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食育は大人こそ必要 「食と農の未来を創る食育コーディネーター」の取り組み

食育は大人こそ必要 「食と農の未来を創る食育コーディネーター」の取り組み

2017年08月31日

楽しく食育をする会社をコンセプトに設立された合同会社「coconi(ココニ)」。代表の菅千明(すがちあき)さんは、自宅や助産院での料理教室や、食育に関する講座を行っています。農家の方との付き合いや、神奈川県の野菜の魅力などを通じて食育の大切さを伝える、菅さんの活動に迫ります。

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食育の観点から、神奈川の食文化の創造に取り組むフードコーディネーター菅千明(すがちあき)さん。世界初の食べもの付き情報誌「神奈川食べる通信」の運営に携わりながら、合同会社coconi(ココニ)の代表として、食育に関する活動を行っています。精力的な活動を支えるのは、「子どもに食の楽しさを伝えたい」という熱い思いでした。

関連記事:食べ物付き情報誌「神奈川食べる通信」が考える農の未来とは

子どもの「食」環境に驚きを感じた

合同会社coconi代表の顔以外にも、さまざまな顔をお持ちですが、現在の活動の内容を教えてください。

coconiは楽しく食育をする会社をコンセプトに、2015年に設立しました。自宅や助産院での料理教室の他、イベントのワークショップや、食育に関する講座に参加しています。また、「神奈川食べる通信」では、農業従事者の方と読者である消費者をつなぐ、さまざまな試みに携わっています。

菅さんが「食育」に興味をもったきっかけは何でしょうか。

元々料理が好きだったこともあり、大学で家庭科教員の免許を取得しました。大学の授業で「食育が大事だ」ということを学んでいましたが、その時は正直ピンと来ていませんでしたね。

卒業後は、横浜市の小学校教員として6年間勤務しました。毎日小学生と一緒に給食を食べていたのですが、その中で「食」に関する格差を感じたのが、食育に興味を持ったきっかけです。毎日一緒にご飯を食べていると、食べ方からその子の食事情がわかる。食材の名前や食べ方を知らない子が多いことに、驚きました。経済格差ではなく、子どもたちを取り巻く大人の食に対する関心度の違いだと感じました。

魚の切り身が海で泳いでいる絵を描く子どもがいる、と一時メディアで話題になりましたが、それが現実として目の前にあったのでしょうか。

その通りです。子どもは、知らないものは食べません。ご飯は毎日食べるもの。食べ物で心も身体も育っていくのに、子どものうちから食に興味がある子とない子に分かれてしまうのが、もったいないな、と思ったんです。食に興味を持つきっかけがない子どもに、どうにか機会を作ってあげられないかと思ったのが、この世界に飛び込んだ動機です。

地元産食材の魅力に気付いたレストラン時代

6年間勤めた教員を辞めた後、横浜市の関内にある地産地消レストランで働き始めたきっかけを教えてください。

食育に興味を持ったものの、教員のままだと日々の業務に忙殺されて、なかなか食育にエネルギーを割けない。周囲の反対を押し切って、6年間勤めた教員の仕事を辞めました。

食育に携わりたいという気持ちを持ちつつ、次の道を探していた時に出会ったのが、「80*80(ハチマル ハチマル)」というレストランでした。「80キロメートル圏内で生産された食材を80%以上使う」をコンセプトとする地産地消レストランで、ここなら思っていたことを形にできるかもしれない、と就職を決めました。

実際はどうだったのでしょうか。

農家の方とのお付き合いや、神奈川の野菜の魅力、食材の旬など、80*80で学んだことは、今の仕事にも大きく寄与しています。

2015年に、店のオーナーが「神奈川食べる通信」の編集長となり、そのコーディネーターを引き受けたことも、転機となりました。それまで神奈川に長く暮らしていたのに、地元で作られている農産物や海産物がたくさんあることを知らなかった。野菜、魚、肉、米、チーズ。海も山もある神奈川には、驚くほど多くの産物があることを学びました。

旬の食べものは、味が濃く、栄養価もあり、たくさん出回っているからこそ価格も安価でお財布にも優しい。私が目指す食育のための、大きなヒントとなりました。最終的には店長として、メニュー開発に携わったり、親子料理教室を開催したり、さまざまなチャレンジをさせてもらえました。

大人が変わらなければ、食の未来は変わらない

レストランでの活動を経て、coconiを設立したきっかけは何だったのでしょうか。

80*80での活動を通して、食育には、子どもより大人の意識を変えることが必要だということを感じていました。親子料理教室をはじめとする子ども向けの食育イベントを企画しましたが、結局そこに参加するのは、元々食に関心の高い家庭の子どもなんです。自分がやっていることは、教員の頃に感じた「食に関する格差」を、むしろ助長しているのかもしれない、という矛盾を感じました。

結局、たどり着いた結論は「大人が変わらなければ、子どもの食生活は変わらない」ということ。そこで、思い切って独立し、coconiでの活動を開始しました。

現在は、自宅の他、助産院での料理教室も開催していますね。

coconiを設立した当初から、子どもを持つ親に向けた料理教室を開きたい、と思っていました。妊娠中や授乳中は、食育への関心がもっとも高いとき。私にとってはチャンスとも言えますね。未来のお母さんたちに、食の大切さを伝えて、子どもの食生活が少しでも豊かになるといいなと、思っています。

自宅にある調味料で、旬の食材を簡単アレンジ

coconiの活動や、こだわりを教えてください。

料理教室では、毎月2つ、テーマとなる野菜を決めて、それを使ったレシピを6、7品紹介しています。7月はズッキーニとトマトを扱いました。旬の野菜を意識して食卓に取り入れるきっかけになってくれたらいいなと思っています。

また、助産院さんでの教室の場合、生徒さんはお腹が大きかったり、小さいお子さんを抱えている方ばかり。体力的にも時間的にも、料理をする余裕がないけれど「お腹の子にはおいしいものを食べさせたい」「授乳中なので身体によいものを食べたい」というニーズがあります。そこで、私の料理教室では「自宅によくある調味料しか使わない」のがモットーです。醤油、みりん、砂糖など、普段使いの調味料で、いつもと違うアレンジを楽しめて、しかも簡単にできるもの、という点を心がけています。

生徒さんの反応はいかがですか?

教室で扱ったレシピを自宅で試してくださったり、失敗したときに相談してくださったり、やり取りを通して、食への関心を持ってくださる方が多いと感じます。

生徒さんの中には小さいお子さんを連れてくる方もいらっしゃるのですが、「お家では食べないホウレンソウを、料理教室では食べた」と、驚かれることも。これをきっかけに、親子で食や料理に対する興味を持ってくれたらいいなと思っています。

毎日の食事を、心から楽しむために

「食育のエキスパートと言っても、私は決してストイックではない」と笑う菅さん。時にはジャンクフードを食べることもあると言います。「これじゃなきゃダメ、と自分を縛ると続かない。本物を知っていればいいかな、というスタンスです」。

気負わず、自然体で楽しむ毎日の食事は、人生を豊かに彩ります。菅さんが始めたアクションは、食に関して大人が変わること、そして子どもたちを取り巻く環境を変え、未来の食文化を創造する第一歩となることでしょう。

 

関連記事:食べ物付き情報誌「神奈川食べる通信」が考える農の未来とは

合同会社coconi

https://www.facebook.com/goudougaisya.coconi/

写真提供:合同会社coconi、菅千明さん

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