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すごいぞ農家発明家!北海道の農家が生んだ稲作便利ツール

すごいぞ農家発明家!北海道の農家が生んだ稲作便利ツール

最終更新日:2018年10月04日

「農作業」と一口に言っても、様々なものがあります。各作業の省力化を促す農機具の種類も沢山。なかには、いまだに地道な手作業が要求される工程も少なくありません。北海道の農家・黒壁聡(くろかべ・さとし)さんは、稲作用の器具を自分で開発し製品化、そのアイディアが実用新案として登録されました。作業を熟知したベテラン農家だからこその視点と、若い世代への優しさが生んだ便利ツールとは…?

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育苗マット運搬の「痛い」「汚れる」を解決


北海道新篠津村で米や野菜を栽培する黒壁聡さんが、稲作の便利ツールを開発・製品化しました。

黒壁さんが開発した「はこらく」は、水稲の育苗マット箱を簡単に運べる器具。従来は、1枚5kgの播種した土入りの箱を手で持ち上げ、滑車でまとめて運んでいました。平均的な作付面積の農家で、約4,000枚を運ばなくてはならず、作業を続けていると手の汚れや痛みなど負担がありました。

何とか効率化できないかと考えた黒壁さんは、20年前から器具の試作を重ねてきました。4人の息子たちが巣立った3年ほど前から、軽量化などの改良を集中して行い、実用化にこぎ着けました。

肩幅サイズの鉄製フレーム横にある取っ手を握り、重ねた苗箱に載せて持ち上げるだけで、約3~4枚をまとめて素手で楽に運べるのが、「はこらく」の便利なポイントです。
2018年に実用新案として登録、5月から製品として販売されています。
売り上げが増えれば、新たな機材の開発や、保育事業など村の発展に関わる人材雇用への活用の資金に充てたいと考えてるといいます。

追求するのは「楽して、楽しく農業を」

はこらく

「はこらく」の使用方法を実演する黒壁さん

農家の次男坊として生まれた黒壁さん。子どもの頃から機械いじりが好きで、工学部を目指したこともあったといいます。北海道発明学会の会員として活動するなど、機械の発明に深い興味を抱いていました。「継ぐ気はさらさらなかった」という家業を担うことになり、農業でも手先の器用さを発揮していきます。農機の整備や修理は自分でやってしまうほか、米の乾燥施設も自前で設置しました。トラクターにはテレビやDVDプレーヤーを自分で取り付け、畑での時間を有効活用する、お茶目なエンジニアでもあります。

農作業の前後に、自宅敷地内のガレージで機械いじりをするのが日課。「時間を忘れてしまうようで、ご飯ですよって呼んでもなかなか出てこないんですよ」と、妻の早百合(さゆり)さんは笑います。

「私がいつも考えているのは、いかに楽して、楽しく農業をするかということ」と、力説する黒壁さん。開発した「はこらく」のネーミングにも、そんなモットーを載せました。「手を抜くのではなく、長く農業を続けるために省力化できるポイントを探しています」。作業を熟知したベテラン農家ならではのアイディアが、かゆいところに手が届く便利ツールを生み出しました。

若い人に「便利だね」って言わせたい

はこらく

黒壁さん、母の朝子(あさこ・中央)さん、妻の早百合(さゆり)さん

新篠津村の人口は約3,000人と、1960年の5,473人をピークに減少傾向にあります。仕事を求めて村外へ出ていく若者も後を絶ちません。生まれ育った村の活気が失われていくことに、悔しさを感じると黒壁さんは呟きます。

黒壁さんの4人の息子たちは、それぞれ道内外で活躍しています。「遊びに行く楽しみができるから、遠いところに住んでくれるほどいいんですよ」と笑いますが、「将来的には、子ども世代の若者が故郷に戻ってきたいと思ってもらえる村にするのが目標」と、思いをのぞかせます。

「道外からの移住によって人口が増えたり、保育事業が活発になれば、子育て世代も暮らしやすくなるのでは」。勤め先の産直市場で地元の野菜の魅力を伝えようと、野菜ソムリエプロの資格を取得した早百合さんと、農家レストランなど農業を軸にした観光施設を始める夢を膨らませ、講習会に通うなど実現に積極的です。

「『はこらく』を、若い人に使ってもらって、便利だと言ってもらえるのがベスト」という、黒壁さん。その思いを知った若手が、若者世代にも伝わりやすいようにと製品のロゴと紹介動画を作ってくれました。

「若い人にもやりたいことをやって欲しい」と話す黒壁さんは、新たな発明品を考案中。若手に負けない柔軟な頭脳で、‟楽しい農業”を切り拓いていきます。

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