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食の有資格者が消費者と農家をつなぐ「365Market」

食の有資格者が消費者と農家をつなぐ「365Market」

食の有資格者による情報発信を通して、野菜の販売を促進するサービス「365Market(サンロクゴマーケット)」。生産者と消費者の間に、調理師、栄養士など食に対する専門的な知識を持った「伝え手」が入ることで、生産者には消費者の声を、消費者には野菜に関する知識を、これまで以上に届けられるようになるといいます。サービスを立ち上げた株式会社ヴァカボ社長の長岡康生(ながおか・やすお)さんにお話を伺いました。

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フードメッセンジャーが野菜の情報を発信

365Market

──まずはじめに、365Marketのサービスについて教えてください。

365マーケットは「食べるをつなぐ」をコンセプトに、食の有資格者「フードメッセンジャー(以下FM)」による情報発信を軸にして、さまざまな形で野菜の魅力を伝えるサービスです。

FMとは、365マーケットでお仕事をする食のプロたちの総称です。調理師や栄養士など食の資格保有者や、食への感度の高い方々に登録いただいております。

FMに活躍してもらっている弊社のサービスは主に三つ。一つ目は、全国さまざまな場所で開催する「集客マルシェ(365マーケットマルシェ)」です。集客マルシェでは、FMがそれぞれの得意分野の知識を生かしながら、産直野菜を販売します。たとえば、簡単で美味しい食べ方や保存方法など、その人が持っている専門的な知識を、消費者の必要性に合わせて届けます。現在は各地で月80回ほど開催しており、消費者には、FMの説明に加えて各種野菜が1袋50円という価格も好評をいただいています。商業施設や企業にスポンサーになっていただく形をとるため、新鮮な産直野菜をこの価格で販売できるんです。消費者が「また買いたい!また来たい!」と思ってくださることで来店動機につながるため、商業施設や住宅・自動車関係の店舗企業から集客ツールとしてご依頼いただいています。

二つ目はメディア。FMが「食オタ」という食のオタクとなって、専門知識を生かした記事を書くオリジナル情報コンテンツです。それぞれの野菜の特徴を説明する「野菜辞典」や、野菜を使った実験や野菜嫌いを克服するための効果的な食べ方を紹介する「食オタnote」など、実際にFMがやってみたものを、臨場感を大切にして記事にしていきます。食オタ担当のFMが企画を出し合い、楽しく生活に役立つ食の知識を発信しています。

三つ目は企業向けの食育サービス「食育マルシェ(365マーケットオフィス)」です。ここ数年で広がりを見せている「健康経営」の具体的施策ツールとして導入されています。食育の得意なFMが企業に伺い、10分間の簡単な食育セミナーと野菜の即売会を行います。毎回、健康を軸にしたテーマを用意し、それに合わせた旬の野菜を紹介。たとえば疲れがたまりやすい新年度は、疲労回復をテーマにアスパラを取り上げました。クイズ形式などを取り入れているので、従業員がレクリエーション感覚で参加でき、楽しく盛り上がります。食育セミナー後には、実際にその野菜を企業の福利厚生による特別価格で販売します。野菜に関する知識を持ち帰ることで、家族でも会話が弾むと好評です。今は関東を中心に行っていますが、遠方でも企業に野菜を送り、食育セミナーはライブ配信するなどして、全国で展開していきたいと考えています。

どのサービスも、専門知識のあるFMが伝え手として間に入ることで、消費者がより必要とする情報を発信できます。また、FMは主婦の方が多く、消費者目線で考えられるのもポイントです。

「伝え手」の重要性

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──サービスを始められた背景を教えてください。

私はもともと広告の制作会社に勤務しており、培ったプロモーションやマーケティングの知識を生かして起業したいと考えていました。さまざまな事業を考える中で、農業ではマーケティングのノウハウがまだあまり導入されていないと感じました。農家は良いものを作っているけれど、農作物を作ることだけに集中し、消費者が何を必要としているかはあまり考えられていないのではないかと。世の中の多くの企業が消費者のニーズを汲んだ商品を作っている中で、農業は自分の作りやすさを優先して生産している作り手が多いように見えました。それでは、せっかく作っても消費者に購入してもらうのが難しいと思ったんです。そこで、農家の販路拡大をサポートする事業を立ち上げようと決めました。

まずは、農家を訪問して関係性を築き、野菜を全量買取して、自社で在庫を持って販売することにしました。折よく商業施設から依頼を受け、マルシェを開いて野菜の販売を行ったのですが、まったく売れませんでした。せっかく消費者が買いに来てくれても、「おいしいよ、安いよ」くらいしか言うことができず、野菜の良さを伝えられなかったんです。

困っていた時、野菜ソムリエという資格を持ち、食の有資格者たちを取りまとめて仕事を紹介するなどしていた藤田(現株式会社ヴァカボFMマネージャー)が手伝いに来てくれました。ただ販売するだけでなく、食の有資格者たちが野菜の食べ方や保存方法まで詳しく説明すると、どんどん野菜が売れたんです。その時、知識のある人が消費者の目線に立って伝えることが重要ではないかと気づきました。その経験をもとに、FMの力を生かす、いまの事業の構想が生まれました。

消費者と生産者をつなぐ支援を

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──最後に、今後の展望について教えてください。

今後も、FMを伝え手とした野菜の販路拡大を続けていきたいと思います。

そのために、ECサイトをオープンして、FMのレコメンド(推薦文)付きで野菜を販売したいと考えています。必要な情報や知識をFMから発信してもらい、より買い物しやすく知識が深まるサイトを作りたいです。

一方“リアル”では、企業での食育セミナーやマルシェでの野菜の販売を活発化させていきます。いずれはリアルとネットを連携させたサービス展開をすることが理想です。

これらのサービスを通して、消費者の声を農家に届ける仕組みをつくり、農家がニーズに合った農作物を作れるよう支援していきたいです。そうすることで、農家の収入向上につなげられればと考えています。

 

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