
鈴木工業株式会社 ミノリーナproject担当の三浦 由香里さん
病原菌がいるだけでは、病気になるとは限らない?
――病気が出ると、「まず病原菌を何とかしなければ」と考える農家さんも多いと思います。

植物病理学の基本的な考え方として、「病原体が存在するだけでなく、作物と発病に適した環境条件がそろうことで病気が成立する」という病害三角形の概念があります。つまり、病気を見るときには「どんな病原菌がいるのか」だけでなく、「病気が発生しやすい環境になっていないか」という視点も重要になります。

「病気が出る場所」と「出ない場所」、土壌分析で何が見える?
――では、病気が出やすい畑では、実際に何を調べればいいのでしょうか?

土壌分析をすることで、pH、EC、交換性カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン酸など、見た目だけでは分からない土の状態を数値として確認できます。三浦さんは土壌分析を、人間でいう「健康診断」のようなものだと考えています。
一度の数値だけで「良い土・悪い土」と判断するのではなく、場所や時期による違いを比較しながら、その畑で何が起きているのかを考える材料にします。

全国の農家さんから届く畑の土。地域によって土の色も様々。
病気の発生が多い場所と少ない場所。実際に土を比べてみた
――実際に、病気の発生程度が違う場所の土を比較したことはありますか?


根こぶ病が発生し、生育不良で収穫できずに畑でそのまま腐敗したキャベツの圃場
岡山県のキャベツ農家さんの土壌分析結果(2025年)
キャベツが生育し、収穫後にpHを確認。ミノリーナを施肥することでほとんど改善ができていましたが、端の方に根こぶ病が発生していたため、さらに根こぶ病が発生している箇所の土と、発生していない箇所の土をそれぞれ分けて土壌分析を実施しました。

根こぶ病はpH7.2以上で抑制できることが分かりました。このことから、圃場の端の方は撒きムラがあり、pHが上がりきっていなかったことで根こぶ病が発生していた可能性が考えられます。
――数字に違いが見えてきたんですね。では、この違いが根こぶ病の原因なのでしょうか?

病気の発生には、病原菌量、土壌水分、排水性、温度、栽培管理など、さまざまな要因が関係します。だからこそ、「どんな土壌環境のときに病気が出たのかを記録しておく」ことが大切です。病気が出た場所と出なかった場所、今年と翌年など、データを蓄積して比較することで、「自分の畑では何が起きているのか」を考える手がかりになります。
土壌分析は「測って終わり」ではない
――土壌分析をすれば、土づくりの答えが分かるのでしょうか?

例えばpHが低いという結果が出た場合、そこで終わるのではなく
なぜこの数値になっているのか?
↓
どんな土を目指すのか?
↓
そのために何を、どれだけ施用するのか?
↓
施用した結果、本当に土は変わったのか?
まで考える必要があります。土壌分析は、答えそのものではなく「次に何をするか」を考えるための出発点です。

石灰を入れた。でも、本当に土は変わった?
――例えば石灰を入れれば、pHは狙ったところまで上がるのではないのですか?

同じ地域、同じ作物であっても、圃場ごとに土の状態は異なります。だからこそ、
施用前に測る
↓
その圃場に合わせて施用する
↓
施用後にもう一度測る
ことが重要です。


土の数字が変わった。その先、作物はどうなった?
――土壌分析で数値が改善すれば、それで土づくりは成功なのでしょうか?

採土
→ 土壌分析
→ 改善方法を考える
→ 施用
→ 再分析
→ 生育・病害を確認
→ 次作へ
土壌分析を一度きりの検査ではなく、次の栽培へつなげる循環として使っていきます。

ほぼ根こぶ病は改善され、しっかり生育しているキャベツの圃場

写真左側:pHが上がりきっていなかった箇所にあったキャベツ。根こぶができて大きく育たずキャベツが収穫されずそのままついている。写真右側:pHがしっかり上がって根こぶ病になっていない箇所のキャベツ。収穫されてキャベツが切り取られている。
なぜ石灰メーカーが、ここまで農家の土を見るのか?
――石灰メーカーの三浦さんが、なぜ肥料を販売するだけでなく、ここまで農家さんの土を見るようになったのでしょうか?

それまで石灰を製造してきたメーカーが、実際の農業現場へ足を運び、農家さんと一緒に「なぜ石灰を入れても思うようにpHが上がらないのか」を追いかけるようになりました。調べていくと、一口に石灰といっても、種類や形状によって特性が異なります。

石灰は粒の大きさで反応速度が変わる。
また、土質や施用量、目標とするpHによっても使い方は変わります。石灰メーカーだからこそ、資材そのものだけでなく、どの石灰を、どの畑で、どう使うのかという技術まで伝えていこうと考えるようになりました。

そこで、単に資材を販売するだけではなく、
調べる → 考える → 施用する → 確認する → 次につなげる
という土づくりの仕組みをつくろうと始まったのが、「処方箋肥料ミノリーナ」です。

土壌分析から次の栽培まで伴走する「処方箋肥料ミノリーナ」
――「処方箋肥料ミノリーナ」では、具体的にどんなことをするのでしょうか?



ミノリーナは、この土づくりを実行するための専用資材です。一方、処方箋肥料ミノリーナが農家さんに提供しているのは、資材だけではありません。
「土壌分析+処方設計+専用資材+施用後の確認+作物の観察+次作への改善」
までを一つの流れとして、農家さんと一緒に土の変化を追っていくことを目指しています。

「何を入れるか」の前に、「なぜ病気が出た?」を考えてほしい
――最後に、病気を繰り返して困っている農家さんへ伝えたいことはありますか?

「毎年同じ病気が出る」
「石灰を入れてもpHが思うように上がらない」
「今の畑の状態を一度確認してみたい」
そんな悩みがある方は、ミノリーナprojectに相談してみてはいかがでしょうか。
「処方箋肥料ミノリーナ」とは
土壌分析をもとに、その圃場が目指すpHに合わせて施肥量を設計し、専用資材「ミノリーナ」を施用。その後のpH変化まで確認する、分析と資材を組み合わせた土づくりサービスです。一般的な土壌分析では、算出された数値をもとに計算上の施肥量を機械的に弾き出しますが、鈴木工業では農家さんから実際の圃場の土をお預かりし、自社内でその土を用いて反応を検証しています。

鈴木工業で保管されている、今までに採取された土のサンプル
施用までの流れ
現在の土壌pHを確認し、農家さんが解決したい課題に合わせて、目標pHを設定し、必要なミノリーナ施肥量を提案します。鈴木工業株式会社から処方箋を発行された方のみ、専用資材「ミノリーナ」を購入できます。

・く溶性苦土20%保証
・有機JAS使用可能資材
アフターサービス
施用後のpH確認にも対応しています。施用前と施用後の数値を比較し、実際に土がどのように変化したのかを確認します。さらに収穫後にも土壌分析を行い、作付けを経て土がどのように変化したのかを確認。その結果を次作の土づくりに生かしていきます。

写真左側:改善前 写真右側:改善後
必要以上に石灰資材を施用するのではなく、問題がなければ年に一度の「土の健康診断」のように、定期的に状態を確認する利用方法も提案しています。
お問い合わせ
鈴木工業株式会社
〒719-2251 岡山県新見市井倉125-1
TEL 0867-75-2106
FAX 0867-75-2936
▼Instagramでも「ミノリーナ|土づくりを研究する管理栄養士」として土づくりや石灰の知識をショート動画で解説しています。
ミノリーナ|土づくりを研究する管理栄養士のInstagramはこちら
















