輸入解禁にNO!89%が反対の声
まず、輸入解禁については、89.2%が「反対」と回答。「どちらとも言えない」が4.6%、「やや賛成」「やや反対」はいずれも3.1%だった。
輸入解禁で懸念されることで最も多かったのは「病害虫侵入」35.8%。次いで「国産価格の下落」31.8%、「解禁の進め方」17.2%、「販売量の減少」10.6%となりました。
輸入解禁による病害虫リスクに加え、国産ジャガイモの価格や販売への影響を懸念する声が目立ちます。
実際に寄せられた自由回答からも、病害虫や国内生産への影響を懸念する声がありました。


生産者のコメント
・ジャガイモシスト線虫の懸念がある物を輸入したら、ナス科の物にも影響が出ることを公にした方がいいと思います(茨城県・ナス科野菜)
・メークイン、男爵の種芋生産が縮小していく中、これらの産地では品種の転換が必須となっており、そのタイミングと同時に輸入解禁となれば、生産者の離脱がより早くなる気がします。(静岡県・ジャガイモ、ナス科野菜)
・例えば青果用として流通したジャガイモが、家庭菜園や直売農家などで種イモとして利用されれば、病害虫が国内で広がるリスクを高める可能性がある。検疫に絶対は無く、病害虫が国内に持ち込まれる可能性は否定できない。(岡山県・その他の作物)
こうした声の背景には、輸入解禁によってジャガイモの価格や販売環境が変化することへの不安もあります。その影響について、北海道でジャガイモを生産する須田農場は、価格競争だけではなく、国内の生産基盤そのものへの影響を懸念しています。
「日本の農業は世界と比べて量や安さでは勝てません。なぜなら土地が狭いうえに湿度が高く病気になりやすいため、経費がかさむからです。本来、不足すれば価格が上がるのが市場原理ですが、海外から安定した量の輸入があればこの市場原理は働かず、そうなると生産者がジャガイモを栽培しなくなる、という恐れがあります」
一方で須田農場は、輸入解禁を理由に作付け量や経営方針を変える予定はないといいます。
「価格や植付量を変える予定はありませんが、今後も、“須田農場のジャガイモが欲しい”と言っていただけるお取引先様を増やす方針です。もし安い海外産のジャガイモが輸入されることになっても、須田農場のジャガイモが選ばれるようにしていきたいと思っています」
84.6%が国産ジャガイモの価格が下がると予想
国産ジャガイモの価格への影響については、輸入解禁によって国産ジャガイモの価格が「大幅に下落」と回答した人が44.6%、「やや下落」が40%で、合わせて84.6%が価格下落を予想しています。「上昇する」は4.6%、「分からない」は9.2%でした。
政府に求める政策で最も多かったのは「検疫の強化」33.3%、次いで「輸入量の制限」29.4%、「所得補償」24.6%、「輸出支援」は7.1%でした。
「その他」5.6%には、「輸入解禁自体を見直すべき」「輸入解禁の撤回。なぜ輸入解禁するのか説明もない」といった、解禁そのものの見直しを求める声がありました。


生産者のコメント
・作付けに応じて相応の所得補償をお願いしたい。栽培コストでは外国産のジャガイモに勝てない。(茨城県・ジャガイモ、その他の作物)
・天候不良でジャガイモの値が高かったが、輸入量が増えてくることで農家の利益は減るでしょう。農家がジャガイモを作らなくなるのは国策の点ではマイナスだと思います。(福島県・ジャガイモ、ナス科野菜、その他の作物)
・生食用ジャガイモの輸入は、主産地にとっては死活問題だと考えます。苦労してセンチュウ対策をしている農家さんにとっては、生で小売店に並ぶジャガイモはリスキーだと言わざるを得ない。政府は徹底した検疫を行うべきだし、消費者が種芋として使わないように宣伝すべきだと考えます(兵庫県・ナス科野菜)
須田農場も、政府には輸入を進める前に、まず国産の生産量を確保するための政策を求めています。「まず国内施策を実行し、それでも需要を満たすことができないのであれば、その時点でようやく輸入という選択肢を考えるのが本来の進め方。最初から輸入という考え方は、間違っていると言わざるを得ません」
特に問題視しているのが、病害虫の侵入です。「ジャガイモの輸入において最も重要な問題です。どのように防ぐのか、もし広がってしまった時にどのように責任を取り対処するのか。そこまで明確にできなければ、賛成などできるはずもありません」
さらに、輸入解禁によって病害虫が侵入した場合の長期的な対応についても、「10年以上、場合によっては40年以上生き続けるジャガイモシストセンチュウを退治できるまで責任を負い続ける覚悟と、それを明記した政策を作れるのか。それができないのなら輸入などできるはずもありません」と言及します。
今回のアンケートでは、輸入解禁そのものへの反対に加え、価格下落や国内生産者の減少、病害虫の侵入など、国内のジャガイモ生産をめぐるさまざまな懸念が示されました。今後、輸入解禁に向けた議論が進むなかで、こうした生産現場の声をどのように政策に反映していくのかが問われることになりそうです。
取材協力:須田農場
調査期間:2026年9月10日(木)~9月18日(金)
調査対象:『マイナビ農業』を利用する生産者
調査方法:マイナビ農業編集部が、生鮮ジャガイモ輸入解禁について生産者に質問を設定。択一、複数選択、自由記述などで回答。
アンケート方法:WEBアンケート
有効回答数:生産者:66名















