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畑と人を繋いで野菜本来のおいしさを伝えたい。有機野菜で日常を変えるきっかけに。

畑と人を繋いで野菜本来のおいしさを伝えたい。有機野菜で日常を変えるきっかけに。

2017年07月31日

千葉県の農業法人に就職し、有機野菜を作る原田菜摘(はらだなつみ)さん。大学では国際ビジネスを学んでいた原田さんが、なぜ新卒で農業法人で働き始めたのでしょうか。お話をうかがいました。

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千葉県の農業法人に就職し、有機野菜を作る原田菜摘(はらだなつみ)さん。大学では国際ビジネスを学んでいた原田さんが、なぜ新卒で農業法人で働き始めたのでしょうか。お話をうかがいました。

原田菜摘さん略歴

・愛知県出身

・大学で国際ビジネス学科を専攻

・留学先のオーストラリアで自然に触れる楽しさを知る

・日本に戻り、有機野菜の農業生産法人でインターン

・農業生産法人「くくりの森」にて有機農業に携わり、現在3年目

ー働かれている農業生産法人について教えてください。

私が働いている「くくりの森」は、千葉県山武市にある農業生産法人です。ニンジンと落花生を中心に、ナス・ピーマン・トウモロコシなど多品目を有機農法で作っています。

ニンジンは「ひとみ五寸」という品種で、甘くて柔らかいのが特長です。名前の通り、五寸程の小さなニンジンです。柔らかいので収穫と出荷作業にかなり気を遣いますし、スーパーの店頭で形が崩れてしまうことがあるので、市場に出回りにくい希少な品種です。扱いは難しいのですが、お客さんから「ひとみ五寸のおいしさは他のニンジンとは比べ物にならない」という声をいただくので、この品種にこだわって作っています。

落花生は「千葉半立(ちばはんだち)」という品種を育てています。甘さと濃厚な味わいが特長の最高級品種です。発芽が難しく、他の落花生に比べて粒が小さいという面もありますが、おいしさがギュッと詰まってお客さんにとても人気があるため作り続けています。

くくりの森は品種選びにこだわっています。その基準は、野菜本来のおいしさがはっきりしているかどうか。甘みや辛味、酸味など、野菜本来の味が引き立つような品種を選んでいます。

ー大学では農業を学んでいなかったとうかがいました。農業に関わり始めた背景を教えてください。

農業に携わるようになったのは、オーストラリアでの自然体験がきっかけです。元々、大学では国際ビジネスを専攻していて、2年生の時に休学してオーストラリアに渡りました。そこで日本語教師のアシスタントをしていたのですが、仕事の合間をぬって自然に関わるボランティアに通っていると、そちらの方が楽しくなってしまったのです。その時から、自然に関わる仕事がしたいと思うようになりました。

帰国後、自然に関われる仕事を探す中、くくりの森を見つけ、インターンに行きました。そこで出会った、取締役の斎藤完一(さいとうかんいち)さんは、有機農業を30年以上続けている方で、私の師匠です。安全でおいしい野菜を作るために農薬も化学肥料も一切使わず、完全植物性の堆肥を自分たちで作ります。生産から販売までを一貫して行っています。

5日間の研修期間の中で、師匠と丸1日一緒に過ごす日がありました。その日のお昼に、師匠の奥さんがカブのステーキを出してくれました。そのカブのおいしさが衝撃的でした。こんなおいしい野菜を毎日食べられたら、なんて幸せなんだろうと思い、就農という選択肢が現実味を増しました。

ー農業を始める前にどのようなことを考えましたか。

最初は不安でいっぱいでした。力仕事ができるのか。トラクターを運転できるのか。わからないことだらけでした。でも、師匠の元に何度も通ううちに、農業を仕事にするイメージが湧きました。農業法人であれば基本は分業ですし、全て自分でやらなければ、という心配はありませんでした。

不安よりも、体を動かしながら土に触れ、自分の手で作ったものを自分で売る仕事への楽しみの方が勝りました。最終的に、野菜作り以外にも食育など、新しい取り組みに挑戦していることが、決め手になりました。

一帯は自然が豊かで、私の周りにいる方々は、みなさん心がオープンです。しかし、信頼関係は大切ですから、引っ越してすぐに、周囲の方にごあいさつに行くことは欠かしませんでした。地域と密接に関わる農業の会社だからこそ、会社以外の場所での礼儀や近所付き合いに気を配りました。

一日のリズムは、季節によって変わりますが、春は6時半から畑へ行き、昼に中休みを1時間取り、日が落ちる夕方6時くらいまで畑にいます。冬は霜がおりて野菜が凍るので、朝一での収穫ができません。8時頃から作業を始めて、夕方5時くらいに終わります。太陽に合わせて働いています。

夏の時期は、朝5時半から畑に出て、昼間に3時間の中休みを取り、日が落ちる夜7時頃まで働きます。はじめの頃は8時間の睡眠を確保するために、家に帰ると、ご飯を食べてすぐに寝るような生活。家と畑を往復するだけの日々を送りました。それまでとは違う生活リズムを保つのが難しかったです。体力がない上に、男性と比べて力もないので大変でしたが、慣れるしかないと思いました。

ー生活のリズムは、徐々につくっていくしかないのですね。大変なこともある一方で、どんなやりがいがあるのでしょうか。

農業をしていておもしろいのは、お客さんとの繋がりが生まれることです。お客さんの中には、私たちが育てた野菜で作った料理の写真を毎週メールで送ってくれる方がいます。私たちの間ではメルマガと呼んでいて、いつも楽しみにしています。徐々に料理のスキルが上がっているのがみてとれます。その方は、元々野菜にあまり興味がなく、料理もしない方だったそうです。会社勤めをしていると料理する時間は確保しづらいですから。そういう方の日常を変えられたのがうれしいです。

野菜を通じて人と人、地域と人がつながっていくことにおもしろさを感じています。

私自身も、有機農業に触れたり、様々な方と出会うことで、食べ物の大切さを改めて実感しました。おいしい野菜をどうやったら最高の料理にできるかを考えているうちに、自分でも畑で収穫したおいしい野菜を、食卓に直接届けたいと考えるようになりました。そこで思いついたのが「もぐらの台所」という、料理を提供する場を作る取り組みです。

実際の生態系は知りませんが、私は、もぐらは土の中にいるので、おいしい野菜を食べていると思っています。もぐらが知っている野菜本来のおいしさをそのまま人に届ける場所です。将来は、野菜を作っているからできること、土を感じる体験や、畑と人をつなぐ場所づくりに取り組みたいと考えています。

農業を始めたいけれど、自分にできるか不安に感じている女性がいらっしゃったら、声を大にして、女性でもできると伝えたいです。むしろ、台所に立つ回数が多いであろう女性が野菜のことを土の中から知ったら、日本の食卓の未来はもっとカラフルで明るく、ハッピーになるのではないかと思います。

 

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