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ヒストリー・オブ・ニッポンのイチゴ

ヒストリー・オブ・ニッポンのイチゴ

春のフルーツと聞いて思い出すのはイチゴ。「イチゴ柄」などのグッズもあり、かわいいものの代名詞的な存在のため、現代的な食物のように思えますが、実は石器時代から食べられていたようです。江戸時代にもたらされ、品種改良を繰り返してきた日本のイチゴの歴史に迫ります。

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イチゴは太古の昔から存在した!?

イチゴ

そのまま食べてもおいしく、スイーツの食材としても人気のイチゴ。先日まで行われていた平昌五輪では女子、カーリングチームが通称「もぐもぐタイム」でよく口にしていましたね。

イチゴはヨーロッパの遺跡からそれらしきものが出土しており、旧石器時代から人間が食していたものだと言われています。古代にも生産されていたようですが、本格的に栽培が始まったのは近代になってから。

いま市場でよく見かけるイチゴは「オランダイチゴ」の系統に属するものです。その名の通り、北アメリカ産のものをオランダで改良したもので、江戸時代末期に交易があった日本の長崎にもたらされました。

本格的なイチゴの始まりは戦後 一大生産地になった県は?

イチゴ

江戸時代に長崎にもたらされたイチゴは、食用に品種改良されたものでした。それまで日本人は野生の野イチゴを食べていましたが、それにくらべて大粒だったため、あまり食べようという人はいなかったようです。そのため、せっかく伝来したイチゴは、しばらくは観賞用として存在していました。

本格的なイチゴ栽培が始まったのは明治時代に入ってから。現在に続くイチゴの品種改良の歴史の始まりです。1898年(明治31年)にフランスから導入した品種を改良したものが、日本初の促成栽培用イチゴでした。このイチゴは、発明者の福羽逸人博士の名前から「福羽(ふくば)」と名付けられました。

イチゴ栽培が産業になったのは戦後のことです。各地で栽培や品種改良が進む中、二大ブランドとなったのが東日本の「とちおとめ」、西日本の「とよのか」でした。

とよのかの品種登録は1984(昭和59年)。名前は「豊の香」をひらがなで表記したものです。「豊」が豊前、豊後など九州の国名であることからもわかるように、主に九州で栽培され、西日本を中心に流通しました。とよのかは「はるのか」と「ひみこ」を交配したもので、同じ時期に人気があった「女峰(にょほう)」も同じ系統です。

とちおとめは、その名のとおり、栃木県で作られました。とよのかと女峰を交配して誕生。粒が大きく甘味が多いのが特徴です。1996年に品種登録されました。栃木県は現在イチゴ生産量日本一を誇ります。栽培に適した寒暖差の大きい内陸型の気候と、東京という大消費地に近いことが栃木県をイチゴの一大生産地に押し上げた理由です。

なお、イチゴは当初は露地栽培で収穫時期が5月ごろに限られていました。しかし、ハウス栽培が発達したことで1年じゅう収穫が可能になり、現在イチゴが特に多く収穫されるのは11月~4月。クリスマスの時期にまっかなイチゴがたっぷりのケーキを目にするのも納得です。

さがほのか、あまおう…… 新品種が続々登場!

イチゴ

ところで、「西日本のとよのか」と聞いて、「最近見かけないな」と思った方もいるかもしれません。イチゴは品種改良を繰り返して続々と新しいブランドができているため、現在ではとよのかにルーツを持つ「さがほのか」や「あまおう」が人気を誇っています。

さがほのかは、とよのかと「大錦(おおにしき)」を佐賀県が独自に交配し、1991年に誕生。試行錯誤を繰り返した結果、1998年にさがほのかの名前で市場に流通し始めました。円錐形の形や色つやがよく、食べやすく人気を誇っています。現在、佐賀県のイチゴの作付面積95%が、このさがほのかで占められています。

あまおうは正式なブランド名を「博多あまおう」と言い、福岡県で生まれました。名前の由来は「あかい・まるい・おおきい・うまい」の頭文字から。その名の通り、大きくてふくよかな見た目のインパクトが印象的で、味は濃厚。2003年に登録されました。

最近よく聞くようになったのは「紅ほっぺ(福岡県)」や「さぬき姫(香川県)」など。まだまだ新しい品種が登場し、あざやかに目を楽しませ、口の中を甘さで満たしてくれそうです。

現在、農林水産省に品種登録されているイチゴは300件以上。この中から、どのイチゴが次の人気ブランドとして育つのでしょうか。これからも続いてゆくイチゴの歴史を楽しみに見守りたいですね。

<参考>
農林水産省:いちごの原産地(げんさんち)や歴史(れきし)についておしえてください。
JA全農とちぎ:栃木のとちおとめ
いちご辞典:JAさが
福岡いちご
さぬきひめ:さぬき讃フルーツ(香川県)

上記の情報は2018年3月20日現在のものです。

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