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「HACCP導入の実態」導入は当たり前の時代が来る?82.9%が前向きに検討

「HACCP導入の実態」導入は当たり前の時代が来る?82.9%が前向きに検討

食の安全性に対する人々の関心が高まる中、安全で衛生的な食品を製造するための管理方法として、ますます注目が高まっているのが「HACCP(ハサップ)」です。農業従事者も、農産物を加工販売する際など大きく関わりがあるHACCPですが、食品製造業者のうちHACCPを導入しているのはどのくらいあるのでしょうか。HACCP認証の種類や、導入への課題などについても考えてみましょう。
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食品製造業で考えたい「HACCP」とは

HACCP

HACCPとは、「Hazard Analysis and Critical Control Point」の頭文字をとったもので、「食品衛生の一般原則」をまとめたものです。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である「食品規格(コーデックス)委員会」から発表され、各国で採用を推奨している国際的なガイドラインです。

具体的には、原材料の入荷、調合、充填、密封、熱処理、冷却、包装、出荷といった各工程ごとに、微生物による汚染や異物の混入などが起こらないよう監視、記録して管理することが求められます。HACCPを導入した施設では、従業員に教育、訓練を受けさせ、定められた手順や方法で製造が遵守されなければなりません。

HACCPを導入することは管理面でも決して簡単なことではありません。ですが、クレームやロス率が下がる、品質のばらつきが少なくなる、取引先からの評価が上がるといったメリットが多くあると考えられます。

8割以上がHACCP導入に前向き

HACCP

では、実際にどの程度の食品製造業者が、HACCPを導入しているのでしょうか。

日本政策金融公庫の2017年の調査で、食品製造業者にHACCP導入状況について聞いたところ、「導入している」と答えた方は33.4%でした。しかし「現状導入していないが、数年以内に導入予定である」(17.1%)、「現状導入していないが、制度化の内容によっては導入を検討する」(32.4%)をあわせると、導入に前向きな業者は全体の82.9%にも及ぶことが明らかとなりました。

食品製造業でのHACCP導入状況

HACCP認証は、認証する機関が国や自治体である場合や、業界団体、民間のものなど、様々に分類できます。行政や業界団体による認証は、対象となる製品や適用範囲が限られている場合もありますが、民間による認証は自由度が高いといった傾向があります。

食品製造業で導入している(導入予定)のHACCP関連の認証

HACCP認証について「導入している」「数年以内に導入予定である」「制度化の内容によっては導入を検討する」と答えた方に、導入している(導入予定)の認証について聞いてみました。結果、48.9%と最も多かったのは自治体と業界団体によるHACCP認証。「自社で自主的に取り組んでいる」は33.4%、「FSSC22000、ISO22000といった国際的なHACCP認証によるもの」は29.4%でした。

農産物を輸出する場合については、輸出先国が求めるHACCP認証が必要となりますが、それについては5.8%にとどまっています。例えばEUならEU-HACCPなどが求められるため、海外輸出を検討する上では、それらの認証取得も考えなければならないでしょう。

HACCP導入のきっかけと課題

HACCP
食品製造業の8割以上が関心をもっているHACCPですが、導入のきっかけはどんなことでしょうか。

HACCPを「導入している」「数年以内に導入予定である」「制度化の内容によっては導入を検討する」と答えた方に、導入の契機について聞いてみたところ、多かった回答は「異物混入等の食品事故を契機とする消費者の意識向上」(41.8%)、「取引先からの要請」(40.6%)、「HACCPに関する制度改正」(34.4%)でした。

HACCP導入の契機

政府によってHACCP導入の制度化が議論されていますが、HACCP導入を考えるきっかけとして、消費者全体の食品安全に対する意識が高まっていることや、取引先もそのような動きを敏感に感じている背景が強くあるようです。

HACCP導入の際の課題/導入が困難な理由

最後に、HACCPを導入している、検討していると答えた方に、導入への課題を聞いてみました。また、HACCP導入予定はないと答えた方には、導入を行わない理由、導入が困難な理由について調査しました。

その結果、多かった回答として、「施設・設備の整備にかかる資金」、またコンサルタントや認証の手数料など「導入までにかかる費用」、さらに「導入後にかかるモニタリングや記録管理コスト」がありました。

HACCP導入には、初期投資や手数料、さらに記録管理コストといった費用面が大きな課題として挙げられるようです。

約2年前(2016)年の調査で、「食品製造業でのHACCP義務化の必要性について、どう思いますか?」と質問した結果、「必要性を感じる」と答えた方は27.7%で、「必要性を感じない」は18.8%、「どちらとも言えない」が53.5%でした。

しかし、国産品やオーガニック製品にこだわる方、栽培法や製法にも注目する方など、食品の安全性や品質への関心は高まる一方で、HACCPが必要と考える方は2016年当時よりも増えていると予想できます。消費者に選ばれる製品を作るためにも、HACCPの導入は今後ますます重要視されていくのではないでしょうか。

2017年3月 日本政策金融公庫調べ

 
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