JAが「農産物」と「学び」を提供 都内農家による出前授業

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JAが「農産物」と「学び」を提供 都内農家による出前授業

JAが「農産物」と「学び」を提供 都内農家による出前授業

最終更新日:2018年08月07日

ニンジンの葉っぱがどんな形か知らない。土・泥の付いた野菜なんて見たことない。畑で野菜が育っているところなんて目にする機会がほとんどない。知っているのはスーパーに並んだ「完成品」の野菜だけ。
そんな子供たちを相手に、次世代を担う東京都内の若手農家たちが「先生」になって、都内の小学校で農業の授業を実施。この「出前授業」と、都内産の野菜を材料として使った給食を合わせて提供し、東京の農業への理解を深めてもらおうという取り組みがスタートしています。

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“農家の出前授業”に、子供たちが興味津々

出前授業の様子
 

驚きが教室いっぱいに

生産者がゴマ粒のような小さな野菜の種を見せて「これがニンジンや小松菜になるんだよ」と紹介しただけで、「本当?」とびっくり仰天する子供たち。
きれいなアゲハ蝶も、その幼虫は野菜にとって害虫だと説明すると「信じられなーい」。
周囲にビルも住宅もない、広々とした畑の写真を見せて「ここは東京なんだよ」と言うだけで、教室中が蜂の巣をつついたような大騒ぎに。
小学校での農業の授業は、聴く側にとっても教える側にとっても新鮮な驚きの連続です。

農家の青年が先生役にチャレンジ

「農業も畑も知らない子供たちに授業をするなんて自分にできるのだろうかと、おっかなびっくりで先生役にチャレンジした生産者たちですが、打てば響くような反応と、子供たちのキラキラした視線を浴びるうちに、どんどん自信たっぷりの“先生”になっていきました」
そう説明してくれたのは、この出前授業のサポート役を担ったJA東京中央会都市農業改革部の下髙湧太(しもたか・ゆうた)さんです。

「東京の農業」を伝えるために

食育

JA東京中央会とJA東京青壮年組織協議会(JA都青協)が連携

この出前授業と都内産農産物の学校給食食材提供は、JA東京グループが取り組む事業です。その一環としてJA都青協(都内の若手農家で構成される団体)とJA東京中央会が連携し、学校側との調整の結果、都内の小学生に対しての出前授業が実現。初年度(2017年度)は、2018年1月に新宿区立四谷第六小学校の3年生2クラス(計60人弱)、2月に江東区立第四砂町小学校の5年生(3クラス合同95人)に向けて実施されました。

農作物が栽培されているところを見たことがない

都内23区のうち、農地面積が10ヘクタールに満たないところは16区あり、新宿区と江東区はその中の2区。つまりこの地域で生まれ育った子供たちの多くは、実際に田畑で農作物が栽培されているところをまったく見たことがない可能性が高いのです。
そんな子供たちに対して、JA都青協役員である若手生産者6人(各校に3人ずつ)の「先生」が、自分の畑でその日の朝に収穫したニンジンや小松菜を見せながら、種をまいてから作物が成長する過程や、おいしく育てるための苦労や工夫、思い、普段の仕事の流れなどについて話していきます。

都市農業の役割と農地保全の重要性

JA東京中央会では、都内の農地が毎年約100ヘクタールずつ減っていることに危機感を覚え、都市農業の重要性を積極的にPRしています。
都市農業には、都内へ新鮮な農産物を提供する役割だけでなく、環境保全やコミュニティの促進、災害時には農地が避難場所にもなるなどの多面的な機能があります。そのことを多くの人に伝えるPRの一環として、“都市農業の応援団”を増やすための活動をしています。
学校給食への都内産農産物の導入事業は、出前授業と同じく新宿区と江東区の小中学校で2017年度から開始。初年度は42校、約1万5千人の児童・生徒に向けて提供しました。
それを最初のステップとして、それまで別々に行っていた出前授業と学校給食をセットにした形の「食農教育」を提供。授業後の給食で都内産農産物を使用した献立は、「ほぼ完食だった」と学校から話を聞いたそうです。

学校側のニーズ

授業後の給食
 

社会科学習・職業学習の一環として

この出前授業をはじめとする食農教育は、学校側が、社会科の授業の一つとして何か特別な授業をしてほしい、というニーズと合致したために実現しました。
自然と触れ合う機会が少ない子供たちに、まずどうやって農作物が育つのか興味を持たせたい、きっかけを作りたい、というところから始まりました。
「小学校3年生の社会科で地域の産業について勉強するので、工場やスーパーマーケットの見学と同様に、第一次産業(農業)に直接触れるチャンスにしたい」
「5年生に対しては農家という職業について知る、職業学習の一面を持たせたい」
JA側ではそんな要望を各校の栄養士や学年主任の教諭などから聞き取った上で、打ち合わせを重ね、ニーズに応じた授業になるよう授業プランを作りました。

授業用資材もJAで用意

授業で使われた冊子

JAは講師となる生産者と打ち合わせを行い、食農教育資材として東京の農業の概要をまとめた冊子、授業で活用するスライド、都市農業の多面的な機能を動画で紹介するDVD、DVDの内容を家庭で復習するためのパンフレットなどを制作して用意。他にも授業の中にクイズを取り入れるなど、子供たちが飽きないように楽しみを持たせながら、正確な情報を伝えていける授業づくりを目指しました。

「やってよかった」

授業終了後に授業を受けた児童が自分で小松菜のことを勉強し、自由研究レポートにまとめたり、野菜に興味を持ち家庭で栽培を始めたりするなど、学校側でも授業の反響に満足だったようです。
先生役を体験した生産者たちも、自分にとって当たり前のことが、子供たちにとっては新鮮な感動になることに大きな手ごたえを感じ、「やってみて本当に良かった」という感想を持っています。
JA東京中央会では、初年度の新宿区・江東区における実績を踏まえて、この出前授業+学校給食の取り組みを今後もさらに広げていきたいと考えています。

 
JA東京中央会
JA東京青壮年組織協議会

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