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作物が育つ空間はどうつくる? 空調のプロが語るハウス環境最適化の考え方

作物が育つ空間はどうつくる? 空調のプロが語るハウス環境最適化の考え方

ハウス内の温度を適切に保つことは、施設園芸における環境づくりの基本です。しかし、空調設備を導入し、設定温度を管理しているだけで、ハウスのどこでも同じような栽培環境をつくれるとは限りません。温度だけでなく、湿度や換気、そしてハウス内を空気がどう流れているかという「気流」まで含めて考えることが、より安定した栽培環境をつくるポイントになります。では、ハウス全体を作物が育ちやすい環境に近づけるためには、どのような視点が必要なのでしょうか。産業用の熱交換器や空調設備を長年手掛け、農業施設向けの放熱管や空調用コイルも製造する勝川熱工株式会社。代表取締役社長の勝川義兼さんと営業担当の川野貴央さんに、ハウス空調を考える際に押さえておきたいポイントを聞きました。

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「温度を合わせればOK」ではない? ハウス環境を考える4つの視点

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施設栽培を成功させる上で、ハウス環境を整えることは不可欠です

施設園芸の空調というと、まず思い浮かぶのが「温度管理」です。もちろん、作物に適した温度を維持することは重要です。一方で、実際のハウスでは、温度が適切でも、湿度や気流などの条件によって生育にムラが出ることがあります。また、湿度や気流の乱れが、病害リスクを高めることもあります。
そこで考えたいのが、温度・湿度・換気・気流の4つです。

温度:作物の代謝速度や成長スピードに関わる
湿度:気孔の開閉や水分・養分の吸収、病害の予防に関わる
換気:ハウス内の過熱を防ぎながらCO2を補給し、余分な湿気を排出する
気流:葉の周囲に滞留しがちな湿った空気を動かしてガス交換を促し、室内の温度や湿度のムラを抑える

この4つはそれぞれ独立したものではなく、互いに影響し合っています。
特に、ハウスの規模が大きくなるほど考えたいのが、場所による環境の違いです。温風暖房機の風が届きにくい死角、暖かい空気が上部にたまることで生じる上下の温度差、ダクトの目詰まりや配管レイアウトの不備、外気の影響を受けやすい壁面や連棟ハウスの谷部からの冷気の侵入など、温度ムラが生じる原因はさまざまです。

「ハウスの中でも、こちら側は暖かくてよく育つのに、空気が循環していない場所では育ちが悪い、ということが起こります。同じハウスでも場所によって環境が違うことは意識しておきたいですね」と川野さんはいいます。

見落とされがちな「気流」。空気をどう動かすか

ハウス環境を考えるうえで、見落とされやすい要素の一つが「気流」です。
空調機器によって必要な熱量を確保しても、その熱を含んだ空気がうまく行き渡らなければ、ハウス内の環境を均一に近づけることはできません。また、葉の周囲に湿った空気が滞留すると、ガス交換を妨げたり、病原菌が繁殖しやすい環境につながったりすることもあります。一方で、強い風を当てればよいというわけでもありません。

「空気はある程度循環させた方がいいと思います。ただ、風を当てすぎても問題がありますし、かといって無風がいいわけでもありません。どんよりした空気を同じ場所にためず、適度に循環させることが大切です」と勝川社長。

放熱管などの設置場所も、この空気の流れと無関係ではありません。

「暖かい空気は上に行くので、放熱管は下側や壁側、端の方に置くケースが多いです。ただ、作物によって条件は変わります。一概にここが正解というものではなく、その環境に合わせて考えていきます」と川野さんはいいます。

ハウス空調に「一つの正解」がない理由

では、理想的なハウス用温調システムは、どのように設計するのでしょうか。
勝川熱工が重視しているのは、まず顧客が何を実現したいのかを聞くことです。

「基本的には、お客様から『こうしたい』という要望をいただくところからスタートします。例えば『この空間を10度から20度に上げたい』というように、目標となる温度を伺います。予算感についても最初に確認しながら、何ができるかを考えていきます」と川野さん。

時には、設備そのものではなく、ハウスを取り巻く環境に原因が隠れていることもあります。
勝川熱工では以前、自社の園芸用放熱管を導入した顧客から、思うようにハウス内が暖まらない、と相談を受けたことがありました。状況を確認すると、放熱管ではなく、ビニールハウス自体の保温対策が十分ではなかったことが分かりました。

「ハウス自体がほとんど保温されていなかったので、まず保温対策をしてみてくださいとお伝えしました。実際に対応していただいたところ、問題は解決しました」と川野さん。

このケースでは、新たな設備を追加するのではなく、ハウス自体の保温対策を見直すことで課題を解決できました。製品ありきではなく、なぜうまくいかないのかを見極め、その施設に必要な方法を考える。こうした姿勢も、勝川熱工の特徴です。

「設置できるスペースが決まっていれば、その中で最大限能力を発揮できるように設計します。逆に必要な熱量から、放熱管の本数や配置、ピッチを決めていくこともあります。作物や施設が変われば、最適な設計も変わりますからね」。

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規模によっても空調設計は変わる

放熱管と空調用コイルを、条件に合わせて使い分ける

ハウス内の温度調整に使われる設備の一つが、園芸用放熱管「エロフィンチューブ」です。
裸管(素管)に比べて伝熱面積が広く、比較的低温の温水でも高い放熱能力を発揮できるのが特長。輻射熱と自然対流を利用して、作物の根元付近から穏やかに暖めることができます。
ファンによって強い風を直接当てる暖房とは異なるため、風をできるだけ当てたくない作物を育てる場合にも選択肢になります。

一方、温風暖房や、より積極的な温度・湿度管理に利用されるのが空調用コイルです。
温水ボイラーと組み合わせた温風暖房のほか、ヒートポンプと連動させた冷暖房・除湿、外気の予熱や予冷などにも活用できます。すでに使用している蒸気や温水に余力がある場合には、それを有効活用する提案も可能です。

「こんなことに困っている」から相談を

ハウス空調を見直したいと思っても、「どの設備を入れればいいのか分からない」という生産者も少なくないでしょう。勝川熱工では、相談内容を聞き、条件を整理したうえで、設計、製作、導入まで対応しています。

「『こうしたい』『ここに困っている』というところから相談していただければ、そこから一緒に整理していきます。単純に『これだけかかります』というのではなく、ご予算も伺いながら、どんな方法が考えられるかをご提案しています」と川野さん。

相談の規模にも下限を設けていません。個人農家から専業農家、大学や企業まで幅広く対応し、放熱管1本からの製作や試作も受けています。
「規模が小さいから相談しにくい、ということはありません。まずは今困っていることを気軽に聞かせていただければと思います」と勝川社長も力強く話します。

同社では今後、広報にも力を入れていく予定で、広報の専門部署の立ち上げやホームページのリニューアルなどが進行中です。さらに2026年10月には、幕張メッセで開催される農業関連の展示会「農業WEEK」にも出展予定。実際の製品を見ながら担当者に相談することで、自分では気づかなかった課題や、新たな選択肢が見えてくるかもしれません。
「自分のハウスなら、どんな方法が考えられるだろう」。そんな疑問を、空調のプロに気軽にぶつけてみてください。

お問い合わせ先

勝川熱工株式会社 営業部・工場
〒578-0921
大阪府東大阪市水走5-2-32
電話:072-967-2255
FAX:072-967-2256
HP:https://www.katsukawa.co.jp/
メール:info@katsukawa.co.jp

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