菜食が中心だった京都
京都は海から遠く、海産物の入手が困難で食生活の中心は野菜でした。1,000年以上前から都として栄え、全国から献上品としての野菜が集まってきました。これらの野菜が京都特有の気候や風土、肥沃な土壌と豊かな水によって育まれ、農家の技術で改良されてきたのが京野菜の始まりです。
京野菜の中には、何百年も変わらない土地で作り続けられるものもあります。
京野菜の機能性
近年の研究により、京野菜には一般の野菜にはない独特な味や香り、彩りを持ち、機能性成分が豊富に含まれていることがわかりました。
その機能性は抗酸化性(活性酸素を除去する働き)、発がん抑制、低カロリー性等です。通常の料理はもちろん、アイスやクッキーなどのデザートにも使われています。
京の伝統野菜とは
京都で古くから栽培されており、現在に伝わっている京野菜を「京の伝統野菜」として、その定義が1958年3月に京都府で定められました。
①明治以前に導入されたもの
②京都府全域での生産が対象
③たけのこを含む野菜(キノコ、シダを除く)
④栽培または保存されている品種及び絶滅した品目を含む
という定義に当てはまるものを、現在は京都の伝統野菜と呼んでいます。その種類は現存するものが35品目、絶滅してしまったものが2品目の合計37品目です。これとは別に、京の伝統野菜に準じるものが3品目あります。
必ずしも京都固有の品種ではなく、上記の定義を満たせば京都特有の栽培方法をとる野菜も伝統野菜として位置づけられているところが特徴です。
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京のブランド産品としての野菜
京の伝統野菜のうち数種類を含む、京のブランド産品という分類もあります。この分類の歴史は30年ほど前から始まりました。1988年、一番初めの認定は「万願寺甘とう」で、その後続々と認定されました。京のブランド産品の条件は「安心・安全と環境に配慮した『京都こだわり生産認証システム』により生産された京都産農林水産物の中から、品質・規格・生産地を厳選したもの」です。
京のブランド産品は、公益社団法人京のふるさと産品協会が認証しています。2015年10月時点での認定数は30品目です。この認証によって、市場や消費者へのアピールとなることが期待されています。
行政・農林水産業団体・流通業界が一体となってスタートさせた事業で、多くの人々に京野菜をアピールしています。2015年に「京丹波黒本しめじ」が認証を受けたのは、記憶に新しいところです。
公益社団法人京のふるさと産品協会とは
公益社団法人京のふるさと産品協会は京都府と都内の全市町村、農林漁業団体が共同で運営しています。京都産の農林水産物のPRや食文化の継承・発展への寄与、生産者の経営安定を図るなど、多面的に応援をする協会です。この取り組みのうち、ブランド推進事業によって認定されたものが京のブランド産品となります。
2006年には「京野菜マイスター」という京野菜の伝道師を認定し、活動の支援を行っており、2007年には「京野菜検定」を実施して魅力を学ぶ機会も提供しています。
他にも「ほんまもん京野菜取扱店」という、ブランド京野菜の販売促進拠点になる店舗を首都圏や近畿圏で認定し、京都の野菜を豊富に揃えてPRと販路拡大にも力を入れています。
京のブランド産品が支持されるのはなぜ?
ブランド化が始まって約30年の間に、京野菜は全国に注目される知名度の高い野菜になりました。
ブランド対策の軸にブレがないこと、検査体勢を整えていること、ストーリー性や食文化を大切にする姿勢が、支持を受けるポイントになっています。
京のブランド産品マーク
京都の優れた農林水産物の中でも特に優れた品質が保証され、安心・安全と環境に配慮した生産方法に取り組んでいるものには、京のブランド産品マーク・通称「京マーク」といわれるマークが貼られています。京野菜の他に、農林水産物でも基準を満たしているものに関してもこのシールが貼られており、おいしさと信頼のマークとして活用されています。
京都の頭文字のKをシンボル化して、「農」「林」「水産」の実りやその源である「大地」「水」「太陽」を表現したマークです。
京のブランド産品の認証基準
京のブランド産品の認証基準は以下のとおりです。
1. イメージが京都らしい
2. 1.以外のもので販売拡大を図る必要がある
3. 次の要件を備えている
・出荷単位としての適正な量を確保
・品質・規格を統一
・他産地に対する優位性・独自性の要素がある
また、「京都こだわり生産認証システム」の特徴は以下のとおりです。
・農薬・化学肥料の使用を減らした環境にやさしい農法(京都こだわり栽培指針)
・認証検査員による栽培状況と記帳のチェックを実施
・情報の開示により生産者の顔が見える農産物
このような過程を経て認証された京のブランド産品は、京都内だけでなく全国で販売されています。
京野菜提供店の認定
京野菜は、京都では高級料亭だけでなく家庭でも利用されています。京野菜がいつでも食べられるお店を、京のふるさと産品協会が認定しています。この店舗の認定事業は1997年から始まりました。
認定される料理店は和食の店舗に限らず、フレンチ、イタリアンと様々なジャンルの料理店です。
認定要件の概略は、以下のとおりです。
1. 協会が指定する旬の京野菜を常時使用し、それらを使用する料理を3品以上提供する
2. 上記京野菜について、市場、その他産地直送または自家栽培による確実な仕入れルートを有する
3. 京野菜のイメージアップを図ることができる
4. 業種別の生活衛生同業組合等に加入し、食品衛生の向上に努めている
2017年7月時点で京都府内で194店、東京都特別区内でも53店が認定されています。
多くの人々の手によってブランド力が定着した京野菜。レシピサイトでは、京都府公式のキッチンもオープンしており、京野菜が手に入ればすぐにおいしい料理のレシピを検索することができます。
この機会にぜひ、京野菜を味わってみてください。