農業機器のクボタと農業資材開発の住友化学
クボタは、農業機器総合メーカーとして、トラクター、コンバイン、田植機など、様々な製品を取り揃えていることで知られています。これに加え、農業機械に最先端技術とICT(情報通信技術)を融合させた営農支援システム「KSAS(ケーサス:クボタスマートアグリシステム)」を開発したり、農作物の販路拡大の提案を行ったりと、農業に関する問題を総合的に解決するサービスを提供しています。
KSAS対応農機。刈り取りしながら、食味・収量を確認できます
住友化学は、殺虫剤や除草剤、農作物の病気を予防する殺菌剤など、農薬や肥料等を開発、提供しています。さらに、これらの農業資材を組み合わせて総合的に農業を支援するビジネスを展開し、米の独自品種「コシヒカリつくばSD(エスディー)1号」等の生産、販売事業にも取り組んでいます。
米作りの低コスト化 競争力強化を目指して
クボタと住友化学がこれまで共同で取り組んできたのが、「鉄コーティング直播栽培」という栽培方法の普及です。これは、米の種子を特殊な鉄でコーティングしてから直接水田に播く(まく)方法で、育苗や苗の運搬が不要となるため、従来の栽培と比べて約60%の労働時間が短縮できます。高齢者の方でも米作りが可能となり、生産コストを低減させるなど数々のメリットがあります。
クボタと住友化学は、播種(※)と同時に処理できる殺虫殺菌剤、「スタウトダントツ箱粒剤」「箱王子粒剤」や、これらの薬剤を土の中に撒く機械として、農薬施用機「土なかくん」の開発にも共同で取り組んできました。
そして今回、「鉄コーティング直播栽培」での共同実証実験が開始されました。クボタグループが運営する農場「クボタファーム」で、住友化学の独自品種「コシヒカリつくばSD1号」の栽培や、農薬、肥料を使った実証実験が行われています。生産過程では、「KSAS」で収量、品質などのデータを蓄積していき、そのデータをもとにさらなる低コスト生産の実現を目指しています。
(※)播種:作物の種をまくこと
日本の農業の基盤を強くするために
日本の農業は、農業従事者の減少と高齢化による人手不足などの課題を抱えています。大規模化や低コスト化などによる基盤強化が求められており、国は米の生産コストを現状の全国平均(16,000円/60kg)から40%削減することを目指しています。今回の2社の取り組みでは、その目標を上回るコスト削減を目標に掲げています。
生産した米は大手外食チェーンや大手コンビニなどに販売するほか、将来的には輸出を検討しています。さらに2社は、自動運転農機やドローン、高性能な農業資材などを組み合わせた、より効率的な栽培体系を構築、実証していく予定で、低コスト栽培技術の普及を進めていきます。
クボタと住友化学の取り組みによって、米の生産の効率化、生産コストの削減が実現すれば、日本の農業はさらに飛躍することでしょう。
クボタ
住友化学
http://www.sumitomo-chem.co.jp