「野菜畑 土田」で旬の野菜が持つ癒しの力を伝えたい
——「野菜畑 土田」誕生のお話を教えてください。
もともと主人と共に、碑文谷で20年くらいお店を経営していて、その後ご縁があって中目黒で野菜のお店をオープンすることになりました。碑文谷でやっていたお店も野菜をメインにしており、その店を更にこだわり、心機一転し新たな挑戦をしました。
畑の中でとれたての野菜をそのまま召し上がっていただくような雰囲気をイメージして、内装にも工夫しています。軽トラックも、一台購入してお店にレイアウトしました。
メニューは、碑文谷のお店より引き継いでおり、さらに「野菜畑 土田」でしか味わえないオリジナルの料理を展開しています。
——野菜をメインにしてお店を出すきっかけを教えてください。
東京に出てきてから、旬や季節の変化がわかりにくいと感じました。それまでは、日々の食べ物や野菜から旬を感じていたのですが、東京に来てからはそれが少ないなと思いました。お魚を見て旬を感じたりできるのを、野菜でやったら面白いなという考えもあったからです。
また、お客様から体調が良くないというお話を聞いた時に、やはりお肉ではなく野菜を食べることが癒しに繋がるのではないかと思いました。旬の野菜が持つ癒しの力を届けたいと考えたことが、きっかけです。
料理を通して、野菜の美味しさをまっすぐに届けたい
——「野菜畑 土田」おすすめメニューと食材へのこだわりを教えてください。
『野菜畑の箱庭バーニャサラダ』
自家製玉ねぎドレッシングか、バーニャカウダソースをつけて新鮮な野菜たちを召し上がってください。
色とりどりの野菜は金時人参です。紫や黄色など様々な色がありますが、どれも同じ種類の人参なんですよ。畑からそのまま召し上がってもらうような感じを楽しんでいただくために、皮付きのままご用意しています。生のままですが、嫌なえぐみも少なくて食べやすいです。この時期は香川から届いた人参を使用しています。
人参と同様にカラフルなじゃがいもは、それぞれの種類がノーザンルビー、インカのめざめ、シャドウクイーンです。シンプルに茹でただけで、じゃがいも本来の味が楽しめます。
他には、ズッキーニと渦巻きビーツ、シュクリーヌ、また葉物が10種類ほど入っています。シュクリーヌは、小さなロメインレタスのことで、とても希少な野菜です。白菜みたいな食感で、火を通しても美味しいです。
野菜の産地は季節ごとに変わります。旬だけでなく、その日に美味しい野菜というのは変わっていくので、種類にこだわりすぎず、その時々においしい野菜を仕入れています。実際に農家さんの畑までうかがうこともあります。
『一日限定20食 野菜畑の美人鍋』
スープの色がきれいな紫色をしているのは、具材に入っている紫キャベツと紫の金時人参からお出汁がでて色が付いているためです。
他に、肉厚のしいたけ、長ネギ、コリンキー、シュクリーヌ、阿波すだち鶏、自家製つくねが入っています。火を通すことで、生で食べた時と野菜の食感や味わいも変わってまた別の美味しさが楽しめます。
紫キャベツなどベースの野菜は変わりませんが、旬によってお鍋に入れる具材は変わります。「今日この野菜を食べてもらいたいな」と思って入れてみたり、秋にはレンコン春には筍やアスパラなど季節の食材も取り入れています。
つくねには高知県産生姜がたっぷり入れています。このつくねから良い出汁が出て、味の決め手になっています。
『高秀牧場直送チーズ盛り合わせ』
千葉県いすみ市の高秀牧場より取り寄せているチーズの盛り合わせです。こちらのチーズは、フランスのチーズコンテストでも賞をいただいているのだそうです。
高秀牧場は、牛の飼料から自分たちで作るようなこだわりを持ってチーズ作りをされています。実際に牧場を見に行って、こだわりも含め素敵なところだなと感じてお付き合いをしています。
チーズ作りには、オリジナルの菌を使用されています。チーズの名前もオリジナリティのあるユニークなものなんですよ。ブルーチーズは「草原の青空」、白いチーズは「夷隅の白い月」、オレンジのチーズは「牧場の太陽」といったようなネーミングで、チーズに詳しくない方にもなじみやすい名前です。
香りも柔らかくソフトな食感が特徴です。そのまろやかな口当たりがお野菜とも相性が良いです。
——食材選びにも通ずるこだわりはどんなことですか?
ブレない考え方を持つ事だと思います。こうやろうと思ったら、お客様に喜んでもらえるようにブレずに行動する。「このくらいでいいや」という気持ちを「これじゃダメだ」という気持ちになるように、日々行動することかだと思っています。これでいいやという気持ちは、お客様にも伝わってしまうと思います。
そしてお客様を信用することが大切です。天候不順で、発育の悪い野菜が多くなってきても、お客様には良い野菜だけを提供するということを心がけています。どうせわからないだろう、ではなくお客様はわかってくれるという信頼感を持ってやっています。
——食材を生かすための調理法のこだわりを教えてください。
あまり手を加え過ぎず、素材を生かした料理にしています。ソースやドレッシングの味も強すぎず、素材そのものの味を楽しんでいただけるよう心がけています。また、盛り付けた時の見た目からもおいしさが伝わるよう工夫しています。
サラダなどの野菜もあらかじめ切っておくと色が悪くなってしまったりするので、なるべく注文いただいてから調理することを心がけています。
新しい野菜の楽しみ方を見つけて、お客様にも伝えたい
——これからどんな事に挑戦していきたいですか?
今の野菜へのこだわりはそのままに、さらに様々な農家と出会って、新しい野菜を取り入れたいです。また、何度来ても楽しんでいただけるように、お好みのドレッシングをお客様に選んでもらうようにしたり、日々の工夫や挑戦をして行きたいと思っています。
ゆくゆくは自分でも野菜を作ってみたいです。畑仕事をして、野菜と触れ合うことで、野菜の育ち方や仕組みなどをより深く理解できるのかなと思うんです。野菜を作ってくださっている生産者さんの大変さも感じられるので、料理や野菜に愛情が湧いて、お客様に提供する時に心から力強く発信できます。
また、生で食べられる新しい野菜の発見とかにも挑戦してみたいですね。加熱しないと食べられない野菜でも、若くて柔らかいものをそのまま食べたり、そういったことを自分で体験してみたいです。そして、美味しい発見をしたことをお客様にもお伝えして一緒に楽しんでほしです。こういった新しい食の発見が好きなお客様にも来ていただきたいです。
——お客様へのメッセージを教えてください。
「野菜畑 土田」では、知らない野菜と出会ったりできると思うので、野菜に少しでも興味があれば気軽に来ていただきたいと思います。野菜ってこういった楽しみ方もあるんだ、ということを感じてほしいです。旬の野菜のおいしさを感じてほしいです。
「旬の野菜が持つ癒しの力を届けたい」と話す榊原さんご夫婦が作る料理からは、野菜本来の美味しさもさることながら、食材自体に愛着を持って作られる温かいお二人の人柄を感じる滋味溢れる優しい味わいを感じました。
「野菜畑 土田」へ訪れると、「こんなに濃い味の人参があるんだ!」「野菜のお出汁っておいしい」と想定外の驚きにきっと出会えます。あなたも「野菜畑 土田」で新しい野菜のおいしさを見つけませんか?
東京都目黒区上目黒3-8-3 千陽中目黒ビル5F
TEL: 03-6303-2871
営業時間: 17:00〜23:00 (L.O.22:00)
定休日: 日祝