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野菜ソムリエがこっそり教える、おいしいリンゴの選び方。見た目・香り・品種でわかる味と食べごろ

さとう ともこ

ライター:

野菜ソムリエがこっそり教える、おいしいリンゴの選び方。見た目・香り・品種でわかる味と食べごろ

秋から冬にかけて店頭にずらりと並ぶリンゴは、私たちにとってもっとも身近な果物のひとつ。品種や熟度によって味や香り、食感はさまざまです。見た目や香り、手に取ったときの重さなど、選び方のポイントを押さえれば、ぐんとおいしい一玉に出会える確率が高まります。この記事では、リンゴ選びのコツから保存方法までを解説します。

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見た目で見抜く!おいしいリンゴ4つの特徴

リンゴは、見た目からおいしさのサインを読み取れる果物です。色づきや形、ツヤ、軸の状態などのポイントに注目すれば、甘くてシャキッとしたリンゴに出会える確率がぐっと高まります。ここでは、おいしいリンゴを見極めるための見た目のチェックポイントを4つ紹介します。
リンゴの見極めポイント

軸が太くしっかりしている

軸(果梗)が太いリンゴほど、木から多くの養分を吸収して育っています。一方、軸がしおれていたり、取れかけているものは、収穫から時間が経って鮮度が落ちている可能性があります。青みがあってみずみずしい軸のリンゴを選ぶと、新鮮で味が良いことが多いです。

形がふっくらで左右対称

ふっくらと丸く、左右の形が整っているものほど、全体にバランスよく養分が行き渡っています。見た目の安定感は味の安定感につながると考えられるので、ふっくらと丸みがあり、バランスの良い形のリンゴを選びましょう。

色が濃くムラが少ない

果皮の色づきは、太陽の光をしっかり浴びて育った証です。全体的にムラが少なく、色が濃いものを選びましょう。赤リンゴなら、まだら模様よりも均一に赤く色づいたもの、黄緑や黄色の品種なら、地色の鮮やかさが見極めのポイントです。

果皮に張りとツヤがある

手に取って感じる!リンゴの味わいと熟度の見極め

手に取ったときの重さ、硬さ、香り、表面の手ざわりなどで、食べごろのおいしいリンゴを見つけやすくなります。ここでは、簡単に試せる5つのチェックポイントを紹介します。
手に取ったリンゴ

ずっしり重いリンゴは水分たっぷり

見た目に比べてずっしりと重く感じるリンゴは、水分をたっぷり含んでいて、みずみずしさが期待できます。逆に、同じ大きさでも軽く感じるものは、水分が抜けてスカスカになっている可能性があります。

全体に硬さがあれば新鮮な証拠

果実が硬く締まっているものほど鮮度が高い傾向にあります。品種によって本来の硬さは異なりますが、一般的に硬いものほど歯応えがあり、シャキシャキとした食感が楽しめます。

香りでわかる熟度のサイン

鼻を近づけたときに甘い香りが漂うリンゴは、まさに食べごろの状態です。特に「ふじ」や「王林」は香りが立つので、その強さで熟度を判断できます。蜜入りの可能性も高いです。

お尻のくぼみで甘さをチェック

リンゴのお尻(果頂部/花落ち部分)が、深くくぼみ、丸みを帯びているものほど甘い傾向があります。この部分の地色が黄色になっていれば熟したサイン。反対に緑がかっている場合はまだ若い可能性があります。

果皮のテカリは熟した証拠

熟したリンゴは表面に自然な光沢が現れます。これは果皮から分泌されるリノール酸やオレイン酸などの成分が、表皮のろう物質を溶かすことで生じる現象です。特に「ジョナゴールド」や「つがる」などの品種でよく見られます。

サンふじ・葉とらずの違いと選び方

スーパーや直売所で目にする「サンふじ」や「葉とらずリンゴ」。通常栽培と比べて見た目はやや劣ることもありますが、どちらも甘くおいしいリンゴです。太陽や土の力で育った自然派リンゴの選び方を紹介します。
リンゴの木

サンふじは袋をかけない「無袋栽培」

「サンふじ」のサン(sun)は太陽のこと。一般的な「ふじ」は袋をかけて育てますが、サンふじは袋をかけずに、太陽の光をたっぷり浴びて育てた無袋栽培のリンゴです。ふじに限らず、名にサンがつくリンゴは無袋栽培です。

果皮がザラついたり、色ムラが出る場合がありますが、そのぶん糖度が高く、香りも強いのが特長。袋あり栽培のリンゴに比べて日持ちがやや短いため、早めに食べきるのがおすすめです。

葉を残して養分を蓄えた「葉とらずリンゴ」

「葉とらずリンゴ」とは、その名のとおり実の周囲の葉を取らずに育てたリンゴです。通常の栽培では果実の色づきを良くするために葉を摘みますが、葉を残すことで光合成がより活発になり、果実にしっかりと栄養が行き渡ります。

葉の陰になる部分に色ムラが出る場合がありますが、味わいは濃厚でコクがあり、香りもしっかりしっかりしているのが特長です。

サンふじ・葉とらずリンゴの選び方

サンふじや葉とらずリンゴは、表面にざらつきがあったり、色が均一でないことがありますが、それは自然のままに育った証です。見た目にとらわれず、軸がしっかりしている、重みがある、香りがするなどのポイントをチェックすれば、おいしい一玉に出会える確率がぐっと高まります。

蜜入りリンゴの見分け方

透明な「蜜」が中心に入った入りリンゴは、見た目にも美しく、甘さが際立つことから人気があります。ただし、外見だけで蜜の有無を見分けるのは難しく、すべての品種に蜜が入るわけでもありません。ここでは、蜜入りリンゴを見分けるためのポイントをわかりやすく紹介します。

蜜入りしやすい品種と時期

蜜が入りやすいのは、「ふじ」「サンふじ」「こうとく」など、主に10月中旬以降に収穫される晩生種です。特に「ふじ」は、貯蔵する前の11月下旬〜12月上旬が蜜入りが多い時期です。品種と旬を知ることが、蜜入りリンゴを選ぶ第一歩です。

外見だけではわからない蜜のサイン

蜜の有無は断面を見るまで確実にはわかりませんが、「ふじ」や「サンふじ」には、以下のような傾向があるといわれています。

・お尻(花落ち部分)が黄色~オレンジ色で丸みがある
・「ふじ」は果皮にテカリがある
・「サンふじ」は果皮にざらつきがある
・手に持ったときに重量感がある
・大玉よりも中玉のほうが入りやすい傾向がある

これらは完熟のサインでもあり、蜜入りリンゴに出会える可能性が高まる目安です。

蜜入りセンサーやシール表示を活用

「蜜入りセンサー」は果実内部の成分を光で判別する非破壊検査技術で、出荷時の品質管理にも使われています。最近ではJAや農園が確認したものに「蜜入り」シールを貼って販売していることがあり、直売所や贈答用の箱入りリンゴで特に多く見られます。信頼できる産地や表示をチェックするのも賢い選び方です。

蜜は甘さの決め手ではない?

リンゴの蜜の成分は、ソルビトールという糖アルコールで、蜜自体にはそれほど強い甘みはありません。蜜入りリンゴが甘く感じられるのは、完熟して糖度が高い状態であり、香りや食感の相乗効果によるものです。蜜は時間の経過とともに消えてなくなるので食べごろに味わうのがおすすめです。

品種別!見た目と特徴を知って選ぶ

リンゴは品種によって、色や形だけでなく、甘みや酸味、食感にも違いがあります。旬や好みに合わせて選べば、よりおいしく味わうことができるでしょう。ここでは、定番から注目の新品種まで、見た目と味わいの特徴を品種別に紹介します。

ふじ|赤く色づき蜜入りも豊富

ふじりんご
甘みと酸味のバランスがよく、シャキシャキとした食感が特徴。日持ちにも優れ、贈答用にも人気の定番品種です。収穫期は11月上旬。

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つがる|明るい赤で軽やかな口当たりの早生品種

つがる
紅色の果皮に薄い縞模様があり、見た目も華やか。果汁が多く甘みが強い食べやすい品種です。収穫期は9月中旬~下旬。

王林|黄緑色で甘く方向豊かなデザート向き

王林
果汁が多く、酸味は少なくフルーティーな甘さが特徴。酸味は控えめで芳香が強く、食後のデザートにおすすめです。収穫期は11月上旬。

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紅玉|紅色で酸味が効いた料理向き

紅玉
果皮は鮮やかな赤で、果汁が多く、酸味が強い爽やかな味、アップルパイやジャムなどの加熱調理に向いています。収穫期は10月中旬。

シナノスイート|甘みが強くなめらかな食感

シナノスイート
長野県生まれで「ふじ」と「つがる」の交配品種。酸味が少なく、しっかりとした甘みとジューシーな味わいが特徴。果肉は柔らかめでなめらかな食感。9月下旬に収穫期を迎える中生種です。

シナノゴールド|爽やかな酸味と歯ごたえが魅力

シナノゴールド
「ゴールデンデリシャス」と「千秋」の掛け合わせで生まれた黄色いリンゴ。ほどよい酸味と引き締まった果肉が特徴で、シャキッとした歯ごたえがあります。10月下旬に収穫期を迎える晩生品種。

秋映(あきばえ)|深紅の果皮と濃厚な味わい

秋映
長野県で育成された品種のひとつ。果皮は赤黒く、見た目にインパクトがあります。果肉は硬めで、甘さと酸味がともに強く、濃厚な味わいが楽しめます。収穫は 9月下旬で秋の訪れを感じさせてくれます。

星の金貨|蜜入りしやすい甘くやさしい黄リンゴ

星の金貨
黄色の果皮に蜜が入りやすく、注目されている新品種。皮が薄く、甘みが強く、シャリっとした歯ごたえがあります。酸味は控えめで食べやすいリンゴです。10月下旬に収穫期を迎えます。

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これは避けたい!イマイチなリンゴの特徴

見た目や触感から「おいしそう」と思っても、実は鮮度や味に欠けるリンゴもあります。見極め方のポイントを逆に考えることで、避けたいリンゴを見分けることができます。ここでは、避けたいリンゴの特徴を4つ紹介します。
逆光ノリンゴ

軸が細く乾燥しているものは避けたい

軸が細くて黒ずんでいたり、乾燥して縮んでいるリンゴは、収穫から時間が経って鮮度が落ちているサインです。青みがあってしっかり太い軸のリンゴと比べると、水分や甘みも劣る傾向にあります。

形が極端にいびつなものに注意

リンゴの形が左右非対称だったり、極端に片寄っていたりする場合は、栄養がうまく行き届いていない可能性があります。ふっくら丸く、重心が安定しているリンゴの方が、味も食感も良好な傾向にあります。

色ムラが目立つものは要チェック

果皮の色が全体的に薄かったり、まだら模様になっているリンゴは、十分に日光を浴びて育っていないか、未熟なまま収穫された可能性があります。特に赤リンゴの場合は、全体にしっかり色づいているものを選びたいところです。

果皮の変色やシワは劣化のサイン

表面に茶色い斑点や黒ずみがあるリンゴ、また皮にシワが寄っているリンゴは、鮮度が落ちて劣化が進んでいるサイン。こうしたリンゴは水分が抜けてシャキシャキ感が失われていることが多いため避けるのが無難です。

リンゴの保存方法、おいしく長持ちさせるコツ

せっかく選んだリンゴ、最後までおいしく食べたいものです。リンゴは保存環境に敏感な果物のひとつですが、ちょっとした工夫で風味や食感をキープできます。ここでは、家庭でできる保存のコツを紹介します。
かご盛りのリンゴ

基本は冷蔵、常温保存は短期間に

リンゴを長持ちさせるには「低温・高湿度」がポイントです。すぐに食べる予定がある場合は数日間は常温(冷暗所)でも問題ありませんが、それ以上保存する場合は冷蔵庫の野菜室がおすすめです。特に気温の高い季節は冷蔵保存が安心です。その際、リンゴは乾燥に弱いため冷気が直接当たらないようにするのが長持ちの秘訣です。

新聞紙やラップに包んで個別保存

リンゴは乾燥しやすい性質があるため、個別に包んで保存します。1個ずつ新聞紙で包むか、食品用ラップでぴったり包むのが基本です。ラップで包んだ後は、さらにポリ袋に入れて口を軽く閉じると湿度を保てるため、冷蔵庫でもシャキシャキ感が長持ちします。

他の果物と一緒に置かない

リンゴは「エチレンガス」と呼ばれる植物ホルモンを多く放出する果物です。このガスには熟成を促す働きがあります。バナナやキウイ、ホウレンソウなどエチレンに敏感な野菜や果物と一緒に置くと、成熟が進み過ぎて劣化を早めてしまうことがあるので注意が必要です。
リンゴは単独で保存するか、他の食品と隔離するのがベストです。

カットしたリンゴの保存方法

カットしたリンゴは空気に触れることで酸化が進み、切り口が茶色く変色してしまいます。見た目や風味を損なわず保存するには、切り口の酸化防止と乾燥対策がポイントです。

まず、カット後はすぐに塩水やレモン水にくぐらせるのが効果的です。目安は水200mlに塩ひとつまみ、またはレモン果汁小さじ1程度。これに1〜2分浸すことで酸化を抑えられます。水気を軽くふき取ったら、ラップでぴったりと包むか、密閉容器に入れて冷蔵庫へ。可能であれば、保存袋に入れて空気を抜いてから密閉するとより効果的です。
保存期間は冷蔵で1〜2日程度が目安。なるべく早めに食べきるようにしましょう。

カットリンゴは冷凍保存もOK

カットしたリンゴは冷凍保存も可能です。ただし、解凍するとシャキシャキとした食感は失われるため、そのまま食べるには不向きです。冷凍リンゴはスムージー、焼き菓子、煮りんご、コンポートなど、加熱や加工を前提とした使い方におすすめです。

冷凍する際は、くし形や角切りなど好みのサイズにカットし、レモン水にくぐらせた後、水気をふき取り、冷凍用保存袋に重ならないように並べて冷凍します。小分けしておくと使いやすく、保存期間は約1か月が目安です。

リンゴは保存方法ひとつで、おいしさがぐんと変わります。すぐに食べる分と、数日後に楽しむ分とで保存を使い分けて、旬の味を長く楽しみましょう。

選ぶ楽しみを知れば、リンゴはもっとおいしくなる

リンゴは、品種や熟度によって味や香り、食感が大きく変わる奥深い果物です。収穫期は8月下旬から11月中旬ですが、貯蔵技術の進化により、いまでは一年を通して楽しめる身近な果物となっています。選び方のポイントを押さえれば、おいしいリンゴに出会える確率が高まり、日々の食卓がより豊かになります。色や形、重さ、香りなど、五感を使って自分の好みにぴったりの一玉を探してみてください。

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