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安城市役所

「森と水を守る村があるから、私たちの日々がある」愛知県安城市が山村との連携でこだわる子供たちへの「ホンモノ体験」の提供とは〜SDGsジュニアキャンプ実施レポート〜

公開日:2022年11月08日

「水を使う者は自ら水をつくれ」

近年、SDGsという言葉が一般化される中で私たちの日常生活では資源に関して「使う」ことと「つくる」ことの意識変革が求められるようになっています。そんな中、愛知県安城市ではこの「水を使う者は自ら水をつくれ」という言葉が、本市の発展を支えた明治用水の開通をきっかけに100年以上も伝え続けられています。

そして、その大切さを伝えるために、市ではこれまでも「森と水」をテーマにしたイベント、源流のある山村との交流の機会、歴史を学べる場づくりなどさまざまな型で取り組みを行ってきました。そして、今年度新たに取り組んだのが、現地滞在型のキャンプ×SDGs教育の「SDGsジュニアキャンプ」です。

このレポートではキャンプイベントのレポート、そして「森と水の教育」について市が行っている取り組みについてご紹介します。

水を生み出す森のありがたみを感じる体験

「SDGsジュニアキャンプ」では小学4年〜6年生の子供たちを対象に、森林での体験を通してSDGsについて考え次世代を担う人材育成につながることを目的に実施しました。

農業、工業にも使われている明治用水や生活用水として使われている矢作川の源流がある長野県根羽村へバスで移動し、現地で活動する人々と連携しながら計2日間で76名の市内在住小学生を対象に実施。水を生み出す水源の森の探索・森にある資源で創り出すブッシュクラフトワーク体験、山村で食体験などを通じて、自然のありがたみを体感する機会を提供しました。

「水を使う者は自ら水をつくれ」というメッセージを少しでもリアルで感じるため、コンテンツが行われる森林探索のフィールドも安城市と根羽村で共同経営する「矢作川水源の森」の中で行われ、体験コンテンツや学びのファシリテーションも根羽村に拠点を置きながらその地域で活動する事業者たちと連携しで行うことで「ホンモノ」との触れ合いを特に意識したコンテンツになりました。

そのほか、イベントの中で使う道具・備品なども市内の企業と連携することで繊維の廃棄物のアップサイクルによって生み出されたTシャツなどが使用され、サスティナビリティを意識した商品、それらを創る企業に触れるきっかけも生まれました。

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イベント全体の中で「活動を無理やりSDGsに紐づけるのではなく、体験を通してSDGsについて考えるきっかけを得ること」と「ただ楽しい、で終わるのではなく、感じたことを言語化し、自分ごととする」というプロセスを大切にし、コンテンツの中で感じたことを表現する機会を用意したことで、結果としては参加者の97%が満足し、97%でSDGsに対しての理解を深めることができた、というアンケート結果を得られることができました。

またアンケートを通じてもこれからの普段の生活の中での行動変化のきっかけにも繋がる回答が見られ、「学ぶ」だけで終わるのではなく「行動にまでつなげる」ことができた子供たちの変化も何名か見られました。

応募枠に対しても、107名からの応募があり、市民の関心・興味の高さ、子供たちへこのような自然体験を経験させたい、という保護者のニーズを改めて強く感じるきっかけとなり、「体験を通した学び」というコンテンツの重要性を再認識しました。

流域連携を通じて提供する「ホンモノ体験」

 このように安城市では、子供たちに森と水の大切さを伝えること、次世代を担う人材育成を行うにあたり、矢作川の源流がある長野県根羽村との「流域連携」を活用した「ホンモノ体験」の提供に積極的に取り組んでいます。

 子供たちに体験を通して得てもらいたいことは知識だけではありません。ワクワクする体験、心に残る出会いが生きる力をはぐくみ社会で活躍する人材となっていくきっかけになればと思っています。

 例えば根羽村との交流であれば普段の暮らしでは出会えない林業人との触れあいや、水を守るための森林整備が行われている現場に足を運ぶなど、普段の日常では体験できないことに触れることにとても意義があると感じています。独立行政法人国立青少年教育振興機構が提唱する「体験活動推進」においてもリアルな自然に触れる体験、実際に取り組む大人との関わり合いが自己肯定感・道徳観・正義感を高めるという研究結果が出ています。

 安城市では今回のキャンプ事業のみならず、根羽村の人々に出向いてもらい、木や森林資源を活かしたワークショップを行う出張型イベントも実施しています。公教育の授業での連携、市内企業との連携が生まれる機会などお互いの新たな出会いの場を創出していますが、その際には市内で活躍する市民団体や根羽村の民間団体など「実際にその地域で活動を行っている人々」が主役となってプログラムを提供する事業にしていくことを大切にしています。

今の豊かさが生まれた歴史を知ることで、持続させることを大切にできるまちづくりと人づくりを

安城市が優良農業地帯として発展し「日本デンマーク」と言われた背景には、明治時代に開通した明治用水があり、それまでの安城市はやせ地で決して農業に適した環境ではありませんでした。現在では工業地域としても発展し、人口約19万人の規模に至るまで成長を遂げましたが、生活用水・工業用水・農業用水等の暮らしにかかせない水は矢作川から主に用いられています。

このような発展の歴史があることから、安城市は「水があることのありがたさ」を高く意識しています。安城市の日常の豊かさの背景には、その水の源である森林があり、その森林を守ってくれている根羽村の人々の活動があるから成立しています。

明治用水土地改良区の初代理事長を務めた岡田菊次郎さんはこのことを「水を使う者は自ら水をつくれ」という言葉でまとめ、市内の学校教育ではこの言葉を今でも子供たちに伝え続けています。

この言葉を象徴するアクションとして近年では平成3年から30年間に渡り、根羽村と安城市では共同山林経営などにも取り組んできました。これは森林整備協定に基づく全国初の契約であり、流域で森と水を守ってきました。令和4年には「矢作川水源の森環境育林協定」を新たに締結し、今後は森を守るだけでなく、SDGsへの貢献・啓発にも視野を広げ、連携した環境教育も進めていきます。

社会全体で持続可能な社会・SDGs活動が重要視されていく中で、安城市としては古くから行われ続けている「森と水の大切さを伝え、環境を守る」というメッセージを中心に据えながら、地域の豊かさを守り続けられる人材育成を続けていきます。

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