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日本の農産品を海外へ!香港マーケットから探る「売れる商品」

日本の農産品を海外へ!香港マーケットから探る「売れる商品」

最終更新日:2018年09月06日

産地直送の販売システム「農家の直売所」を運営する株式会社農業総合研究所が、2015年に設立した株式会社世界市場(いちば)。輸送や中間マージンを効率化した仕組みで、その名の通り日本の農産物を海外へ輸出しています。小規模販売、市場調査を経て、2017年2月より本格的に香港での日本の農産物輸出をスタート。株式会社世界市場の代表取締役、村田卓弥(むらたたくや)さんに話をうかがいました。

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おいしい果物が火付け役 日本の青果品の魅力

香港を含めた東アジアでは、日本の農産物は中国産と比べて安心安全、そして味が良いといったイメージが強くあるそうです。

リンゴやイチゴなど、高糖度で甘くておいしい日本の果物が人気の火付け役となり、日本の青果品人気はサツマイモやタマネギ、葉物野菜まで広がっています。近年の香港では、身近なスーパーで日本産の一般的な野菜が買えるようになっています。

「これまで日本の青果品は、日本の駐在員や香港の富裕層向けに限られていました。近年は、世界市場だけでなく全体的なマーケットの傾向として、商品の流通などの効率化によって現地の売価が抑えられています。以前は日本の3~5倍の売価でした。現在、弊社では日本の売価の2倍以下に抑えています。価格を抑えることができれば取り扱う農産品が増えて、購買層がぐっと拡がることでビジネスチャンスに繋がるのです」。

低コスト化で日本産の農産物の価格競争力を高める

このように、日本産の農産物の輸出が拡大しなかった背景には、売価の課題がありました。株式会社世界市場が作ったプラットフォームは、国内調達から現地販売までを自社で一括して行うことで中間マージンを削減する仕組みです。

通常、輸出商品にはJA、卸売市場、輸出商社、香港卸業、香港小売店と何社も関わっています。ですが、その分コストは高くなり、果物以外の日常的な食材では勝ち目がなくなります。

さらに、価格高騰のもう一つの要因である輸送手段においては、海上輸送の3~5倍の費用がかかる空輸から、海上輸送に切りかえてコスト削減しています。このことにより、現地での日本産農産物の価格競争力を大きく向上させることができました。

香港は人口約700万人(※1)。人口が約1,300万人の東京都(※2)よりもひとまわり小さい都市といえます。香港の所得は中国国内ではトップクラスですが、「このうち世帯収入が1,000万円を超える、いわゆる富裕層は10%ほど。中間層を含めて50%を超える人々が購買層となること」でビジネスの拡大が期待できるといいます。

日本産の甘いサツマイモが人気

輸出品の野菜の中でも、日本産として人気があるのがサツマイモとカボチャ。香港のスーパーでは他の国々からの輸入品も販売していますが、味が良い面で人気があり安定的な輸出品になっています。

「サツマイモとカボチャは、果物に比べて高価ではないこともあり現地での引き合いが特に強いです。サツマイモは宮崎紅など一般的なものが主流でしたが、最近は安納芋やシルクスイートなどバラエティに富んでいるのが特徴です。日本ではMサイズのサツマイモが売れますが、香港ではSや2Sサイズといった小ぶりなものが人気です」。

甘いサツマイモが好まれるように、「日本産には甘さ」を求める消費者が多く、嗜好傾向は日本と異なる点も見られます。

「例えばミカンでも、日本では酸味と糖度のバランスが良いものが好まれますが、香港では酸味はない方が好まれていて、甘さが際立つ果物はよく売れます。ブドウも香港では皮ごと食べる感覚があるので、甘くて皮ごと食べられるシャインマスカットは飛ぶように売れます」。

産地との連携を深めて海外輸出をビジネスチャンスに

昨年の2017年12月より、日本で旬の青果物を現地の加工会社向けに輸出する取り組みを試験的に開始しました。

「日本国内で供給過多になっている旬の野菜は、価格に下方修正の圧力がかかり、『儲からないなら収穫しない方がまし』と考える農家さんもいると聞きます。当社としては、そのような日本で値崩れしている青果物でも需給が異なる海外マーケットに出すことで、新たな収益が見込めないかと考えました。

そこで日本の値崩れしている農産物を香港の加工会社に販売し、現地スーパー需要だけでなく加工用需要も開拓します。そして、日本産青果物が消費される機会を拡げる試みを始め、海外マーケットを日本の需給調整となる仕組みも模索したいと考えます」。

このような日本で供給過多の青果物の海外需要の開拓に加えて、今後は現地の嗜好に合った日本産青果物の栽培について産地と協力も必要になってきます。

「今までの農産物の輸出は、一般論として産地側がこれを海外で売ってみたいというサプライドリブン(供給側駆動型)の話が多かったと思います。日本で売れているからといっても現地の好みや消費傾向に合っていなければ、輸出は継続しません。

ミカンの例に代表されるように、国によって果物の嗜好はそれぞれ異なります。輸出を通じて知りえた現地の嗜好を、日本の生産者にフィードバックさせます。現地の嗜好にあった農産物の生産、輸出にも産地と連携して取り組んでいきたいと思います」。

「農産物の海外輸出も、農業総合研究所が日本で作った『農家の直売所』システム同様に、日本の生産者や海外の消費者をはじめすべての人に利益がもたらされる透明な流通プラットフォームを作っていきたいです」と村田さんは語ります。

現地の消費傾向や好みに合った農産物を提供し、生産者に利益をもたらす供給体制づくりが求められています。

株式会社世界市場

参考
※1 香港基礎データ(外務省)
※2 東京都の人口(東京都)

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