和歌山県の5割以上の農家がみかんを栽培
和歌山県の果樹栽培農家総数は、15,809戸。そのうち、みかんの農家数は8,828戸にのぼります。つまり、県内の5割以上の農家が、みかんの栽培を行っているのです。そんなみかん王国・和歌山で、特に多くのみかんを生産している地域が「有田」と「海草」です。
中でも有田地方は、400年の歴史を持つ「有田みかん」の産地として有名。有田市のマスコットキャラクターが「あり太くん」というみかん型のキャラになっていることからも、みかん=地域の象徴として親しまれていることがわかるでしょう。オリジナル品種としては、有田郡吉備町(現有田川町)で発見された「田口早生」が名高く、甘みが強めで口当たりはまろやかな逸品として、全国の果物ツウから愛されています。
多彩な柿を栽培する柿王国・伊都
すべての柿に含まれる物質に「タンニン」というものがあります。これは柿の渋みにかかわるもので、不溶性(口に溶けださない)なら「甘柿」、可溶性(口に溶けだす)なら「渋柿」になるのです。この渋みはアルコールや二酸化炭素、温湯で抜くことができますが、一部の柿には、果実に種が入ると自然に渋みが消えて甘くなるタイプのものも存在します。
この性質から、柿は4つの種類に分類が可能。種が入らなくても甘い「完全甘柿」、種が多く入ると甘くなる「不完全甘柿」、種が入ると種のごく周辺だけ甘くなる「不完全渋柿」、種が入っても渋いままの「完全渋柿」の4種です。
和歌山県・伊都地方は、栽培面積が県全体の60%以上に達する柿の名産地で、松本早生富有(完全甘柿)、西村早生(不完全甘柿)、平核無(不完全渋柿)、四ツ溝(完全渋柿)といった多彩な渋みや甘みを持つ柿を生産・出荷しています。
全国的に有名な「紀州南高梅」のふるさと
和歌山県の梅の生産量は全国収穫量の半数以上を占めます。中でも、県内生産量約77%を誇るみなべ町と田辺市は、日本一の産地。梅の栽培が始まったのは、江戸時代で、領主による奨励がきっかけでした。1901(明治34)年には、みなべ町晩稲の内中源蔵という人物が梅干し工場をつくったりもしています。
古来より梅の栽培地として脈々とノウハウを受け継いできたため、和歌山県は梅を育てる技術・加工する技能に長けているのです。その結果として生まれたのが、全国的に有名な「紀州南高梅」。みなべ町では、約3割の青梅を梅酒やジュース・ジャムなどに加工し、残りの7割は「紀州梅干し」にして、全国展開しているといいます。
以上のように、特色ある産地形成をしている和歌山県。収穫期の果樹園で芳醇な香りに包まれながら、実った果実一つひとつを刈り取るたびに、自然の恵みに感謝する…。そんなワークスタイルを、この紀伊半島西側の農業地帯で送るのも、素敵ではないでしょうか。
参考
上記の情報は2018年1月20日現在のものです。