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「2024年問題」の次は?「2030年問題」が畜産業を揺るがす理由 ~飼料が運べなくなる未来をどう乗り越えるか~

公開日:2025年07月16日

2024年4月に施行された時間外労働の上限規制、「2024年問題」は、畜産業にも大きな影響を与えました。特に、飼料の安定供給を支える輸送体制に課題が顕在化し、飼料メーカーや運送会社は対応に追われることになりました。

今回は、この「2024年問題」に続く「2030年問題」に焦点を当てます。これにより、今後の畜産業界がどのような対応を求められるかについて理解を深めるきっかけになればと思います。

●畜産業界を揺るがす「2024年問題」そして「2030年問題」

2024年4月、働き方改革関連法の施行により、物流業界では時間外労働の上限規制や長距離運転の見直しが始まりました。この「2024年問題」は、畜産業界にも影響を及ぼし、飼料メーカーや飼料の運送会社は、急な飼料発注への対応やドライバーの確保が難しい中で、運転手の拘束時間が短くなることで人手不足が深刻化し、輸送コストの高騰が懸念されています。

鶏・豚・牛などを肥育する畜産業にとっては、毎日必要な飼料の輸送体制を維持することが困難になっています。法改正から1年が経過した現在も、地域の飼料輸送体制を維持しながら、『飼料流通合理化』の取り組みが進められています。

そして、次に控えているのが「2030年問題」です。この問題もまた、あらゆる業界で話題となっており、畜産業界も例外ではありません。これらの問題を理解し、適切な対策を講じることが、畜産業界の持続可能な未来を守るために非常に重要だと考えます。

●「2030年問題」とは?飼料流通に迫るさらなる危機

「2030年問題」とは、2030年頃に予測される人口減少や高齢化、気候変動、そして環境問題など、社会全体が直面するさまざまな課題の総称です。特に、トラックドライバーの高齢化は労働力の確保を難しくし、物流の持続性に深刻な影響を与えると予測されています。

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が2020年に発表した『ロジスティクスコンセプト2030』によれば、2015年に約100万人いた運転従事者は、2030年には約65万人にまで減少すると予測されています。これは15年間で約35%の減少に相当し、特に地方では40%以上の人手不足が見込まれています(出典:日本ロジスティクスシステム協会『ロジスティクスコンセプト2030』2020年1月)。

畜産業界も例外ではなく、飼料輸送においても労働力の確保がますます困難になり、飼料の安定供給が難しくなり、畜産農家に影響を及ぼすことが予測されます。

「2024年問題」で明らかになった課題が、「2030年問題」によってさらに深刻化することが懸念されています。

この問題はすでに始まっており、2030年は「本格的に深刻化し始める重要な年」だと考えます。これは一時的な現象ではなく、今後長期にわたって続く問題の始まりと捉えるべきでしょう。

●畜産業は「食」を支える重要な産業

私たちが「あたりまえ」に食べている国産の畜産物が、この先も同じように食べられるとは限りません。私は「“未来の子どもたち”にも国産の畜産物が食べられる世界を残したい」という夢を実現したい。そのために、「畜産業をもっとよくしたい」という同じ意志を持つ様々な分野の協力が必要です。

より長期的かつ深刻な「2030年問題」にも対応するために、畜産業界全体で協力し、『飼料流通合理化』を維持・発展させることが、持続可能な畜産業界の未来への第一歩だと考えます。

●飼料残量をデータで管理! 持続可能な畜産業をめざして

飼料タンク残量管理ソリューション「Milfee(ミルフィー)」は、YEデジタルの技術力と畜産農家の声から生まれたソリューションです。「Milfee」端末を飼料タンクの蓋の内側に取り付け、タンク内の残量をリアルタイムで計測し、そのデータをクラウド上で管理します。これにより、畜産農家、飼料メーカー、運送会社がそれぞれパソコンやスマートフォンから、いつでもどこでも残量を確認することが可能です。飼料残量を「見える化」することで、高所での目視確認が不要となり、作業の安全性と効率が大幅に向上します。

また、飼料残量のデータを活用することで、飼料発注業務の支援や飼料流通合理化も実現します。これにより、畜産業界の人手不足や長時間労働、属人化作業、飼料配送効率の低下などの課題が解決し、働き方改革と生産性向上が期待されます。

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●さいごに

今回は、畜産業界が直面した「2024年問題」、そしてそれだけでは終わらない「2030年問題」についてお伝えしました。これからの持続可能な未来を築いていくためには、畜産業に関わる企業はもちろん、異業種との連携もますます重要になります。

『持続可能な畜産業』の実現に向けて、これからも寄与したいと考えています。

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