現代の「かかし」が繋ぐ日本の農業の未来。現場と研究を融合した精密農業を実現するために。 – マイナビ農業

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現代の「かかし」が繋ぐ日本の農業の未来。現場と研究を融合した精密農業を実現するために。

現代の「かかし」が繋ぐ日本の農業の未来。現場と研究を融合した精密農業を実現するために。

2017年07月31日

後継者不足が叫ばれる農業の技術を次世代に継承していく仕組みや、日本の農業の活路について、e-kakashi開発者の山口典男(やまぐちのりお)さんにお話をうかがいました。

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農業の現場から取得した環境データをもとに、最適な農作業を提案する「e-kakashi(イーカカシ)」を開発するPSソリューションズ株式会社。後継者不足が叫ばれる農業の技術を次世代に継承していく仕組みや、日本の農業の活路について、e-kakashi開発者の山口典男(やまぐちのりお)さんにお話をうかがいました。

山口典男さん略歴

・1963年、東京都生まれ

・大学卒業後、国際電信電話株式会社(現・KDDI株式会社)に入社し、人工知能を応用したネットワーク管理システムの研究開発に従事

・2000年より日本ヒューレット・パッカード株式会社にてサービス開発コンサルティングを担当

・2005年にボーダフォン株式会社(現・ソフトバンク株式会社)に入社し、通信卸売事業の責任者としてディズニーモバイルなどを手掛ける

・2008年、ヘルスケアシステムの情報モデル研究で博士号(情報システム科学)を取得(公立はこだて未来大学)

・現在はソフトバンクグループのPSソリューションズ株式会社にてe-kakashiを開発する

ただのデバイスではない。ソフトウェアとの連動が売り

e-kakashiは、情報を活用した畑の守り手「カカシ」です。農場で環境データを取得するセンサーノード(子機)と、通信用のゲートウェイ(親機)で構成されます。センサーノードにより、気温、相対湿度、地温、水温、土壌体積含水率、日射量、CO2濃度などを計測できます。

ただし、e-kakashiは、データを計測するだけの装置ではありません。取得した環境データを学術的な研究成果と掛け合わせ、今どんなリスクがあり、どう対処すべきか、最適な生育環境へ導くことができます。カーナビの様に、次にどんな作業をするべきかを教えてくれます。単なるIoTデバイスではなく、具体的に何をするべきかを導き出すソフトウェアまで包括しているところが強みです。

e-kakashiができたきっかけは、2008年に「地方の通信ニーズを掘り起こす事業の企画」に参加したことです。そこで初めて農業分野でのIT・通信の可能性を知り、当初は獣害対策の監視システムを作ろうと思いました。ところが、獣害対策をする前に、そもそも作物を栽培する段階で使えるIT機器自体がないことに気づき、この分野でサービスを作ることにしました。

現場のデータと研究成果を掛け合わせる

農業の世界は、現場の感覚と研究の世界が大きく離れている世界です。その間を埋めるのが私たちの役割だと考えています。例えば、熟練の農家は、水田に手を入れてかき混ぜながら温度や手触りを見て水田の水位を決めています。それを見た若い農業者が、単にその動作だけを真似しても、おいしいお米は作れません。科学的に裏付けする必要があります。この例で言えば、地温が12度を下回ると稲の生育が悪くなるということが研究から分かっています。その微妙な温度感を、熟練の米農家は手触りで感じているのです。

e-kakashiは、地温が12度以下になったのを検知すると、アラートを出して対策を促します。対策はその地域によって違います。その地域の特性を知り尽くした熟練農家の技はここでも活きるのです。そして、その技もその地域で営む若手農家に引き継がれます。経験による技術や勘が、継承可能な形になるわけです。

環境データをどう活用するかが非常に難しいのですが、e-kakashiの開発メンバーは元々その分野の研究者です。集めたデータから結果論的な提案を導き出すのではなく、学術的研究・植物生理の理論に即した提案ができることが何よりの強みです。

自然相手の農業で、学術的根拠がどこまで活かせるのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、現段階で、かなりの植物の育成の仕組みが分かっています。もちろん、全く解明されていない事象もありますが、人類が解明したものは早く仕組みにしていこうという考えです。

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