大手のビール会社が量産するビールに対して、クラフトビールに注目が集まる昨今、マイナビ農業編集部に「マイビールを作ってみませんか」という提案がありました。近年、会社のイベントや、結婚式の引き出物などの販促物や贈り物に、オリジナルレシピのマイビールをプレゼントするケースも増えているのだとか。
ちょうど、サイトのオープン記念企画を検討していたタイミングだったこともあり「ベルギーでは、農家が夏の農作業中に飲むために、冬の間に醸造したセゾンビールというものもあるんですよ」という説明を聞いた瞬間に、農作業のお供「マイナビール」作りが決まりました。「マイビール」と「マイナビール」って響きも似ているし、マイナビ農業のイメージにぴったり。読者の方々に、マイナビ農業オリジナルのセゾンビールをお届けしようと、急遽、プロジェクトチームが立ち上がりました。メンバーはそれぞれが自分のお気に入り銘柄があるビール愛飲家たち。どこにもないオンリーワンの「マイナビール」を作る使命感に燃え、JR常磐線に飛び乗りました。
一行が向かったのは茨城県那珂市、1823年から続く日本酒の蔵元・木内酒造。銘酒「菊水」を醸造する酒蔵の一角に、オリジナルビールを作る「手造りビール工房」があります。木内酒造は1996年に「常陸野ネストビール」を発表して以降、テイストの異なるクラフトビールを発表し、好評を得ています。
酒造りに妥協を許さないその木内酒造の「手造りビール工房」で、こだわりの原料を使って、マイナビールは誕生します。
日本酒蔵の雰囲気を残した独特の情感あふれる空間。麦の香りに包まれた工房に集まったマイナビ農業編集部の精鋭たちは当然ながら、愛飲家であるものの、ビール作りの素人たち。実際の作業に入る前に打ち合わせを行い、ビールの方向性を相談します。ビールのテイストはモルトとホップの組み合わせによって決まります。無限のモルトとホップの組み合わせを、経験豊富なビール工房スタッフの方がサポートしてくれました。
ライトな味わいを求めるか、深いコクのあるビールにするか。風味は。香り付けはどうするか。様々な種類のビールを試飲し、意見を出し合い、工房のスタッフにイメージを伝えて、それにあわせたモルトとホップを決定します。「マイナビール」は、軽いのど越しで、麦の味を感じられる「誰もが楽しめる」ビールを目指すことになりました。
ここからは、参加者全員が想像もしていなかった肉体を酷使する作業の連続。数種類のモルトを計量し、ブレンドする。それを機械で砕く、釜に移すといった原料を運ぶ作業だけでなく、麦汁をろ過するのも自分たちで行います。ときには、重いモルトや液体を移動するのにスピードが要求される場面も。慌てて、モルトの袋を落として、まき散らすということのないように。一刻も早く作業を終わらせたくて、ろ過のペースを上げすぎないように注意です。
途中、糖化を待つ時間に、木内酒造のお酒を楽しむブレイクタイムはあったものの、マイナビ農業編集スタッフは、心を一つに「マイナビール」づくりに取り組みました。ホップを加える作業を終えて、本日最後にできあがった液体を試飲。「発酵前のビールは甘い」と感じた頃には、ヒグラシの鳴く夕刻を迎えました。
この後、わが子のように愛しさを覚えるようにまでなったビールを工房に預けて、マイナビールづくりの工程を終了しました。
この後、発酵・熟成を経て、完成したビールが届くのは一ヵ月後。
その間、ビンに貼るラベルのデザインなどを行って待ちます。
オリジナルビールづくりにチャレンジしてみて、思いのほか重労働だったものの「ビールってこうやってできるのか」と、ビールの製造過程を体験できたのは良い経験でした。
当たり前のことだけれど、ビールは、麦やホップの生産者、ビール工場の関係者など、たくさんの人の手を経て完成する。
果たしてマイナビールの仕上がりは。
木内酒造 http://www.kodawari.cc/