北海道100%オーガニック小麦を使用した創業70年の「シロクマベーカリー」 – マイナビ農業

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生産者の試み

北海道100%オーガニック小麦を使用した創業70年の「シロクマベーカリー」

北海道100%オーガニック小麦を使用した創業70年の「シロクマベーカリー」

2017年09月28日

北海道札幌市にあるパン屋「シロクマベーカリー」は、北海道産の有機小麦のみを使用したオーガニックパンを製造販売しています。有機小麦にこだわった「シロクマベーカリー」を運営する、シロクマ北海食品代表の荒川伸夫(あらかわのぶお)さんにお話をうかがいました。

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“生産者の顔が見える”北海道産の有機小麦100%

1947年の創業以来、現在も変わらず昔ながらのパン作りを続けるのは、札幌市内の人気店「シロクマベーカリー」です。食べ物の国内自給率の低さが問題視されはじめたこともあり、1997年から北海道産小麦にこだわったパン作りを始めました。2009年からは食の安全性を考慮し、有機小麦でのパン作りに取り組みました。おいしくて安全なパンを作りたいという思いを胸に、北海道の農家の方と畑作りから協働して生産した小麦が、有機JAS認証を取得。その小麦を100%使用したオーガニックパンが完成し、現在に至るまでたくさんの方に愛され続けています。

それほどまでに有機小麦にこだわったのはなぜだったのでしょうか。

「1980年代後半、輸送中の虫やカビを防ぐことを目的に、収穫後の穀物や果物に農薬を使うポストハーベストが問題になりました。日本の消費量のうち8割近くを輸入品に頼っている小麦についても同様です。これらを食べる消費者から心配する声が強まりましたが、私たちが着目したのは、毎日のように農薬を扱う農家です。実際、多くの農家で皮膚や呼吸器をはじめとする健康問題が起こり始めていました。パン作りにとって大切なビジネスパートナーでもある小麦農家の問題から目をそらすことはできない。農家の方々の健康を守りたいと考えました」。

「農家を守る」熱い思いが導いた有機小麦農家との出会い

「農薬の影響を受けるのはむしろ農家だ」という視点から、北海道内のたくさんの農家と意見交換を続けるなか、有機農業に取り組んでいた「田中屋ファーム」の田中哲夫(たなかてつお)さんと出会い、それが大きな転機だったという荒川さん。小麦を作るプロである農家とパンを焼くプロである職人が出会ったことで、北海道産のオーガニックパンを手掛けることになりました。

それまで北海道で作られていた小麦のほとんどが、パンに向かない品種でした。しかし1985年、パンに適した小麦の品種「ハルユタカ」が誕生したことを機に、荒川さんも北海道産小麦でパンを作ろうと考えたそうです。地元産の材料を使ったパン屋は当時ほとんどなかったそうですが、現在のシロクマベーカリーのような「地域に根差したパン屋」は、自然に行き着いた考えだったと言います。現在は、納得できる品質の小麦を安定的に収穫することが可能となり、地元の方のみならず観光客の方からも人気があります。

「お子さまにも安心して召し上がっていただけるパンですから、たくさんの方に愛されています。なかでも多くいただく感想は、シンプルな味であること、もちもちとした食感であること、いつまでも飽きずに楽しめるなど、どれも素材を活かしたパンだから寄せられた感想なのでしょう」。

シロクマベーカリーでは、北海道産小麦を使用したパンを毎日80種類作っています。噛むほどに甘みが増すバゲット、素朴な味わいが食事との相性も良いカンパーニュ。定番人気商品のほか、シロクマの手の形をモチーフにした菓子パン、地元野菜を生かした惣菜パンなど、個性豊かな味が並びます。

「首都圏を中心に、販売店やホテル、レストランといった飲食業界から引き合いが増え始め、パンを卸しています。2016年には工房を新たにし、オンラインショップもはじめ、全国どこへでも冷凍の状態でパンをお届けできるようになりました。パンの生産量を増やすことが、有機小麦農家を増やすことにつながると考えています。有機栽培は手間が掛かり、販路も比較的限られています。私たちの活動が、有機農家を支えることになり、有機小麦に挑戦する農家が増えることを願っています」。

農家とのパートナーシップはシロクマベーカリーの宝もの

冷涼乾燥を好むといわれる小麦の栽培に適した北海道。もちろんそれ以外の農産物も豊かなため、シロクマベーカリーでは、小麦以外の材料も農家から直接仕入れるようになったそうです。

「現在は小麦のほかに、ジャガイモや果物なども農家から仕入れています。彼らは、お互いの物作りに共感し合える大切なパートナーです。田畑の様子を見に行ったり、会食の機会を設けるなどして親交を深め、良い関係を続けています。北海道はどの農村地域にも特産品があり、どこも元気がよく勢いがあります」。

北海道産の有機小麦や農作物がシロクマベーカリーで商品になり、多くの方に喜ばれること。これは地元の農家の方を生き生きと輝かせることにつながります。シロクマベーカリーのパンは、たくさんの作り手の思いを乗せて、今日も全国各地で愛されています。

シロクマベーカリー

http://www.shirokuma-bakery.com/

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