生産量だけではなく、味も日本一!「別海町」の牛乳とは?
北海道における酪農の歴史は古く、明治時代の開拓期にまでさかのぼります。広大な未開拓地は、欧米の酪農指導者に習って技術導入するのに格好の場所だったようで、1873(明治6年)年にはバターが、その2年後にはチーズがつくられるなど、早くから目覚ましい発展を遂げました。
そんな乳製品のもと「牛乳」の道内一、ひいては日本一の生産地として名高いのが別海(べつかい)町です。摩周湖の清廉な伏流水を毎日100~150リットルも飲んで育った乳牛が出すミルクは、「味も日本一」と別海町の人たちは誇っています(※1)。年間生産量は466,561トン。2位の中標津(なかしべつ)町(176,795トン)、3位の標茶(しべちゃ)町(170,971トン)に2.5倍以上の差をつけた貫禄の1位です(※2)。
ジャガイモの国内シェア率 約80%
17世紀に、 ジャワのジャカトラから輸入されたジャガイモ。江戸時代は「馬鈴薯(ばれいしょ)」の名で親しまれたこの作物が北海道に根付いたのは、1907(明治40)年のこと。函館で造船を営んでいた川田龍吉がイギリスから買い付けて、道内の農場への導入に成功しました。このジャガイモは、彼の爵位をとって「男爵イモ」と呼ばれるようになりました。なお、もう一つの人気品種「メイクイーン」は大正時代にもたらされ、こちらは米国原産です。
現在、ジャガイモの国内総生産量における北海道のシェア率は80%近く。中でも収穫量が多いのは、網走市(140,600トン)、帯広市(134,300トン)、芽室町(126,700トン)などの市町。いずれの地域も、北海道特有の昼夜の温度差がでんぷん質を高めるため、素材のうまみが効いたジャガイモが採れるのです(※3)。
全国生産量8位、北海道のキャベツは季節で競い合う
北海道におけるキャベツの生産量は決して多くなく、国内生産量ランキングでは8位です(※4)。他の都道府県を寄せ付けない圧倒的生産量を誇る牛乳・ジャガイモと比べると確かに見劣りするかもしれません。
しかし、道内のキャベツは夏と冬でしのぎを削っています。6〜8月に出荷される夏キャベツで有名なのは、胆振エリアの伊達市(※5)。北海道でも比較的温暖な「北の湘南」と呼ばれる地で採れたキャベツは肉質が柔らかくてジューシー。一方、収穫後に雪のなかに貯蔵する越冬キャベツで有名なのが和寒(わっさむ)町(※6)。雪中で甘みが増すという北海道ならではの手法を活かして1〜3月に出荷されます。
都道府県のなかでも随一の耕地面積を誇る北海道。しかし、よりミクロな視点で見ていくと、地域ごとに得意とする作物・生産品は異なっていることがわかります。道内での就農を志す場合は、ぜひ、この「生産品×地域」の関わりを明確にしたうえで臨むことをおすすめします。
上記の情報は2017年12月20日現在のものです。