気軽に行けるワイナリー
深川ワイナリー東京で醸造を行うのは、エノログ(ワイン醸造管理技術士)、JAS認定ワインアドバイザーの上野浩輔(うえの・こうすけ)さんです。山梨大学の醸造学科を卒業したあと、滋賀で17年半、新潟で5ヶ月ワインの醸造に携わり、2016年のオープン時から深川ワイナリー東京でワイン造りをしています。
都市型ワイナリーとして、普段人との距離が近いことは実感しているそうです。深川ワイナリー東京が都市型を選んだのは、「気軽に行けるワイナリー」にしたいから。「参加型」、「体験型」であることを大切にします。醸造所内は見学が可能で、併設のバーで試飲をしながらワインの購入ができ、さらに夜になるとおつまみと一緒にワインが飲めます。
普段は上野さんがひとりで醸造作業をしていますが、トラックでブドウが醸造所に到着した際や、ブドウの軸と実をばらばらにする除梗破砕(じょこうはさい)の作業の際には、フェイスブックを通じて仕込みボランティアを募ります。興味がある人は誰でも、ワイン造りに携われることが魅力です。また、収穫体験ツアーも行っていて、昨年は山梨と北海道に行ったそうです。
上野さん自身、人と人とのつながりを大事にする人が多い下町の深川は、ワインで人と繋がることを目指すワイナリーと通じるものがあると考えています。
ブドウ栽培もワイン醸造もプロ同士の仕事
深川ワイナリー東京のワインは、日本産のブドウが全体の7割ほど。山梨県勝沼町、山形県寒河江(さがえ)市、北海道余市(よいち)町、青森県五所川原市、長野県塩尻市などの、契約農家のものを使っています。上野さんが以前から付き合いのある農家もあれば、深川に来てから初めて取引を始めたところも。北海道・余市のブドウ農家は、常連のお客さんからの紹介。東京の市場に来る際に一緒に深川ワイナリーにブドウを届けてくれるそうです。
上野さんが深川ワイナリー東京で造るワインは、辛口でフルーティーな味わいが基本です。大体が単一品種で、ときに「山形県産メルロー+マスカットベリーエー」といったブレンドも。
毎日テイスティングをして、香りや味わいのチェックを欠かさない上野さん。ブドウ栽培もワイン造りも、プロとプロの仕事だといいます。
「作柄のいい年もあれば、よくない年もある。どんなときでも、毎年ブドウ農家はやれるだけのことをやる。ならばワインのプロとしては、それを最大限美味しくするワインを造らないと」。
赤ワインはブドウが黒ければ黒いほど美味しくなるそうですが、おととしのブドウは日照時間が短く十分に黒いものではありませんでした。
「農家さんからもごめんねーなんて言われましたが、天候が悪いのは知っていましたから。赤ワインの造り方でロゼワインにしました」。
同じ農家のブドウでも毎年糖度や酸度が異なり、ワインも変わってくることが魅力だと話します。
国産がメインなのでワイン造りのオフシーズンがあるのかと思われますが、日本のブドウの醸造が終わったあとは、南半球のオーストラリアのブドウを輸入してワインを造っているそうです。
ブドウ栽培も手がけたい
滋賀県でワイン醸造を行っていた頃とは、東京の環境は少し違うそうです。気候の違いから糖度や酸度が変化するのも感じていますが、「江東区の方向けに造ってるんですよ」と笑いながら、食べ物、特に野菜の味の濃さの違いに合わせていると話します。東京では何かとワインを料理と合わせる機会が身近に多くあり、深川ワイナリー東京に併設しているレストラン「ワインマンズテーブル」や、隣駅の清澄白河駅にある直営店の「レストラン九吾郎」では、まさに料理とワインのマリアージュを提案しています。ワイン単体ではなく、料理との一体感を考えるようになったそうです。
20年以上もワイン醸造に携わっている上野さんですが、ワイン造りでまだまだやってみたいことがあると話します。
ひとつ目は、試したことのない品種でワインを造ってみること。特に、ニュージーランドで日本人が育てているピノ・ノワールを使ってみたいと思っているそうです。
ふたつ目は、深川ワイナリー東京がある江東区内でブドウを栽培すること。「東京でもブドウを栽培することは可能」だと、地元産のワインをブドウ作りからできないかと計画中だそうで、とても楽しみです。
醸造所の見学は土・日・祝日に受け付けています。週末の予定に、深川ワイナリー東京訪問を入れてみてはいかがでしょう。
深川ワイナリー東京
東京都江東区古石場1-4-10高畠ビル1F
03-5809-8058
※醸造所見学の詳しい時間や予約方法はウェブサイトで確認を。