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育てる野菜の基準は「みんなと食べたい」 ライフスタイルに合わせた兼業農家へ

育てる野菜の基準は「みんなと食べたい」 ライフスタイルに合わせた兼業農家へ

ライターの仕事をするかたわら結婚を機に、旦那さんの実家が営む家庭菜園を手伝い始めた小林夏美(こばやしなつみ)さん。兼業農家というライフスタイルを送る小林さんのストーリーをお届けします。

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小林夏美さん略歴

    ・埼玉生まれ

    ・PR会社勤務

    ・結婚、妊娠を経て茨城の夫の実家で暮らし始める

    ・農業大学校の短期研修を修了

    ・子育てをしながら野菜づくりを行う 

    実益を兼ねた趣味

    ライターの仕事をするかたわら、夫と義理の両親とともに、兼業農業を営んでいます。作っているものは米と野菜で、米は農協に出荷して、野菜は自分たちで手売りしています。義父は公務員、夫はサラリーマンで平日は時間がないので、野菜づくりに関する農作業は義母が中心に行っています。 

    私は、0歳の息子を連れて週2回程手伝っています。午前中は収穫して袋づめした野菜を近くのフィットネスクラブなどで販売しています。夕方になったら雑草とりなどをして、1日の仕事が終わります。週末は、夫と一緒に畑に行って、カラス・キジなどによる被害対策や畑の管理をしています。

    栽培している野菜は、トマト、キュウリ、カボチャ、ナス、ピーマン、セロリなどです。自分たちが食べたいと思ったものを育てています。茨城県の土地に合ったものや、他の農家があまり作っていない品種であることも意識しています。野菜は、朝採りしたものをフィットネスクラブに持って行き、レジの隣に置かせてもらっています。女性、特に奥さま方が手に取ってくれます。義母が商品を並べながら食べ方やこだわりのポイントを説明すると、購入してもらえます。ずっと野菜の横に立って説明できるわけではないので、最近は手描きのポップを置いています。母の説明とポップ効果で、リピーターになってくれるお客さんが増えています。

    夫の実家で食べるものは全ておいしい

    茨城県で暮らし始めるまで、野菜作りの経験はありませんでした。埼玉出身で、出産前は東京のPR会社で働いていました。夫とは長い付き合いで、結婚する前も実家によく遊びに行きました。遊びに行く度に自家栽培の野菜を出してもらっていたのですが、出てくるものが全ておいしかったんです。野菜作りも面白そうで夫の実家で住み始めてすぐ、自分から農作業を手伝いたいと言いました。

    農作業を始める以前は、野菜はスーパーで買うのが当たり前でした。店頭に一年中同じ野菜が並んでいるので、野菜の旬の時期を知りませんでした。野菜を作り始め、旬を実感できるのがうれしいです。

    楽しい反面、農業の知識がないので、義母が何を言っているかわからないこともありました。義母は農家出身で、土の作り方や使う肥料の量などを感覚的に判断している部分があり、未経験の私からすると「なんで?」と思うことの連続でした。義母の言っていることや農業の全体像を理解したくて、夫と農業大学校の短期研修に通うことに決めました。

    自分のスタイルに合った農業

    農業大学校は週2日、約4ヶ月通いました。畑での実習と座学があり、野菜を育てながら、梱包や出荷も行いました。野菜の知識はもちろん、経営についても学びました。その中で、たくさんの苦労話を聞きました。例えば、あるイチゴ農家の方は、洪水によりハウスが倒壊し、収入がゼロになったと話していました。農家一本でやっていくことは大変で甘い世界ではないと、改めて感じました。

    野菜をつくることは好きでしたし、ゆくゆくは私たち夫婦が畑を継ぐことになりますが、今すぐに農業一本で生活しようとは思えませんでした。当時私は妊娠中で、出産後は子ども中心の生活になることは明らかでした。子育てをしながら農作業をするのは難しいと思いました。また、私たちは旅行やキャンプが好きですが、もし専業農家になったら長期で家を空けることは難しく、あきらめなければなりません。好きなことはなんでもやりたい私たちのライフスタイルには合わないと思いました。そこで、専業ではなく兼業農家として野菜作りを続けようと決めました。

    人と人を繋ぐ野菜作り

    現在は、義父母から野菜作りや土作りを学ぶ一方で、販路を工夫して売り上げをどう伸ばすか学びたいと考えています。野菜作りは経験と知見に長けた義父母の力を借りつつ、私たちは売り方を工夫しています。お互いの強みを生かして、手間を省きながら、効果的においしいものを作りたいと考えています。

    最近は、今まで作っていなかった新しい野菜も育てています。2017年はバジルやルッコラ、ニンニクに挑戦しました。ピザが好きで自分たちで石窯を作ったので、せっかくなら必要な野菜も自分たちで育てようと思いました。新しい品種にチャレンジするときは、自分たちが食べたいかどうかを大切にしています。

    栽培した野菜で作ったピザパーティーに来てくれる方や、普段野菜を置かせていただいているフィットネスクラブのお客さんなど、自分たちで作った野菜を通して様々な人との繋がりが生まれることがうれしいです。父と母がずっとやってきたことでもありますが、大切にしていきたいつながりです。

    これから野菜作りに挑戦したいと思う方がいたら、小規模でいいので畑を借りて、実際にやってみてください。種をまいて、育てて、食べてみれば、様々な気づきがあって自分の糧になります。何を育てるよりもまず大切な“土作り”、そこさえ手を抜かなければ、想像していたものより良いものができること。買うよりも新鮮でおいしい野菜が食べられること。農業は大変であること。気づきを得ることで、畑を少しでも身近に感じてもたえたらと思います。

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