世界最大級の日本酒イベント「日本酒フェア2018」

毎年多くの日本酒ファンが訪れる「日本酒フェア」。世界最大級の日本酒イベントです。
去る6月16日(土)、池袋サンシャインシティで「日本酒フェア2018」が開催されました(主催:日本酒造組合中央会)。同イベントは「第106回平成29酒造年度全国新酒鑑評会公開きき酒会」と「第12回全国日本酒フェア」の2つから成るイベントで、一般消費者向けの日本酒イベントとしては出品数が世界最大級。昨年は6,500名が来場するなど日本酒の一大イベントです。
特に公開きき酒会は春先に行われた全国新酒鑑評会の入賞酒をきき酒できる唯一の機会とあって、毎年多くのファンが心待ちにしています。
午前10時、第一部開場。続々と入場する来場者は思い思いのブースへ。注目していた酒蔵を目指す方、出身地方の銘酒を味わう方…開始1時間もすると、ほろ酔い顔もちらほら。饒舌になった口元も相まって、イベントはますます盛り上がっていきました。
設立されるや人気蔵になった「緑丘蔵」

全国規模のイベントには初出展となる「緑丘蔵」の日本酒。ひと口味わおうと多くのファンが集まっていました。
上川大雪酒造「緑丘蔵」。日本酒ファンなら耳にしたことがあるかもしれません。
2017年に北海道12番目の酒蔵として北海道のほぼ中央に位置する上川町に設立。100%北海道産酒造好適米を使い大雪山系の天然水で仕込まれた酒はリリースされるや地元中心に広まり、あっという間に人気酒の仲間入りを果たしました。
「緑丘蔵」を知らなくても、杜氏を務める川端慎治氏をご存知の方は多いのでは。あの農口杜氏のいた「菊姫」を皮切りにその後も全国で酒造りに関わってきた”名人”です。故郷の北海道で理想の酒造りを目指していた川端氏が塚原代表の想いに共感し、このプロジェクトに関わったといいます。
酒蔵設立の背景にある、塚原代表の強い想い

「地方創生にその土地の文化である日本酒は欠かせません」と語る塚原代表。
「緑丘蔵」を運営する上川大雪酒造の初代蔵元、塚原敏夫さんはもともと北海道の出身。大学までを北海道で過ごした後、野村證券に入社。全国転勤のある会社に入ったのだから北海道を離れるのは仕方ない。でも全国それぞれにある”良さ”を知り、やがて北海道に還元できれば…そんなことを考えて全国を飛び回ったそうです。
その後、外資系金融機関などでキャリアを重ねる中で、同じ北海道出身であるフランス料理界の巨匠・三國清三氏と出会い、三國氏が地方創生事業として関わる上川町の「大雪森のガーデン」にあるレストラン運営を任されることに。株式会社三國プランニングを設立し代表取締役副社長に就任しました。
地方創生の一環としての酒蔵設立

周囲からは無理と言われながらも諦めることなく設立に成功した「緑丘蔵」。
北海道のほぼ中央に位置する上川町は雄大な大雪山を望む自然豊かな場所。同町にある層雲峡温泉は、年間200万人が訪れる観光地でもあります。この素晴らしい土地をもっと多くの人に知ってほしい…そんな思いで関わった地域創生。そこには日本酒造りが欠かせなかったと言います。
「日本酒とはその土地の文化であり、酒造りとはその土地に根ざして行われるもの。北海道はいまや日本屈指のコメどころなのに、酒蔵は11しかなく注目度もそれほど高いとは言えない。日本酒には人を呼ぶ力があるので、どうしても上川町に酒蔵を作りたかったのです」
ところが酒蔵づくりというのは非常にハードルの高いもの。清酒の製造免許は新規にはまず下りないといいます。そんな中でいくつかの偶然が重なり、三重県の休眠蔵を上川町に”移転”することに。難航はしたものの難題をひとつずつクリアして結果的に許可が下り、「6次化産業化地方創生ビジネス」の一環として酒造りが始動しました。
地方創生に大切なものとは?

「大雪森のガーデン」のレストラン「フラテッロ・ディ・ミクニ」の窓からは雄大な上川町の自然が一望できます。
「私が考える地方創生の秘訣は、プロジェクトの立ち上げ時に補助金や助成金をあてにしないこと。それから周囲の人を巻き込むこと。こうしたことが大切ではないかと」
たしかに上川大雪酒造の設立にあたって、補助金や助成金は一切使っていません。地方金融機関の借入れ以外の資金は夢に賛同してくれた仲間とクラウドファンディングを利用して調達しています。
また、塚原氏が築いた人脈により、社員5人の小さな会社が日本を代表するような大手企業の協賛やサポートを受けている姿は、お手本として町おこしを目指す他の地域にも伝播するはずです。
「ここで作った地方創生ビジネスを、モデルケースとして日本全国に広めていきたい。私がそのきっかけとなれれば、こんな嬉しいことはないですね。今後は上川町での展開はもちろん、いろんな仕掛けをしていきたい。マイナビ農業とのコラボもそのひとつ。お互いの力が一つに合わさることで、新しい情報を発信できると確信しています」
塚原氏の地方創生へのあくなき想いはまだまだ続きます。

日本を代表する大企業から地域の自治体や組合と一体となって地方創生に取り組んでいます。
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