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実験を重ねてベストな道を探す。未知なる農業へワクワクする気持ち。

実験を重ねてベストな道を探す。未知なる農業へワクワクする気持ち。

2017年09月10日

新規就農し、肥料を与えない野菜作りをしている伊藤祐介(いとうゆうすけ)さん。必要最低限のものに囲まれたシンプルな暮らしを考える中で農業への関心が高まり、農家に転身しました。農業は実験の連続だという伊藤さんの農業について、前編後編に分けてお送りします。前編は、伊藤さんの農業の楽しみ方をお届けします。

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伊藤 祐介さん略歴

・岐阜生まれ

・大学進学のため山梨へ、そのまま山梨で就職

・2013年、畑を借りて専業農家に

30種以上の多品目を作る専業農家

山梨県北杜市明野町で農家をしています。無農薬・無化学肥料で、体にも環境にも優しい野菜を少しずつ生産しています。トマトやニンジン、きゅうり、ピーマンからケール、エゴマなど30〜40品種程。育てやすく、明野という乾燥した土地と相性が良い品種を選んで生産しています。おいしい味にすることより、安全な野菜作りにこだわっています。

畑はレンタルです。町内5ヶ所に点在していて、総面積は1.5ヘクタールです。

日々の作業は時期によって変化しますが、基本的には出荷、草取り、種まきの作業を行っています。収穫は、夏から秋にかけては毎日行い、収穫した野菜はスーパーや飲食店に卸したり、お客様の自宅に宅配したり、共同出荷グループのメンバーと共にネットで販売しています。

必要最低限のものを大切にする生き方

農業を始める前は、営業 の仕事をしていました。売り上げもある程度立てられましたが、自分の仕事は生きていく上で本当に必要なものなのかと、考えることがありました。

その頃、営業担当エリアが田畑の多い地域になり、農家に触れ合う機会が増えました。彼らは汗水流しながら一生懸命働き、自分に正直に生きているように見えました。自分はというと、仕事に疑問を持ちながら働いていて、もやもやしました。

そんな中、東日本大震災が起こりました。震災を機に、世の中には本当に必要で作られているものと、必要と見せかけて本当はなくても過ごせるものがあることを実感しました。あれもこれも取り揃えて暮らすより、必要最低限なものを大切にして生きたい。何より、食の安全について、自分で考えなければならない。そんな思いから、野菜作りへの興味が日に日に増していきました。

そこで、地元の農家が集まる朝市に出かけてみると、知人 が野菜を売っている姿を目にしました。彼は農家の元で農業を学び、野菜を売り始めたそうです。農業を始めるチャンスだと思い、研修先を紹介してもらいました。

研修先の農家は一人で野菜作りに取り組んでいました。何度か足を運ぶ中に、真摯に取り組む姿に惹かれて、本格的に農業に取り組みたいと思いました。また、連日流れる原発のニュースを見て、自分が安全な野菜を作るしかないと感じ、農家になることを決めました。農家から大変なことや苦労話を聞きましたが、自分でもやっていけるだろうと深刻には考えませんでした。職業訓練校の農業コースに 通い基礎知識を学びながら、1年半の研修期間を経て農家になりました。

自己流のアイデアを試してベストを探す

農家になって5年目の現在は、土づくりに励んでいます。5ヶ所ある畑のうち、一番山奥の畑には、水はけがいい土があります。しかし、鹿にとって格好の食料調達の場のようで、そこで野菜を作ってもあっという間に食べられてしまいます。そこで野菜を育てることは諦めました。

代わりに、そこの畑の土を他の畑に持って行くことにしました。いい土が他の畑で馴染んで新たにいい土壌を作っていくのか、反対に枯渇していくのかわかりませんが、どんな反応があるか楽しみです。私はできるだけ自然に近い状態で農業をしたいので、草取りはあまりしないで、適度に残しています。 むしろ、雑草は畑に必要だと考えています。雑草があるとカマキリやカエルやがやってきて害虫を食べてくれるので、農薬を与えなくても虫に食べられずに野菜を育てることができます。また、最近は、無農薬・無化学肥料だけでなく、耕すことさえしない自然農に挑戦しています。

追求するものと生活のためのバランス

野菜づくりで面白いのは、自分なりのやり方を試してベストな方法を探すことです。実験を繰り返して答えを出していくような感覚です。自然が相手ですから、すぐに答えは出ませんが、焦らずゆっくり構えていきたいと思っています。

ただ、ゆっくり構えたいと思う一方で、生活のためにもっと生産性もあげたほうがいいのではないかという葛藤もあります。私が目指す自然農を実現するためには、土作りに10年かかると言われています。小さな子どもや家族を養うために、ある程度妥協も必要だと思います。

それでも、生活のためだけに農業をやろうとは思っていません。これまで時間をかけてやってきたことをなくしたくはありません。自分の理想を追求することと、生活のためにやるべきことのバランスを考えるのも、実験のひとつ。自分なりの答えを探していきます。

 

前編では、伊藤さんが感じる農業の魅力についてお送りしました。後編は伊藤さんが所属する共同出荷グループの「農家同士の新たな繋がり」についてお届けします。

関連記事:「多種多様なスタイルの農家による共同グループ。農業のハードルを下げて盛り上げる。」

 

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