「耐病性」や「耐虫性」のある品種を選びましょう
自家栽培の魅力は、自分で手塩にかけた農作物や植物に、たくさんの実がついて収穫できることです。時間もかけて育てた分、その感慨もひとしおではないでしょうか。
自家栽培の醍醐味と喜びを味わう過程において、特に手がかかることは、「育てる野菜や果物を、いかに病気や害虫などの脅威から守っていくか」ということです。
日々のこまめな観察や発生したときの適切な対策は、農作物や植物の栽培に切り離せない重要なことであり、正しい知識を覚え栽培できるようになるまでに相応の時間を要するものです。
しかし、現在では病気や害虫への耐用に優れている品種が広く流通しているため、基礎を学びながら自家栽培を実践できるこれらの品種を選ぶのがおすすめです。
耐病性のある品種の選び方
ウイルスフリー
ウイルスフリー苗というのは、現在までに知られているウイルスには感染されていない苗のことを指します。
ピーマンやトマト、イモ類などの野菜は、ウイルスに感染していない生長点(※1)から培養した苗で栽培されていることが知られています。この繁殖方法によってウイルスへの耐病性と、丈夫に成長する特徴を持つ野菜類をウイルスフリーと呼ばれています。手軽に楽しめる自家栽培に最適な品種です。
他にも、ダイコンやホウレンソウ、キュウリやタマネギなどの野菜も、耐病性に優れたウイルスフリーの品種が多く流通しています。しかし、毎年のように新しい品種が流通されるため、それぞれの作物に関する詳細な情報を入手しづらいケースもあります。
苗に添付されたラベルに記載されている情報だけでは購入に踏み切れない方は、事前に電話などで販売元や生産者に確認を取り、不安を払拭した上でウイルスフリーの品種を購入するようにしていきましょう。
(※1) 生長点…植物の根や茎の先端にあって細胞分裂を行う部分。
害虫の被害を受けにくい品種の選び方
イチジク
耐病性のある品種に比べるとそこまで流通量は多くないものの、耐虫性に優れた品種も徐々に増えつつあります。ハナミズキの一種でステラ系と呼ばれている品種は、品種改良が進み病気に感染する確率は少ないといわれています。また、イチジクやキイチゴなどの品種は、病害虫の被害を受けにくい品種としても知られています。
農薬を散布する必要が少ない抵抗性品種(※2)と呼ばれるものも存在しますが、抵抗性を破って病害虫が寄生することもあるため、このような品種を自家栽培する際には注意が必要です。
信頼の置ける確かなルートから流通されている品種や、自家栽培に人気のあるポピュラーな品種は、耐病性と耐虫性への問題が少ないと言われているので、はじめての自家栽培にとても向いています。
特に、販売実績の伴った生産者が育てている品種は、育苗(いくびょう)から一貫して適切な管理を施しているので、品種選びに迷ったときのポイントとしておさえておきたいところです。
(※2)抵抗性品種…病害虫にかかりにくく、かかった場合でも抵抗力があるため被害を受けにくい品種。
購入時に確認するべきポイント
どんなに認知度の高い品種でも、購入を決める際に目視で確認すべき重要なポイントは「根」の部分です。特に、接ぎ口の近くにこぶがないか、細心の注意を払って周辺を観察しましょう。
もし怪しげなこぶを見つけたら購入を控えるようにするのが良いでしょう。こぶを持った株は、病気に感染している可能性が高いため、購入後どんなに手をかけて育てても健全な成長が見込めないといわれています。被害株を持ち込んでしまうと、同じ環境で育てている元気な農作物や植物まで病害におかされてしまう事もあります。
また、こぶの確認以外にも、見るからに生育が悪かったり、株元の小さい品種や葉に傷があるものは購入を避けましょう。
反対に、株元が太く節間(※3)が詰まっているものや、葉の色ツヤが良く生き生きとした元気なものは購入に最適した品種といえます。どちらも目視による確認をしてから購入の判断をすることが望ましいです。
(※3)節間(せっかん)…節と節の間のこと。葉や枝の出ている箇所を節という。
友人や知り合いに自家栽培を行なっている方がいれば、購入する際にアドバイスをもらうと良いでしょう。現在は、自家栽培やガーデニングをしている方のブログも公開されているので、情報を共有しながら栽培を通じたコミュ二ティを広げ、自家栽培ライフを楽しみましょう。
参考:『病害虫百科』(万来舎)