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ヒストリー・オブ・ニッポンのブドウ

ヒストリー・オブ・ニッポンのブドウ

最終更新日:2018年11月14日

ブドウが伝来したのは奈良、平安時代と言われています。しかし、木の性質上、限られた地域以外での栽培がうまくいかず、栽培が活発になったのは技術が海外から導入された明治以降です。日本でのブドウ栽培は、どのようにして広がっていったのか紹介します。

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甲州ブドウを広めたのは

甲州ブドウ
平成28年(2016年)におけるブドウの全国の結果樹面積は1万7,000haで、収穫量は17万9,200t、出荷量は16万3,800tです。日本国内の果物において、収穫量や出荷量で5指に迫るまで、どのような道をたどってきたのでしょうか。

6~8世紀ごろには、「海獣葡萄鏡(かいじゅうぶどうきょう)」と呼ばれる、ブドウの絵が描かれた青銅鏡が各地で出土しています。これらは唐製のものがほとんどですが、青森県の三内丸山遺跡からブドウの種子と思われるものが発見されており、縄文時代にはすでにブドウの仲間が存在していたことが明らかになっています。

栽培が日本で広まったのは奈良時代ごろから。そのきっかけはあくまで伝承的なもので、はっきりしません。有力な説は、大仏建立に大きな力を果たした僧・行基が甲斐の国を訪れた時のものです。行基が勝沼にある柏尾の渓谷で修行していた際、夢で手にブドウを持った薬師如来が現れました。行基はその後夢に出てきた薬師如来像を作って、寺(現在の柏尾山大善寺)に安置しました。その後、行基は薬園をつくり、法薬としてのブドウの作り方を村人に教えました。これが現在に続く甲州ブドウの始まりとなったという言い伝えです。

そのほかにも、平安時代末期に勝沼の雨宮勘解由(あめみやかげゆ)が栽培したのが甲州葡萄の始まりとされる説があります。

爆発的に広がることはありませんでしたが、甲州種のブドウは中世、近世を通じて着実に栽培されていきました。この時代には、生食が中心だったようです。

洋食の普及がブドウを変えた

甲州ブドウ

明治時代になり、洋食など海外の生活スタイルが日本に流入しました。そこで登場したのがワインです。ワインは江戸時代にも少し輸入されていましたが、一般に広まるものではなく、あくまで将軍や大名など有力者への「献上品」との意味合いの強いものでした。

明治政府は、殖産興業の一環として、ブドウ栽培・ワイン醸造を奨励することにしました。1870年(明治3年)に山梨県甲府市で、山田宥教(やまだひろのり)と詫間憲久(たくまのりひさ)が「ぶどう酒共同醸造所」を設立。ブドウの元祖である甲州種を使い、国産ワインが製造されましたが、防腐などの技術が追いつかず、数年で閉鎖に追い込まれてしまいました。その後も挑戦は続きましたが、ワインの生産はなかなか成功しませんでした。

その後、「大日本山梨葡萄酒会社」(メルシャン株式会社の前身)の高野正誠(たかのまさなり)と土屋竜憲(つちやたつのり)が、フランスでワイン醸造を学んで帰国し、日本でもそれを取り入れて醸造に成功したことで、ついに日本のワイン生産は軌道に乗ります。同時期に新潟では、川上善兵衛が新しい動きを始めます。これにともない、原料となるブドウが大量に必要になりました。土屋はブドウの栽培技術も学んでいたため、1895年(明治28年)に「岩の原葡萄園」を開設、日本の気候に適したブドウを求め、品種改良を行いました。

こうして誕生したのが「マスカット・ベーリーA」で、現在でも日本ワインの原料として多く使われています。

現在の日本のブドウ

甲州ブドウ
これまで見てきたように、日本のブドウは日本産ワインの一大生産地である山梨県の勝沼で発祥し、発達してきました。そのため「勝沼=ブドウ」のイメージが強いですが、いまでは全国各地に広がっています。また、岡山県でさかんな「マスカット・オブ・アレキサンドリア」のように、ヨーロッパ種のブドウを栽培している地域もあり、日本におけるブドウ栽培は多様化し、人々の舌を楽しませています。

いまでは当たり前に口にしているブドウ。ほかにもさまざまな歴史が潜んでいるので、これを機会に調べてみると面白いのではないでしょうか。

参考
農林水産統計 平成28年産日本なし、ぶどうの結果樹面積、収穫量及び出荷量(平成29年2月14日公表)
文化遺産オンライン
藤尾 慎一郎「生業からみた縄文から弥生」

上記の情報は2018年1月20日現在のものです。

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