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“アグリカルチャー”というオートバイ タフな装備は農耕馬を思わせる

“アグリカルチャー”というオートバイ タフな装備は農耕馬を思わせる

2018年05月25日

風を浴びながら「颯爽とスマートに走る」。想像するに、オートバイのイメージはだいたいそんな感じが一般的でしょう。多くは趣味の乗り物として定着しています。しかし、そんなイメージには似つかわしくない “農業” という名前が採用された製品があったなんて、皆さん信じられますか?オートバイ業界がもっとも賑やかだった80年代、数多くの新型が開発されました。当時は性能面での競い合いが主流の時代でしたが、個性的モデルをリリースすることでも評判のヤマハは実用的な輸出専用モデルを国内向けのラインアップに加えたのです。

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変わり種? いやいやシッカリ者のオートバイ

ヤマハAG200(発表当時リリースされたヤマハの広報写真)

1985年にヤマハが日本国内にも正式販売した「AG200」というオートバイがそれです。このAGは83年にオーストラリア向けに開発されたモデル。まさに“アグリカルチャー”から由来したネーミングが採用されました。ルーツは70年代中頃からのAG100/175にさかのぼれますが、国内にもリリースされて注目を集めたのは4ストローク単気筒エンジンを搭載したこのAG200です。農耕馬をイメージさせるネーミングですが、道無き道を駆けめぐる多彩な機能満載。そこには質実剛健な魅力があふれていたのです。

海外では酪農管理の足として人気

ヤマハのWebサイト“Off-road Mania”の中にある「酪農からファンライドへ」の解説文を引用すれば、“オーストラリアでの酪農業で羊や牛の放牧・飼育用に求められるアイテムを装備したモデル”と記されており、そこにはネバリ強いエンジン特性をはじめ、装備にも様々な工夫が施されていたのです。
当時日本では過激なまでにスポーティーなモデルがどんどん登場し、オートバイブームとなっていました。まさにエキサイティングな市場背景の中、どちらかと言うとキャラクターが地味な存在だったAG200の注目度は低く、高い人気を得ることなく国内では程なく絶版に。バイクファンの中にもその存在を知らぬ人は多いでしょう。それだけに、マニアには希少モデルとして何かと話題に上る一台として知られているようです。

信頼のおける相棒のようなAG200

筆者はAG200の試乗経験がありますが、確かに多くの特徴と個性を持ちながらも自己主張の少ない目立たない存在。しかしそれでいてどこか信頼のおける魅力があり、長く付き合える相棒のような存在としての良い記憶が今でも鮮明に残っています。
脚光を浴びていたスポーツ系のバイクをサラブレッドに例えるなら、AG200 はばんえい競馬に出走する農耕馬のような存在か。否、農耕馬をスマートにしたようなモデルと言えるでしょう。

AGならではの魅力的機能性の数々

85年国内登場時のカタログ

大自然の懐を目指してツーリング。いかにも旅への誘いをイメージさせられた当時のカタログがこれです。
前述したように元々は牧場用途がメインターゲット。オーストラリアやニュージーランドの牧羊に活用。つまり日本の国土とはまるで異なる広大な草原を舞台に、起伏に富む道無き道を縦横無尽に駆けめぐることを想定しています。道具を載せ、あるいは干し草を運び、時に牧羊犬を同乗させての移動にも使うとか。
広大な北海道は別として、日本の国土ではイメージできない雄大な草原が活躍の舞台とあって、オフロード系オートバイをベースに開発。さらに荷物の積載性や同シーンでの利便性を考慮したデザインや、充実した各機能が備えられていたのです。それが人それぞれに愛用の旅道具満載で走るにふさわしいオートバイとしての個性を静かに主張していました。

注目されたのは、車体各部のヘビーデューティな造り

カタログから各機能説明を抜粋

一人乗りと割り切った大型シートの後方に堅牢かつワイドなリヤキャリアを標準装備。シートからの段差も少なく、大きな荷物にも柔軟に対応。フロントにもコンパクトなキャリアを装備。燃料タンクの上にもバッグ搭載を考慮して堅牢な造りにデザインされました。
タイヤは非舗装路でもグリップ(食いつき)の良いタイプを履き、泥避けも十分に長いタイプを採用。後輪を駆動するチェーンもフルカバードされ水の浸入も防ぐ配慮がなされていました。転倒や木立との接触でもダメージを防ぐハンドルレバーガードやエンジンガードも標準装備。どこでも安心して立てられるサイドスタンドは、オプションで右側にも追加装備できる設計。
またユニークだったのは、左手クラッチレバーを握った状態で固定できるクラッチロックレバーの装備。エンジンを止めずにギヤを入れたまま停止し、バイクを降り、またすぐに発進するような使い勝手の良い便利な操作性を誇ったのです。まさにニーズに叶う工夫が随所になされていたのが特徴でした。
そんなヘビーデューティ(頑丈)なデザインは多くの荷物を積載して自由気ままにトコトコと旅をするキャンプツーリング等にふさわしい逸材としても注目されたのです

その後のAGはいかに

国内では80年代の内にラインアップから消滅してしまいました。しかし本場オーストラリアはもちろんヨーロッパ等にも販路を拡大。コンセプト通りのニーズがある市場では根強い人気を保ってきたようです。
ちなみに最近ではNGO組織のモンゴルエコロジーセンターによって寄付されたAG200が、広大な国立公園のパトロール等で活躍しているそうです。その様子を調査した動画がヤマハ発動機の公式サイトにアップされているのでご覧ください。

Moving you Vol.9 タフネス。大地を護る。(ヤマハ発動機株式会社 公式サイト)

類似モデルに改めて注目が!

2017年11月横浜で開催されたホンダスーパーカブの試乗会で披露されたクロスカブ110(撮影:近田茂)

前述の通り日本では絶版になっているAGですが、機能的によく似た傾向のオートバイが最近登場し、大きな注目と人気を呼んでいます。それはホンダスーパーカブのバリエーションモデルとして投入されたクロスカブ。荷物の積載性やヘビーデューティな造りの良さはまさにAGのそれを彷彿とさせます。まさに長く付き合えるタフな一台として、今新たに注目できる存在になっているのです。あくまで余談ながら、AG200の当時の価格は32万円。クロスカブ110 は33万4800円です。走る場所を選ばない柔軟な使い勝手を誇るオートバイとして、AG風の魅力に着目してみるのはいかがでしょうか。

【参考】情熱が生んだオフプレジャーラインナップ|ヤマハ発動機株式会社

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