産者が摘粒という粒を抜く作業をして形を整え、お店に並ぶブドウの形にしています。粒同士が押し合って変形しているようなものよりも、房の形がきれいで粒の大きさがそろっているもののほうがおすすめです。
房がきれいで粒の大きさがそろっているということは、それだけ腕のいい生産者が作っている証拠なので、味にも期待ができますよ。
まとめ
ナガノパープルは、種なしで皮ごと食べられる黒ブドウです。皮が薄い代わりに割れやすく、サビが出やすいという特徴があり、栽培には高度な技術が必要な品種です。
もし店頭で見かけたら、この記事でご紹介したポイントを参考に、ぜひおいしいナガノパープルを選んでみてください。そして、ブドウ狩りやブドウ農園の直売所など、ナガノパープルがなっている現場を見てみるのもおすすめです。















