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【元気な農作物育成ガイド】必読!病害虫に強い種苗の選定方法

【元気な農作物育成ガイド】必読!病害虫に強い種苗の選定方法

生活に彩りを与える自家栽培において大切なのは、病気や害虫への適切な対策です。せっかく育てた農作物や植物が、病害虫の被害にさらされるなんて想像するだけでもイヤなものです。栽培できる品種が増えるほど楽しさも倍増しますが、比例して病気や害虫への対策と方法も多様化します。今回は、自家栽培のステップアップを考える方は必読の、病気や害虫に強い種苗の選び方を紹介します。

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代表的な二つの苗

自家栽培
まずはじめに、苗には「実生苗(みしょうなえ)」と「接木苗」という二つの種類があることをご存知でしょうか。

前者である実生苗は種をまいて育てた苗で、ウイルスなどが原因で起こる土壌病害に幾分か弱いとされています。一方、土壌病害に比較的強いとされ、細菌にも強い抵抗力を持つとされるのが接木苗です。

実生苗と比べると値段は少々高くなりますが、接木苗の方が自家栽培を行うにあたって育てやすいとされていて、農作物や植物の生育など、将来的に考えるとお買い得といえるでしょう。

一方で収穫物の味の比較でいうと、品種によっては実生苗から育てた方がおいしいとされるものもありますが、接木苗の方が味に優れている品種が多いとされています。

接木苗の上手な植えつけ方

自家栽培
耐虫性を持つ野生種や、専用に改良された品種を台木に利用することが特徴の接木苗は、病気や害虫に強く生育が簡単など、長所を兼ね備えています。しかし、植えつけ方を誤るとどんなに元気に育った苗でも生育不良に陥ったり、病気や害虫に悩まされる確率は高くなりますので、適切な植えつけが重要になります。

接木苗を植えつける時は、元肥(※1)を施した土に植え、穴を作り水をやります。次に、購入した苗を逆さまにして根鉢(※2)を崩さないようにしてポットから抜き取りましょう。簡単な手法として、根鉢を植え、穴にすえたら節のようになった接ぎ木部分が地表に少し覗く程度に植えつける方法です。接いだ部分が土の中に埋まってしまうと、接いだ部分から細菌が侵入したり、カビの胞子が増殖して腐りやすくなるので注意して下さい。

(※1) 元肥(もとごえ)…植えつける前に多量に施しておく肥料。
(※2) 根鉢(ねばち)…鉢植えの株を鉢から抜き出したときの根。

徒長苗を植える場合

自家栽培
節間(せつかん)が少し間延びした徒長苗(とちょうなえ)を植える場合は、株元を寝かせるように根鉢を傾けながら植えつけるようにしてください。少し浅めを意識して接ぎ口部分が地表に見える程度に植えます。根がむき出しになるほど浅く植え過ぎると、乾燥したり強力な日差しにさらされて、根が傷み枯れてしまいます。植えつけた後、ジョウロで水やりをしても根が露出しない深さに植えるのが理想的です。

野菜に限らず、サクラやボタン、シャクナゲなどの庭木や、果樹でいうとミカンやウメ、キウイフルーツなどは接ぎ木したものが広く流通されています。これらの苗を植えつける際は接ぎ木部分に巻いてあるテープをあらかじめカッターなどで丁寧にはがします。

バラの新苗のように接ぎ木部分の癒合(ゆごう)が不十分である場合、無理に取り外すと折れたり、腐ったりするおそれがありますので注意してください。その場合は、植えつけ後半年くらい経過してから接ぎ木部分の組織が満足に固まっていることを確認して取り外すのが良いでしょう。

また、野菜と同様に、誤って台木が隠れるほど深々に植えると、接いだ部分から雨水が侵入し病害虫によって腐敗してしまうことがありますので、接いだ部分が地面の上になるように植えてください。

良い苗の見分け方

自家栽培
病気になっている葉や、害虫のない接木苗を選ぶことが、良い苗を見分けるポイントになります。健康な接木苗は育てやすく、野菜であれば良質なものが収穫できます。

また草花の場合は、株元が太くて根本がふらついていなく、葉の色つきが良いもの、葉と葉の間隔が密なものが良い苗といえます。果樹や庭木であれば接ぎ口周辺にこぶのようなものがなく、根が伸びている丈夫そうなものが良いでしょう。

自家採取した種の注意点

自家栽培
草花やハーブなどの種は自家採取が比較的可能ですが、庭や畑で採取した種にはウイルスや細菌が潜伏していたり、品種間において交雑(※3)していたりします。知らないままに使うと、色が悪く異状な形をした奇形花が咲いたり、先祖返り(※4)してしまった貧小な花や実しかつかなくなるので細心の注意が必要です。

(※3) 交雑(こうざつ)…異なる種をかけ合わせて新しい品種を作り出すこと。人為的に植物をかけあわせるのではなく、自然な交配をいう。近種の植物を近くに植えておいたりすると、昆虫によって花粉が運ばれて、交雑種が生まれることがある。

(※4) 先祖返り…性質が固定されていた植物に、現在では見られなくなった先祖の形質が突然現れること。突然変異や、異品種間の交雑によって生じる

ジャガイモを例にとると、畑で育てたその多くが土壌中のウイルスに感染している可能性があるため、前年に収穫したジャガイモを種イモとして使用することは避けなければいけません。

こうした種を毎年種イモに使用してしまうと、2~3世代を経た場合の収穫量は通常時と比べて、年を追うごとに少なくなってしまいます。そのうえ、ウイルス性の病気が周辺にあるイモ畑にまで感染を広げていく原因になりますので、年ごとに新たな種を購入し育成することを心がけましょう。

苗も種も、それぞれ農作物や植物を育てる際のはじまりの姿であることに共通点はありますが、扱い方や注意することにおいては性質が全く異なります。大切な野菜や草花が台無しになってしまわないように十分注意し、病気や害虫に強い作物を育てていきましょう。

参考:『病害虫百科』(万来舎)

【元気な農作物育成ガイド】シリーズはこちら!

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