栄養たっぷり。小さなオリーブの実に詰まった健康成分とは？
日本では香川県 小豆島で多く生産されるオリーブは、もともと地中海沿岸地域に生育するモクセイ科の常緑樹。その実を生で食べることはできませんが、ピクルスに加工することで美味しく楽しむことができます。オリーブの実には、健康効果の高いとされる次の3つの栄養分が詰まっています。
・血液を良好な状態に保ち、心疾患や糖尿病予防につながるオレイン酸
・疾病や老化を防ぐ抗酸化作用を持ったポリフェノール
・同じく強い抗酸化作用のあるビタミンE
このほか、カルシウムや鉄といったミネラル分や食物繊維も含まれています。オリーブの実は、豊富な健康成分が凝縮された果実なのです。
今、健康効果が期待されているオリーブの油
健康へのメリットがもっとも注目されているのがオリーブの油、つまりオリーブオイルです。1958年、米国のミネソタ大学 アンセル・キース博士らは、地中海地域に住む人々が世界でもっとも心血管病（動脈硬化に関係する疾患）の発症率、また死亡率が低いことを発表しました。そして、オリーブオイルは地中海食の健康効果において中心的な役割を果たしていると結論付けられました。現在でも、各国でオリーブオイルの健康面における有効性について研究が進められています。
数多くの研究により立証されているオリーブオイルの3つの働き
オリーブオイルは採油する際、ジュースのように果汁を搾り、遠心力をかけてオイルだけを分離して抽出します。サラダ油などとは異なり、溶剤による抽出や、加熱処理といった工程は一切ありません。精製工程を踏まないオリーブオイルには様々な微量成分が含まれていて、実に多くの健康効果を発揮します。
１．痩身・ダイエット効果が期待できる
カリフォルニア大学アーバイン校薬物学科による、オリーブオイルを摂取するラットとそうでないラットを比較した実験では、オリーブオイルを摂取していたラットのエサの量が1週間後に平均30％減少、さらに体重も6割程度まで減っていたことが判明しました。これには、オリーブオイル成分の7～8割を構成するオレイン酸の、血中の中性脂肪やコレステロール値を下げる作用が関係していると考えられています。
２．血圧を下げ、心血管病の予防効果も
また、フェデリコ2世・ナポリ大学 臨床・実験医学科が12人の高血圧患者を対象に行った実験によると、半年間オリーブオイルを摂取した被験者全員の抗高血圧投薬の使用量が減少、うち8人は投薬の必要もない状況にまで血圧が下がったと報告されています。これは、動脈硬化を促す悪玉コレステロールの働きを抑制するオリーブオイルのポリフェノールの働きによるものだと考えられています。
３．近年では老化を防ぎ、長寿効果が期待できると話題に
2014年、米ハーバード大学の研究（Nurses’ Health Study）は、普段の食事内容が地中海の食事に近いほど、寿命の長さを示すテロメア（染色体末端粒子）が長い状態で保たれることを発表しました。人類史上もっとも長生きしたとされているジャンヌ・カルマンさん（享年122歳）は、長寿の秘訣を「アルル（地名）の空気とオリーブオイル」と答えています。さらに、昨年105歳で亡くなった聖路加国際病院 名誉院長の日野原重明さんも、毎朝スプーン１杯（15グラム）のオリーブオイルをオレンジジュースに入れて飲んでいたそうです。
効果的に摂取して、健康効果を最大化しよう
健康面において多くのメリットを持つオリーブオイルも、油脂であることに変わりありません。過剰摂取には注意し、食事のバランスにも気をつかいたいところです。オリーブオイルはサラダやカルパッチョなどの洋食をはじめ、刺身や冷ややっこといった和食にも良く合います。また、国内食品メーカーと日本女子大学家政学部の研究では、オリーブオイルはトマトと一緒に摂ることで、トマトに含まれるリコピンの吸収速度が高まり、抗酸化作用も強化されることが分かっています。もちろん、トマトジュースや調理したトマトでもその効果は変わりません。
健康効果を十分に得るためには、化学処理がされておらず、厳格な品質管理のなされたエキストラバージン・オリーブオイルを選ぶことが大切です。オリーブオイルの健康成分であるポリフェノールは繊細なため、丁寧に絞られ、しっかりと温度管理されたものでなければ劣化してしまうのです。
普段の食事にオリーブを取り入れてみよう
オリーブの実には豊富な健康成分が凝縮されており、その油分には数多くの健康効果が認められていることをお分かりいただけたでしょうか。オリーブは様々な食事に美味しく合わせることができ、健康にもうれしい作用をもたらしてくれます。
