コスモスの名前の由来や花言葉
コスモスの名前は、ギリシア語の「kosmos」に由来します。
「秩序」や「美しい」という意味を表す言葉です。
その花びらが整然と並ぶ様子から付けられました。
花言葉は色によっても様々ですが、穏やかで透き通ったイメージの「少女の純潔」、「乙女の真心」、「調和」となっています。
コスモスの原産地と種類
コスモスはメキシコの高原地帯が原産地の1年草で、キク科の植物です。
メキシコには約20種の野生種があり、野生種の草丈は2mから3mになります。
園芸品種では矮性種(小型なまま成熟する種類)で40cmほど、高生種では1.5mほどの高さに成長します。
花径は大輪種で10cmを超え、その色は白、ピンク、赤が一般的です。
最近は品種改良により、黄色やオレンジの花色をもつコスモスも登場しました。
一重咲きのほか、花びらの付け根に小さな花びらがつくコレット咲きの品種や、花びらが筒状になる品種などがあり、目を楽しませてくれます。
一般的に「コスモス」として知られているのはCosmos bipinnatusといわれる種類と、これを改良した園芸品種です。
このほかに、もともと黄色やオレンジの花色が中心のキバナコスモス、黒紫色のチョコレートコスモスなどの種類もあります。
コスモスの伝来
コスモスがヨーロッパへ渡ったのは17世紀末から18世紀頃にさかのぼります。
このころメキシコからスペインの植物園に送られたことで各地に広がっていきました。
日本へは江戸時代末に伝来し、広く普及したきっかけは明治時代にもたらされた種によると言われています。
コスモスの特徴
コスモスは日当たりや風通しのよい場所でよく育ち、やせた土地でも生育します。
しかし水はけは良いほうが生育しやすく、過湿には弱い植物です。
短日植物のため、花芽ができるのは日照時間が短くなった9月以降が一般的です。
品種によっては早咲きのものもありますので、品種の選び方を工夫することで長く開花を楽しめます。
コスモスの育て方
コスモスは、プランターでも地植えでも育てやすい花です。
種をまいて育てる場合は20cm間隔ほどで3、4粒をまき、間引きながら育てます。
発芽の適温は15℃から20℃、種も大きめでよく発芽します。
本葉が4枚から6枚の時に新しく伸びてくる茎や枝を途中で摘み取る摘心を行い、1ヶ月ほどしてさらに伸びたわき芽を摘むと、草丈を低めに抑えることができます。
コスモスを育てる場合、肥料はあまり必要なく、水のやりすぎにさえ気をつければよいので手間がかからず育てやすい種類です。
コスモスの病気や害虫
コスモスは手間がかからず育てやすいのですが、風通しが悪くなるほど密生させてしまうと、うどんこ病にかかりやすくなります。
うどんこ病とは、葉や茎に白い粉をかけたような状態になる病気です。
カビが原因の病気ですので、日当たりと風通しに注意しましょう。
症状のある部分は切り取り、感染予防のために離れたところに処分します。
あまりにも広がってしまった場合は、効果のある殺菌剤を散布することで対処できます。
コスモスにつく代表的な害虫は、アブラムシがあげられます。
アブラムシは葉などの汁を吸い、植物を弱らせ、ウイルス病を拡散します。
コンパニオンプランツを近くに植えて寄せ付けにくくし、窒素肥料をあげすぎないなどの予防をしておきましょう。
アブラムシを見つけた際に、少ない量であればテープに貼り付けて取るのが簡単ですが、多い場合はデンプン成分や洗剤、食用油などを混ぜた液を吹きかけることによって退治する方法もあります。
アブラムシは自ら甘い液体を出して、アリに分け与えることで天敵であるテントウムシから身を守っています。
アリが群がっているところがあれば、まずはアブラムシを疑って確認をしましょう。
コスモスの農業用作物としての利用
近年の農業者の高齢化や担い手不足により、耕作放棄地が問題になっています。
耕作放棄地はそのままにしていると衰退が早く、すぐに荒れてしまいます。
それを防ぐためにコスモスを植えることが効果的です。
菜の花も同じ目的で栽培されることがあります。
コスモスを転作用や景観用として栽培した場合、村おこしなどのイベントに利用できるという利点もあります。
実際に日本各地で開花の季節になると、コスモス畑が観光の名所になっています。
緑肥として利用される機会も多く、チョッパー等で細断し、ロータリー等ですき込むこともあります。
コスモスは、訪花する昆虫を誘引することで、生態系の回復や、保護する効果も期待されています。
チョコレートコスモスは少し変わったコスモス
チョコレートを思わせる甘い香りをもち、シックな黒紫色の花を咲かせるチョコレートコスモス。
このコスモスは、一般的に見かけるCosmos bipinnatusとは違う種類です。
チョコレートコスモスの原産はCosmos bipinnatusと同じメキシコですが、多年草で、自然分球で増えます。
原種は高温多湿に弱いため育てにくく、野生では絶滅したといわれている植物です。
最近では原種の他、育てやすい交配種も出回っています。
原種、交雑種ともに種がとれないため、さし芽や分球で増やした株が流通しています。
4月から11月が生育期で、日当たりのよい戸外で育てます。
原種の場合は夏の暑い間7月から9月頃までは半日陰の場所で育てるようにします。
12月から3月は休眠期といい、枯れて無くなったように見えますが、球根は生きています。
球根を掘り出して乾燥する必要がない種類なので、鉢植えの場合は移動する、地植えしている場合はマルチをかけることで凍結を防ぎます。
翌年の4月を迎え、生育期に入ると、また新芽を出します。
咲き終わった花は、こまめに取り除かなければ、うどんこ病の原因になります。
長く楽しむために多少手間がかかりますが、手をかけたぶん開花すればそのシックな姿と甘い香りにきっと満足するでしょう。
なお、この甘い香りの感じ方には個人差があり、そこまで強く香るわけではありません。
実際にどんな香りがするのか、ぜひ、ご自身で確認してみてください。