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移住者が1,000人突破 右肩上がりの「高知県の移住促進の取組」

移住者が1,000人突破 右肩上がりの「高知県の移住促進の取組」

高知県は、他県に比べて少子化と高齢化がいち早く進んでいて、他県に先駆けて県と市町村が一体となって移住施策を実施。2012年の移住者は225人でしたが、年々移住者が増えて2016年には1,000人を突破しました。高知県が進める移住施策や就農を考える方へのバックアップ体制などについて、高知県移住促進課の埇田新平(そねだしんぺい)さんと一般社団法人高知県移住促進・人材確保センターの黒川尚江(くろかわなおえ)さんに話をうかがいました。

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県と市町村が一体となって移住施策を実施

高知県では、全国より15年ほど先行して少子化、高齢化が進み、1990年頃から人口が年々減少していく状態になっていました。その後も人口減少が加速し、県内経済の縮小などの問題が深刻化していくと見込まれました。そこで進められたのが、高知県全体での移住促進への取り組みです。

2009年に移住相談の総合窓口である「移住・交流コンシェルジュ」を配置し、移住を考える方のニーズに沿ってサポートできる体制を整えました。さらに、2017年には県・市町村・産業団体の参画のもと、「移住相談」と「就業相談」を総合的に担う新しい組織「一般社団法人 高知県移住促進・人材確保センター」を設立し、本格的に業務を開始しました。

お試し滞在施設や相談員の増加で受け入れ体制強化

2011年、2012年の移住者は200人台で推移していましたが、移住施策を抜本的に強化した2013年から一気に右肩上がりに移住者が増加。2016年には1,037人となりました。

「移住者が大幅に増加した主な要因には3つあります。1つ目は、都市部への情報発信です。高知の特産品や観光、移住などの関心を高める『高知家プロモーション』のパブリシティ効果や移住ポータルサイトの機能拡充などの取り組みにより、情報発信の強化に繋がりました。」と埇田さんは語ります。

田舎暮らしを体験できる『お試し滞在施設』

「2つ目は、移住・交流コンシェルジュの配置や、都市部での相談窓口の開設等によって相談体制を強化したことです。そして3つ目が、市町村の移住専門相談員の配置を拡大し、田舎暮らしを体験できる『お試し滞在施設』の整備するなど、地域内の受入体制を強化したことなどが考えられます。」(埇田さん)。

移住希望者への就農サポート体制

農業担い手育成センターの座学研修

2016年度の高知県への移住新規相談者数は、3,740人にものぼります。

「相談者の就業希望先としては、企業就職が4割と最も多いですが、次に多いのが農業就業希望者で、およそ3割です。また、県の相談窓口などを通じて移住された方は、20代から40代と比較的若い方で8割を占めています。」と黒川さんは語ります。

高知県では、農業を始めたい移住希望者をサポートするために、農業の技術や知識を学べるスクールや研修制度を整えています。

たとえば「こうちアグリ体験合宿」は、金曜日から日曜日まで2泊3日の体験型短期研修です。県内の産地を訪れたり、農作業、農業機械操作の体験を行うもので、就農へのイメージ作りを支援しています。また東京都や大阪府で、入門講座として「こうちアグリスクール」の開催も行っています。

「さらに、各産地や地域が支援体制を整えたうえで新規就農者を募集する『産地提案書』によって、就農希望者と地域をマッチングする取り組みを行っています。

マッチング後は、就農に向けて『県立農業担い手育成センター』での半年から24ヶ月にわたる基礎研修や、1~2年の農家研修も受けることが可能です。研修期間中には、最大で年間180万円の資金が交付されるので研修に専念できて、研修後にきちんと就農できるようサポートしています」。

2016年度は276人が就農

県としての手厚いサポートがあり、2016年度には過去最多の276人が、新しい担い手として就農しました。就農者は県内各地に広がっており、キュウリやナス、ゆずなど、様々な品目を栽培して県全体を支える活力として期待されています。

「人口が増加するだけでなく、地元の伝統行事が復活するなど地域のコミュニティが活性化する事例が多く出てきました。移住者増加の嬉しい影響であると思います」(黒川さん)。

高知県では、第3期産業振興計画の最終目標である、2019年度の年間移住者1,000組を目標に、現在も引き続き様々な施策が強化されています。

県内の人材ニーズを掘り起こし、移住希望者の就労意欲を満たす魅力的な仕事を提案できるよう、人材マッチングの取り組みも強化します。それとともに、市町村の受け入れ体制もさらに充実させ、移住へのハードルを下げる仕掛け作りなども検討しているそうです。

多くの都道府県で移住者を促進する取り組みが行われていますが、確実に移住者を増加させている成功事例として参考にできる点も多いのではないでしょうか。

高知家で暮らす

就農情報サイト「こうち農に就く.net」

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