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ビールの“中身”を見せてください vol.2:【準備編】国産ホップの基礎知識【後編】

ビールの“中身”を見せてください vol.2:【準備編】国産ホップの基礎知識【後編】

コンビニやスーパーで手軽に購入できるビールですが、その1本1本が手塩にかけて育てられた原料をもとにできています。この企画では、ビールの“中身”を探っていきます。
第二回は話題の「ホップ」についての基本を学びながら、日本国内でのホップ栽培や品種などの動向に注目して紹介していきます。
後編はポップの栽培・新品種についてご紹介いたします。

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ホップの栽培スケジュール

<棚づくり>

準備段階として棚を作る。

<株ごしらえ>(4月)

株から余分な側根は取り除き、拳状に形を整える。ホップは一度栽培すれば毎年春に芽が伸びる。伸びた芽からめぼしいものを2〜3選び、それ以外は取り除く。

<縄下げ・選芽>(5月)

棚の上部から縄(または紐)を下げて、ホップが絡みつくようにする。成長とともに選芽し、健全な蔓を残してその他の芽は摘む。

<蔓上げ・消毒>(6〜7月)

蔓が伸びたら保護のために土寄せを行い、地上30cm程度まで下葉及び側枝を摘み取る。6月中旬頃には棚上部にまで蔓が伸長し、開花が始まるため追肥を行う。毛花が咲き出す7月初旬から収穫の20日前頃までは、必要に応じて消毒を行う。

<収穫>(8月)

8月上旬には毱花が成熟期を迎える。その年の気候により収穫のタイミングは変化する。

<乾燥・放冷>(8月)

摘み取ったホップは当日中に乾燥させる。乾燥温度は花周辺が60℃になるように調節し、7〜8時間乾燥させ、その後放冷する。

参考:『北杜忽布物語~幻の“かいこがね”~』(北杜市郷土資料館)

【関連記事はこちら!】ビールの“中身”を見せてください

国産ホップを使ったビールの紹介

大手ビールは生産量の規模もあり、国産ホップのみに絞った商品はなかなか難しいですが、季節や地域限定で色々と発売されています。

アサヒビールでは、スーパードライ30周年を記念して、国産原料100%で醸造した『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル』。キリンビールは、かいこがねを使用した『一番搾りプレミアム』やIBUKIを使用した期間限定発売の『一番搾り 若葉香るホップ』『一番搾り とれたてホップ生ビール』そして『47都道府県の一番搾り 岩手に乾杯/秋田に乾杯/山形に乾杯/仙台づくり』。サッポロビールは、その年収穫したホップを乾燥せずに投入する、毎年限定発売の『サッポロクラシック富良野VINTAGE』や『サッポロ生ビール黒ラベル東北ホップ100%』などがあり、また毎夏にぎわう「さっぽろ夏まつり」のさっぽろ大通ビアガーデンでは、フラノビューティを使った『クラシック富良野シトラス』を会場のみの数量限定販売で提供しています。

クラフトブルワリーはビールの醸造量が多量でない分、導入しやすさもあります。ホップの自家栽培を実施している主なブルワリーは、麦雑穀工房ブルワリー(埼玉)、ストレンジブルーイング(新潟)、ベアードブルーイング(静岡)、玉村本店(志賀高原ビール)(長野)、嬬恋高原ビール(長野)、宮崎ひでじビール(宮崎)など。その他、ホップをコンセプトにビール造りをするのが、地域活性として世田谷ホッププロジェクトを実施しているふたこビール(東京)や2018年から地ホップ100%での醸造スタートする忽布古丹(ホップコタン)醸造(北海道)。

そして、大手ビールメーカーの子会社として多様なビール造りを展開しているのが、サッポロビールの関連会社であるジャパンプレミアムブリュー、アサヒビールの関連会社である東京隅田川ブルーイング、そして、キリンビールの関連会社であるスプリングバレーブルワリーでは毎年のイベントとして、「フレッシュHOPフェスト」を実施し、多くのクラフトブルワリーを巻き込みながら、国産ホップから生まれる新しいビールの魅力を伝えています。

今後の新品種や農家や畑との連携も注目したい

新品種の登録・出願も続いています。サッポロビールはフラノビューティ(2008年)、ふらのほのか(2013年)、フラノブラン、フラノフローラ、フラノローザ(2014年)、フラノマジカル(2016年)を品種登録出願中。キリンビールも、具体的な品種などはまだ未定であるものの、MURAKAMI SEVEN以降の新品種開発は進んでいて、なるべく早急に発表していくとのお話です。

また、第一回の記事でも紹介したサッポロビールの協働契約栽培はもちろん、キリンビールCSV推進部による遠野市のホップ農家への新規就農などへの支援活動、大手ビールメーカーとの契約だけではない、京都与謝野ホップ生産者組合やホップジャパンの稼働など、品種はもちろん、ホップを育てる畑への注力も進みつつあり、これからの国産ホップの市場拡大を期待できる活動が徐々に活発化しています。

「国産ホップと似たような香りを持つ輸入ホップも存在しますが、国産のホップには輸入モノにはない“ピュア”さがあると思っています。当社の遠野産ホップの使用割合は現状全体の10%ですが、これをもっと増やしていきたいと考えています」とキリン酒類研究所主幹研究員でホップ博士村上敦司さん。盛り上がるほどにビールの多様性へとつながるホップ。麦ももちろんですが、今後の国産ホップの展開はビールの新しい時代を開く鍵となるはずです。

国産ホップのワクワクする展開は、今後も目を離せません。

取材協力:(敬称略・アイウエオ順)

アサヒビール株式会社、キリンビール株式会社、サッポロビール株式会社、北杜市郷土史料館

編集:ビール女子編集部

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