まず「土」を使うかどうかを決める
キッチン菜園というと、プランターに土を入れて野菜を育てるコンテナ栽培をイメージしがちですが、一戸建てでも庭がない家や、マンションなどのベランダがとても狭い場合は、インドアで育てる室内栽培を行う事もできます。従来の室内栽培といえば、モヤシなどのスプラウトと呼ばれる芽を食べる野菜が主でしたが、近年になって様々な栽培方法が考案され、色々な野菜を育てる事ができるようになりました。トマトやナスのような実がなる野菜や、ミニニンジンのような小型の根菜などはプランターがないと難しいのですが、小型の葉野菜であれば室内栽培も可能です。
土を使ったコンテナ栽培は、露地栽培が基本ですので春から初秋頃、室内栽培は一年中と、栽培が可能な時期も異なってきます。それぞれの栽培方法の特徴をまとめると以下のようになります。
■土を使う栽培→比較的多量に収穫できるが、栽培時期が決まっていて置き場所や土の処理に困る事もある。
■室内栽培→大きな物は難しいがほぼ通年、栽培を行う事ができる。
コンテナ栽培の基本と作りやすい野菜
実野菜をコンテナで栽培する場合は、なるべく野菜用の大型プランターを使う事をおすすめします。育てやすい野菜の多くは春頃に植える夏野菜なので、暑い時期に十分に水を吸い上げさせるためには、根を張るための十分なスペースが必要だからです。逆に言うと、コンテナが小さいと株が大きくならないので、コンテナの土の量と野菜の大きさは比例します。
あまり栽培に慣れていないうちは、実の数は多く採れない事もありますが、トマトやナスは失敗が少ないのでおすすめです。
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試しにチャレンジしたい時は短期間で収穫できる物を選んでみる
野菜によっては、チャレンジしたいと思った時には時期を逃して種蒔きに適さない時期になっていたり、苗が手に入らなかったりする事もあります。そんな時は種の蒔き時が長い物を選んでみましょう。
この場合、おすすめはコマツナ、ラディッシュ、ルッコラ、リーフレタスなどです。コマツナは、コンテナなら多くの地域で3月から10月頃まで種蒔きできますし、他の物は真夏の時期を避ければ長い時期、種蒔きが可能です。
これらの野菜は「そのまま使える」と表示されている野菜の土であれば、元肥なしでも育ちます。種は、ばらまきできるルッコラとリーフレタス以外は「条(すじ)まき」にします。(コンテナに細い溝を付け、そこに間隔をあけながら種をまいて薄く土をかぶせる方法)
発芽するまでは土が乾かないように、ハス口をつけたじょうろでシャワー状の水をかけ、発芽したら少しずつ混み合った所を間引いて育てます。大体1ヶ月から1ヶ月半で収穫が可能です。間引いた物は「間引き菜」といって、味噌汁の青味にしたり、サラダやお浸しにして食べる事ができます。また、購入したネギやミツバの根の部分を長めに切って(緑の部分を残す)土に植えると、新しい葉が生えて来ます。
水耕栽培とペットボトル菜園
キッチン菜園で一番おすすめなのが、水耕栽培です。屋外に置く事もできますが、日照が3~4時間程度確保できて20℃程度の室温が保たれていれば、冬でも発芽が可能です。結球させないリーフレタスなど、葉物野菜の若芽を収穫する方法は水耕栽培の特長なので、うまくいけば冬場に使う野菜を自分で育てる事ができます。
育て方の基本はスポンジなどを培地にして種を植えて水を与えて発芽させ、その後はハイポニカなどの液肥を溶かした水を土代わりに与えます。栽培に使用する器具として、LEDライトで日照も確保できる高額なキットも販売されていますが、肥料以外は100円ショップなどで販売されている物やペットボトルでも栽培が可能です。
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参考リンク
目指せ自給自足!100円グッズ窓際水耕栽培①(※動画となりますので音にご注意ください)
https://www.youtube.com/watch?v=uSB-gVPRXlA
ペットボトルでプランターを作って室内栽培をする
水耕栽培に使う道具は、比較的安価で簡単に手に入りますが、準備には少し手間がかかります。液肥が使い切れるかどうか不安、という場合はペットボトルをプランターにした室内栽培をする方法もあります。
2リットル程度の大きめのペットボトルを半分に切って、口を下に向けて底の部分にセットして、受け皿と鉢がセットになった状態のプランターを作る方法です。土を少なめにした水耕栽培寄りの育て方もありますので、育てやすそうな方法を選んでみて下さい。
参考リンク
簡単ペットボトル菜園、ペットボトルで保水できるプランターを作る
(※動画となりますので音にご注意ください)
https://www.youtube.com/watch?v=4fyG7yY02rE&t=280s
ペットボトルを再利用してミニプランタにする【室内で植物を栽培できる】
(※動画となりますので音にご注意ください)
https://www.youtube.com/watch?v=CKAiTS2ToHo
室内栽培に向いた野菜の例
■レタス各種
■春菊
■水菜
■クレソン
■ルッコラ
栽培期間が短めの葉野菜の多くは、室内・水耕栽培に向いています。あまり市販されていない「葉にんにく」なども作る事ができますし、バジルやミントといった食べるハーブ類などもおすすめです。
※ローズマリーなどの木に近いハーブは鉢植えの方が向いています。
インテリア・鑑賞目的におすすめのスプラウト
コンテナ栽培も水耕栽培も手軽に自宅で野菜やハーブを収穫できてとても便利なのですが、見た目がインテリアに馴染まない、という場合は室内栽培の基本、スプラウトがおすすめです。キッチンペーパーなどの培地を使うか、ジャーを使う場合は水に浸して水洗いを繰り返すだけなので、綺麗なグラスやかわいいマグカップなどで育てれば、テーブルグリーンとしてちょっとしたインテリアにもなります。
グラスで育てる場合はキッチンペーパーなどを底に敷き、種をまいたらよく湿らせます。発芽まで乾かさないように水を与えながら、暗いところに置きます。5~6センチになったら日当たりの良い場所に移して日光にあてます。
スプラウトにできる野菜の例
■ブロッコリー
■ラディッシュ(貝割れ)
■マスタード
■ロケット(ルッコラ)
■レッドキャベツ
注意点として、スプラウトは芽の部分を食べる野菜なので、栽培期間がとても短いです。スプラウトを作って食べる場合は、スプラウト用の種を購入する必要があります。
この機会に、生活を彩ってくれる家庭菜園に挑戦してみてはいかがでしょうか。