「FOODEX JAPAN国際食品・飲料展」(以下、FOODEX JAPAN)は、2018年3月の開催で43回目を迎えるアジア最大級の食品・飲料専門展示会です。巨大な会場に所狭しとブースが並び、大勢の来場者が詰め掛ける様子は圧巻です。そして、日本全国や世界規模のマーケットに打って出るきっかけを掴もうと、やる気に満ちた事業者たちが集まり、次々と商談が決まる場です。
そんなFOODEX JAPANに、高知県が食品加工事業者と一丸となって県産品の魅力をアピールするため、参加しました。その参加事業者の審査会の様子をレポートします。
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高知県はひとつの大きな家族。「高知家」として一丸となり県産品のPRに取り組む
高知県は、豊かな海と山に恵まれた食材の宝庫です。南側は太平洋に広く面し、西部はリアス式海岸、東部は隆起海岸があり、魚種の多さは日本全国でもトップクラス。年間を通し、豊かな海の幸に恵まれています。
また、北側は四国山地に囲まれ、冷涼な気候であることが特長。高地栽培の野菜や、柚子などの果樹が多く栽培され、土佐あかうしといった肉用牛の飼育も行われています。そして、平野部では温暖な気候を活かし、水稲の早期栽培や、野菜を中心とした栽培が盛んです。県産のミョウガ、ナス、シシトウ、ショウガ、ニラ、ユズは全国第1位のシェアを誇り(※1)、キュウリ、ピーマン、オクラ、小ネギ、アールスメロンなども生産されています。
高知県では、「高知県は、ひとつの大家族やき」のキャッチフレーズを掲げ、2013年から県のPR活動を行っています。県全体がまるで大きな家族のような温かさにあふれているということから、「高知県」ではなく「高知家」と表現しているのです。
お互いを家族のように大切にする県民性は、今回のFOODEX JAPANに向けた取り組みでも健在。高品質かつバラエティ豊かな県産品を用意し、県一丸となって認知向上と売り上げの拡大を目指しています。
挑戦を続け、高知県全体で進化し続けるためのFOODEX JAPAN審査会
2018年に行われるFOODEX JAPANの参加希望者を県内から広く募り、2017年7月7日、優れた事業者を選出するための審査会が実施されました。
審査会を主導するのは、高知県地産外商公社。東京都、大阪府、高知県に拠点を置き、高知県産業振興計画の重要な柱の「地産外商」を推進する母体とし、活動を展開している組織です。
高知県のFOODEX JAPANへの初参加は2013年。以来、毎年参加しており、2018年で6度目になります。この展示会の魅力は来場者数の多さで、次回(2018年3月)の来場者数は約8万5,000名と予測されています。
「FOODEX JAPANへの参加は、大きな市場に打って出る一歩としての好機と捉えています。熱心な事業者の参加を支援することで、県全体で県産品の認知拡大など、レベルアップを図っていきたい」と、高知県地産外商公社の井上竜次(いのうえりゅうじ)さんは言います。「回数を重ねるごとに経験が積み重なっているのを感じます。参加者みんなで切磋琢磨し、訪問者への県産品の訴求や説明も、格段に良くなってきたと感じます。」
FOODEX JAPAN参加希望事業者それぞれが万全を期して、商品や資料を丁寧に作り、審査会に挑みました。日頃、和気あいあいと互いにやりとりする事業者同士も、この日ばかりはプレゼンテーションの順番を待つ間も、事業者は真剣な表情です。
いざ審査会へ
審査は、外部から招聘された専門家で構成される3人の審査員が評価します。評価のポイントとなるのは、出展意欲、販路の開拓体制、質問などへの対応力。それに加えて、コンセプトやユーザーターゲティングなどの観点から見た商品力、食品製造業ならではの衛生管理、過去の出展状況の6つの項目です。さらにプレゼンテーションでの質疑応答や、提出されている資料をもとに各審査員が加点評価し、合計点で順位が定められます。
その中でも最も重要なのが、実際に商談を成功させるために必要なコミュニケーションスキルだと井上さんは言います。
「審査会の真の目的は、商談の実践力を養ってもらうこと。本番さながらの商品提案の機会を設けることで、事業者に商品の伝え方を磨いてもらったり、商品の強みや弱みなどを把握してもらいます。そして審査員にプレゼンテーションをし、様々な角度から質問を受けることで、取引対象者とのコミュニケーションスキルを向上させる。それが、展示会での成約率の向上につながるんです」
審査会を終えて
審査会の結果、2018年のFOODEX JAPAN出展予定事業者は、農産物加工、食肉加工、水産加工に製菓など、多岐にわたる17事業者が選ばれました。
審査員として参加された日高泰仁(ひだかやすひと)さんは審査を振り返り、これから高知県にも事業者にも、ますます発展してほしいとの願いを込めてこう話しています。
「高知県の事業者の多くは事業規模が小さいので、生産効率も価格もナショナルブランド とは競争にはなりません。だからこそ、嗜好の多様化という流れにのって、ナショナルブランドにはない魅力を深耕してほしいですね」
井上さんは、「継続した高知県地産外商公社の取り組みによって、高知県の商品力が上がっていると実感できます。これは、審査会を経て、展示商談会に出展し続けてきた県内事業者の努力と改善の賜物です。課題は、参加事業者の中に商品をアピールする力が備わっている事業者と、まだ成長段階にある事業者がいること。着実に成果につなげる事業者が増えてきている一方で、さらにステップアップが必要な事業者もいるでしょう。本番までには、継続した支援の必要性を感じています」と振り返りました。
FOODEX JAPAN 2018は、2018年3月6日から3月9日まで、幕張メッセにて開催されます。3,350社のべ4,000ブースの参加が見込まれ、商機を狙い、しのぎを削る事業者たちと来場者が盛り上がりを見せることでしょう。そんな中で継続した取り組みを続け、全体で底上げを狙う「高知家」は、どのような飛躍を見せるのか。これからの活躍に期待していきたいと思います。
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高知県農業公社
http://www.kochi-apc.or.jp/climate.php
FOODEX JAPAN 国際食品・飲料展
※1 高知県農業公社 http://www.kochi-apc.or.jp/climate.php