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国産いぐさで地域ブランドの畳表をつくりたい。その夢に向かって邁進中!

国産いぐさで地域ブランドの畳表をつくりたい。その夢に向かって邁進中!

最終更新日:2018年08月28日

井戸畳店の創業は昭和15年。南紀白浜の地に根差し、旅館やホテルを中心に住宅メーカー、一般家庭などに向け、畳の製造・販売を行う老舗企業です。現在、業界では価格面から中国産のいぐさが一般的ですが、消費者からは安全・安心・高品質な国産いぐさへのニーズが増加。しかし、国内主力産地である熊本県のいぐさ農家は、高齢化のため年々減少しています。この現状を憂慮し「いぐさの自社栽培・畳表の自社製造」に取り組んだのが、井戸畳店の3代目社長/井戸 宏和さんです。

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職人頼りの畳作りをいち早く機械生産に転換!業界のパイオニア

高校を卒業後、夢を追いかけて地元白浜を飛び出した井戸さんですが、一人で店を切り盛りするお母さんを助けたいと21歳で実家に戻り、家業を継ぐことに。しかし最初は右も左もわからず、依頼された仕事を漫然とこなす日々でした。そんな現状に危機感を覚え始めたある時、ふと参加した勉強会でコンピュータ式の畳の生産ラインと出会います。

「従来の畳業界は職人の経験と勘に頼るだけの手仕事の世界。このままでは職人の高齢化、畳そのものの作りの変化に対応できず、今あるニーズにも応えられないと感じていました」と語る井戸さん。

当時まだ27歳の井戸さんにとって大きな投資ではありましたが、業界に先駆けて生産ラインの導入を決めた事が井戸畳店躍進のきっかけに。より正確で美しい仕上がり、短納期での安定生産を実現する生産ラインがあったからこそ、南紀白浜の膨大な旅館・ホテル群の畳需要に応えることができたのです。その後は畳だけでなく、襖や障子の貼り替えサービスにも事業を広げ、和室の総合リフォームに対応。ライン導入の翌年とその2年後には2つの支店を出店し、現在は京阪神にも幅広い顧客を抱える畳店へと成長しました。

大切に育てられ刈り取りを待ついぐさ

次に目指すは業界の底上げ。地域の畳ブランドの確立、地産地消がビジョン

「井戸畳店としては一定の成果を挙げましたが、業界の課題は時代と共に大きくなる一方。マーケット規模の縮小に伴う資材メーカーの寡占化や職人の減少、いぐさ農家の減少も課題の一つです。」

そこで井戸さんは畳店としては“異端な取り組み”に挑みます。平成26年から公益財団法人わかやま産業振興財団の助成を受け、『安全・安心・高品質な和歌山県産いぐさを使用した畳表の製造・ブランド化・販売事業』をスタート。「一般的な畳表作りは家内制で、農家を営む主人がいぐさの栽培を行い、奥さんが織機で畳表を織り上げます。完成した畳表は市場に出荷され、それを問屋が全国に販売するのが昔ながらの商流です。しかし、そんな流れも時代と共に変わり、今ではいぐさ農家と畳店が直接取引するケースも増えています。」

そんな時代の変化に目を付けたのが井戸さんの取り組みです。農家の減少によって余ったいぐさの栽培・加工設備を地域の有力な畳店や問屋が買い上げ、それぞれの地域ブランドの畳表を作り、地産地消を目指す。そのモデルケースの確立に向け、井戸さんは今、いぐさの自社栽培・畳表の自社製造に挑んでいます。

「泥染め」を待つ束ねられたいぐさ(上)、刈り取りの様子と畳表に加工する製織機

いぐさ農家に挑戦できたのは、たくさんの人との出会いがあったから

いぐさ栽培への挑戦を支えてくれたのが井戸さんの中学の同級生 寺田健治さんです。「職場での人間関係の難しさに悩み、次の仕事を探していた寺田さんと偶然再会した井戸さんは「植物と向き合う仕事をしてみないか」と声を掛けます。この時、寺田さんは44歳。サラリーマンだった寺田さんにとって、この誘いは非常に魅力的な反面、大きな挑戦だったでしょう。しかし、寺田さんはいぐさ農家になることを決断します。

「それからは畳店の仕入先農家がある熊本と和歌山を行き来する日々。現地で栽培・加工技術を学び、全面バックアップを受けながら栽培に取り組んできました。」取材で圃場を訪れた時も多くを語らず、黙々と作業する寺田さん。その寡黙な横顔には仕事への誇りが滲み、いぐさ農家としての自負がひしひしと伝わってきました。

しかし、いぐさの収穫は年に一度でまだまだ試行錯誤の段階。現在4期目を迎えたものの、地場産業として根付くにはもう少し時間が掛かりそうです。とはいえ、課題を乗り越えて取り組みは年々進化し、現在はいぐさを使った産品、小物雑貨の製造販売も進んでいます。「苦労話は全部忘れてしまう」と笑う井戸さんですが、いぐさ栽培から畳表の製造、そして付加価値製品の加工まで、すべてを自社で手掛けるお二人の姿からは畳、農業への強い想いが感じ取れました。

香りも良いいぐさの小物

一方、いぐさ栽培から畳表の加工、販売を自社で手掛けることで、畳店で働く若いスタッフの心境にも変化が表れていると井戸さんは教えてくれました。

「農家の苦労を知ることで製品への想いが増し、想いが詰まった畳を直接販売することでお客様の喜びの声を体感できるのが大きな変化。農業は決して楽な仕事ではないですが、若い彼らがイキイキと働く様子を見ているとこの仕事には休日や給料だけでは計れないやりがいがあると感じます。若い人たちがそんな農業に魅力を感じ、井戸畳店でともにいぐさ栽培に携わってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。」

いくら良い作物を作っても、買ってもらえなければ農家という仕事は成り立ちません。しかし井戸畳店では作付の全量買い取りを行い、安定した農業を持続してもらえるよう全面バックアップしています。「井戸畳店に関わるすべての人々が、個々に思い描く幸せな暮らしを末永く続けていけるようコーディネートすることが私の一番大事な仕事です」とは井戸さん。実は南紀地方は関東からのITオフィスの誘致や、仕事と休暇を両立するワーケーションの取り組みも活発なエリア。魅力あふれる南紀白浜で、昔ながらの農業にクリエイティビティをプラスする新しい農業に挑戦しませんか?

 

井戸さん(右)を陰になり日なたになり支える寺田さんと

◇有限会社井戸畳店
本店:〒649-2211 和歌山県西牟婁郡白浜町798-2
Tel:0120-193-561 お気軽にお問い合わせください

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