食品通販市場が急速に拡大中! 野菜も他人ごとではない
矢野経済研究所は、2016年に食品通販市場に関する調査結果を発表しました。そこでは、ネット通販全体が拡大する中、食品を通販で購入する行動が常態化していることが明らかになっています。その多くはお菓子や特産品のお取り寄せなどですが、野菜を含む生鮮食品も調査項目に含まれています。
また、同報告書には2020 年度には国内食品通販市場規模が3 兆 9,734 億円に達すると予測し、「2019 年度前後にショッピングサイトと生協の市場規模が逆転する可能性もあると考える」と記載されています。
このように、拡大するネットを中心にした通販市場が拡大する中、消費者は何を考えて野菜を選んでいるのでしょうか。
通販なら生産者の顔が見えて安心?
近年、スーパーで売られる野菜に生産者の名前や顔写真が表示されることはめずらしくありません。その背景には、農林水産省が推奨する「食のトレーサビリティシステムの確立」があります。こうした動きは、狂牛病問題や食品の産地偽装問題が明らかになったころから顕著になりました。
それ以前にも、有機野菜を専門に扱う企業や生協などの宅配があり、より安全な食品を選んで購入する層は一定数存在していました。しかし、食の安全が重視される中で、より生産者と密接でありたいという消費者の思いが、産地からの「取り寄せ」市場の規模拡大に寄与しているともいえるでしょう。
また、インターネット上のショッピングサイトで、野菜を持って微笑む生産者の写真を見たり、その人たちの思いに触れたりすることで、生産者を応援したいという人たちも増えています。
生活スタイルの変化も追い風に
多様化する生活スタイルの変化も、野菜の通販市場を変えつつあります。たとえば、新種の野菜や稀少な野菜に興味を持って「食べてみたい」と思う人たちが増えています。「JAタウン」では全国各地のJAや生産者が農畜産物や特産品を出品しており、インターネットを通じて入手することができます。ここでは、静岡県産の「サラダオニオン」や「キャンディキャベツ」が人気です。食に興味を持ち、より楽しく毎日を送りたいというライフスタイルの変化も注目です。
一方、全国に強力な流通網を持つネット小売業や家電量販店が、ついに生鮮食品の販売をスタートさせました。私たちの消費行動そのものを大きく変える可能性のある動きについても、チェックしておく必要があるかもしれません。背景にあるのは、消費者の「いますぐほしい」「買うための手間をかけたくない」という便利さを求める思いです。
以上のように、野菜の通販市場の拡大には、「安心」「便利」「楽しさ」を求める消費者の意識が強く作用しています。通販を始めるのは手間がかかるかもしれませんが、消費者のニーズは高まっています。丹精込めて作った自分の野菜がどのようにすれば多くの人に食べてもらえるのか、消費者視点でも考えてみるとよいのではないでしょうか。
<参考>
矢野経済研究所:食品通販市場に関する調査を実施(2016年)
上記の情報は2018年1月20日現在のものです。