朝食に牛乳を飲むシーンでパンと組み合わせる人もいる一方、朝は和食はだけれど、カルシウムの補給のために牛乳を合わせる人もいる。起きたばかりは食欲がないのでとりあえず牛乳を一杯。身近な牛乳だからこそ、それぞれの特長を確認したいと思い、4種類を飲み比べしてみました。どの商品が朝食に合うのかという疑問や、いつもの銘柄と違った商品を試してみたいひとのご参考にしていただきたいと思います。。
今回飲み比べた牛乳
1.明治 「明治おいしい牛乳」
2.雪印メグミルク 「特濃」
3.大山乳業 「白バラ牛乳」
4.蒜山酪農農業協同組合 「蒜山高原ジャージー2」
比較の候補に選んだ理由は以下の通りです。
1.全国で一般流通している牛乳
2.濃厚さを追求している商品
3.地方の乳製品メーカーの牛乳
(今回の大山乳業は鳥取県琴浦町にある鳥取県の酪農家で組織した専門農協で、主に山陰・北近畿で流通している牛乳です)
4.一般的に牛乳に使われる事が多いホルスタイン種ではない、ジャージー種の牛乳
1と3が「牛乳」、2が「乳飲料」、4が「成分調整乳」となります。
牛乳の種別
牛乳は搾って殺菌された後の加工によって種別が変わります。
成分無調整乳
絞った後、殺菌のみで何かを添加したり脂肪分の調整を行ったりしていないもの。表示に関して法的規制はなく「牛乳」または「成分無調整乳」の表示のどちらかを使うかはメーカーの判断によります。
成分調整牛乳
主に脂肪分を調整したもの。低脂肪乳や無脂肪乳もこれに含まれます。今回セレクトした「蒜山高原ジャージー2」は原乳の乳脂肪率がとても高いのを4.2%に調整されているためここに分類されます。
加工乳
クリームや濃縮乳などの乳製品を牛乳に加えて濃厚にしたものです。
乳飲料
ビタミンやカルシウムなどを添加した牛乳。今回は乳製品やホエーチーズの他、ビタミンDを添加しているので加工乳ではなく、乳飲料になっています。この分類に入るものは商品名に「牛乳」と付ける事ができないので特濃牛乳」ではなく「特濃」という商品になります。
そのままを飲み比べた感想
飲み比べた感想をまとめました。
色も肉眼で見るとはっきり違いがわかります。黄色みが強い順に特濃→ジャージー4.2→明治と白バラはほぼ同じという印象でした。
明治おいしい牛乳
- スタンダードな牛乳、というイメージ。
- 甘味よりコクが強い。
- 鼻から抜ける香りが典型的な「牛乳」なので、牛乳の匂いが嫌いな人だと苦手に感じるかもしれない。
- 牛乳好きの人のために、日常使い向けを目指した味、という印象。
特濃
- エバミルクを思わせる強いミルクの香り。
- 「ミルク」という言葉でイメージする「コク」や「濃厚」という部分の「牛乳味」を濃くした感じ。
- 「絵本などの創作に登場する『おいしいミルク』の味を作ってみました」という印象。
白バラ牛乳
- 他の物より口当たりがひんやりと感じて軽く、さっぱりした甘味が強い。薄いのではなく、乳脂肪の質がよいので口当たりが軽いという印象。
- くせがなく軽めの味。
- 牛乳臭さが苦手な人が練習で飲むのに良さそうな味。
蒜山高原ジャージー4.2
- コクがあるが、特濃が真っ先にミルキーな風味を感じさせるのに対し、こちらは濃厚な感じは後から鼻に抜けてくる。
- 脂肪分は高いが、味よりも口当たりの柔らかさのために脂肪分が活躍している印象。
コーヒーと合わせた比較
牛乳50ccに「UCC上島珈琲 職人の珈琲 アイスコーヒー 無糖」を45cc加えて試飲しました。コーヒーと合わせた色も若干違います。
明治おいしい牛乳
- 口当たりが軽くなってスイスイ飲める感じ。
- コーヒーをさっぱり飲みたい時におすすめはこれ。
特濃
- 苦みが丸くなる。
- 薄いコーヒーだとコーヒーが負けるかもしれない。
- エスプレッソベースなどでアイスカフェラテを作る時に使うとコーヒーに負けずに濃厚でコクがある味に仕上がりそう。
白バラ牛乳
- 口当たりが柔らかくなった。
- コーヒーの香りを一番感じた。
- コーヒーの酸味を和らげるので、コーヒーの酸味が好きな人は明治の方が良いかも。カフェオレ自体の味は飲みやすく、たくさん飲みたい人向け。
蒜山高原ジャージー4.2
- コーヒーと牛乳の持ち味がそのままという感じ。
- コーヒーの苦みも良い意味できちんと舌に残る。
- 牛乳の味がしっかりしているのでおいしいカフェオレやカフェラテを味わって飲みたい時に。
シリアルとの相性
明治おいしい牛乳
- コクがあるのでブランフレークなどの飲み込みにくいタイプのシリアルにも合いそう。
- シリアルとの相性を選ばない味。
特濃
- 食べている時は問題ないが、残ったミルクを飲むとチーズのような特徴的な味が残るので、味が濃いシリアルをたくさん食べる時は味の相性を選ぶかも知れない。
白バラ牛乳
- フルーツ系のシリアルとの相性は抜群の味。
- チョコ系など甘味がしっかりついているシリアルと合わせると残ったミルクが軽く感じるので飲み干しやすい。
蒜山高原ジャージー4.2
- シリアルとも良く合う。
- まろやかでおいしいが、牛乳の持ち味がシリアルの味に隠れてしまう面があるので、牛乳そのものを味わいたい時にはもったいないかも知れない。
牛乳別のおすすめ朝食シーンの例
比較する前は牛乳の違いがわかるだろうかと不安もありましたが、実際には飲み比べてみると予想以上にはっきりと違いがわかりました。
明治おいしい牛乳
甘さ控えめでコクが強いのでそのまま飲むだけではなく、カフェオレやミルクティーに使う、シリアルに合わせるなど、どんな場合にもOK。ただし牛乳の匂いがはっきり立っているので、牛乳が苦手な人が健康のために頑張って飲みたい、という場合は、好き嫌いが分かれるかもしれません。
特濃
味が濃いので牛乳だけ飲んで満足感が欲しい場合などにおすすめです。濃い牛乳が好きという人は一度試す価値があります。
白バラ牛乳
こちらも相性を選ばない味です。くせがなく柔らかい味なので、牛乳が苦手な人の入門用にもおすすめです。
蒜山高原ジャージー4.2
濃厚なのにくどさがなく、合わせるものを選びません。この商品に限らず、ジャージー種の牛乳は価格が高めな傾向があります。その点が日常使いの食品としてはネックになるかもしれません。
好みの牛乳を選ぶ時のポイント
牛乳の味は牛の食べたエサや飲んだ水の質、さらには環境などでも変わってきます。大手メーカーの場合、原乳を納める契約農家の数が多いので商品のコンセプトに合わせ、農家に対して「こういう牛乳が欲しい」と希望を伝えるなど、味が均一になるよう努力しています。地方の乳製品メーカーの場合、牛乳を集める地域が特定していることから、味に特色が生まれます。「その土地と土地の水が作った味」といえます。地元メーカーの牛乳で育った人が、別の地域の牛乳を飲んで味の違いに驚くケースもあるかと思います。「牛乳はどれも同じ」ではありません。好みに合う牛乳を探したり、気分で使い分けしたりすることを食卓の楽しみに加えてみてください。