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臭いが気になっていた牛舎、最近気にならないけどどうしたの?

臭いが気になっていた牛舎、最近気にならないけどどうしたの?

牛舎に牛がズラリと並んでいる様子は迫力があります。ただ、牛舎の独特の臭いが気になってしまうということはありませんか。正直なところ、鼻をそむけたくなる方も多いのでは? ところが、最近では「臭わない」工夫も進んでいるのだとか…。そこで今回は、牛舎の臭いが気にならなくなってきた理由について紹介します。

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頻繁な清掃も大変になる牛舎の臭い

牛舎の大半を占めるのは「つなぎ牛舎」という、牛を牛舎内につなぎ止めて飼養するスタイルです。他にフリーストール牛舎やルーズバーン牛舎といった、放し飼い方式もありますが、一般に私たちが目にするのはこのタイプの牛舎と考えてよいでしょう。

一般的なつなぎ牛舎での一日を追ってみましょう。一日の始まりは牛の健康チェックをしながらの給水器や飼槽の掃除。搾乳の前にも牛床の掃除、搾乳後には使用した機具の掃除、洗浄・殺菌と、清掃を行います。合間には、ふん尿処理もしています。このように、一日のうち、多くの時間が清掃に費やされます。それでも、事業場における悪臭防止対策に関する調査研究を行っている公益社団法人 におい・かおり環境協会の資料によると、養牛業の臭いに関する苦情件数は年間300件近くにのぼっています。

畜産業全体では「3大臭気発生源」として、畜舎から発生する悪臭、ふん尿処理時に発生する悪臭、牛の飼料から発生する悪臭が挙げられています。清掃にかなりの時間と労力が割かれているにもかかわらず、なぜ牛舎の臭いはなくならないのでしょうか。

臭いを「消す」から「発生を抑える工夫」へ

牛舎の臭いがなかなか消えない原因は、臭いが発生してしまってからでは対策が追いつかないところにあるようです。

同協会は「高濃度大風量の臭気を脱臭装置だけで処理するには高額な費用がかかる」ことをふまえ、「臭いの発生をできるだけ抑える」ことを推奨しています。つまり、発生する臭いをどう処理するのかではなく、そもそも臭いを出さないようにする取り組みに変わってきたのです。

牛舎ではふん尿を早期に清掃するのが基本ですが、ひとまとめにして処理するのではなく、ふんと尿を別々に処理することによって尿のアンモニアがふんの微生物に反応して発生が高まるのを抑えます。そこからふん尿をたい肥化する際にも素早く乾かすことでにおいの発生を抑えられます。

また、ふん尿を発酵させ、短時間でたい肥や敷物に戻す技術も注目されています。ふん尿発酵のための大型機械の導入により、臭いの発生を抑え、かつ衛生的な作業が可能になりました。

甘い香りが漂う? 進化する牛舎

牛が布団として使っている敷料にもさまざまなものが使われるようになってきています。昔は麦稈(ばっかん)やおがくずを乾燥させたものが利用されていましたが、最近は、水分吸収力が高く、通気性に富んでいるもみ殻やコーヒーかす、カカオ殻、麦わら、古紙などが使用されるようになりました。

最近、観光や体験で牧場を訪れ「あれ?牛舎なのに甘い香りがする」と不思議に思った人はいませんか?それは、牛舎、堆肥舎の出入り口にチョコレートの香りの芳香剤を噴霧したり、敷料にコーヒー工場やチョコレート工場から取り寄せたカカオ殻、コーヒー皮、豆粉を敷くことで、牛舎にコーヒーの香りがたちこめているからかもしれません。

この他にも換気や通気性をよくするように構造を工夫するなど、酪農家たちはさまざまな臭い対策に取り組んでいます。今後は臭いがそれほど気にならない快適な牛舎も増えていきそうですね。

上記の情報は2018年2月12日現在のものです。

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