どんな野菜が使える? 何が染められる?
野菜染めに使える野菜
野菜を使った染め物によく使われるものには、タマネギやナスの皮、シソやヨモギの葉などがあります。また野菜ではありませんが、お茶の出がらし、ドングリ(クヌギの実)などを使っても染めることができます。
野菜染めで染めるのに適した素材
毛や絹といった動物繊維がもっとも染めやすく、木綿や麻も呉汁(ごじる)処理をすれば染まりやすくなります。ナイロンやポリエステルなどの合成繊維は、基本的に染めることはできません。
初心者には、木綿の布巾やバンダナ、毛糸玉など小さなサイズのものがお勧め。シミがついてしまった服など(※1)を染め直してアップサイクルすることもできます。その場合、本体は天然素材でもタグや刺繡などは化学繊維の場合もあります。化学繊維は高温に弱いものもあるので注意が必要です。また、ボタンは外して作業をするとよいでしょう。
※1 染める作業中や染めた物を着用するなどした際、万が一肌などに異常が出た場合は、即座に作業や使用を中止してください。
染め物の注意点とお手入れ
作業をする際、手への着色や荒れなど(※2)が気になる方はゴム手袋を着用するといいでしょう。また、火気や、加熱して熱くなった鍋などの道具には十分に注意してください。秋田さんいわく、「注意が必要ですが、行程によっては子ども(※3)と一緒に行うこともできます。セミナー参加者の中には、5歳ごろのお子さんと一緒に、絞り模様付けの作業などを楽しんでいる方もいます」。
染めた後の物は、色移りしないように洗濯の際にはほかのものと分けて洗うことを秋田さんは勧めています。「野菜の色素は日光の紫外線に弱いので、洗うときは中性洗剤を使って、できれば手洗いし、陰干しをしてください」。色が薄くなってきたら、また重ね染めをして新しい色合いを楽しむこともできるそうです。
※2 食品や食品添加物を使いますが、特に肌の弱い方は十分に注意して作業を行い、染めた物の使用はご自身の判断で行ってください。
※3 子どもと一緒に行う際は、保護者が子どもから目を離さないようにしてください。
実践! タマネギ染めの手順とコツ
ここでは、入手しやすいタマネギの皮を使った染め方を紹介します。タマネギの皮は、たくさん使うほど色は濃く染まります。皮は清潔な状態で乾かしてためておくといいでしょう。ハンカチサイズ程度の綿の布を染める場合は以下のような材料を使います。
<材料>
・無調整豆乳
・染める物(ハンカチサイズの布)
・タマネギの皮(染めたい物の重さの2割ほどの重量)
・焼ミョウバン(※食品添加物)
<道具>
・鍋(ステンレスやホーロ製がよい)、布を浸すことができる桶など適宜
呉汁処理(下処理)
この手順で、いよいよ染めていきます。火を使うので注意してくださいね。染色液は、次の手順「媒染(ばいせん)」後の重ね染めでも使うため、つけ終わっても捨てないでください。
1. 鍋いっぱいを目安にタマネギの皮を入れ、ひたひたになるまで水を入れる
2. 20分ほど中火で煮る
3. 布巾やざる、キッチンペーパーで2をこす(染色液)
4. 3に、呉汁処理をした布を水にぬらしてから、20分ほど浸す。寒い日は、染色液を加熱しながら浸す
※ムラにならないよう、時折布の上下を返したり、ゆらゆら揺らしたり、ギューギューと押したりするとよい
色留め(媒染)
媒染を行うことで、染めた色を布に固定し、落ちにくくします。媒染を行わないと、洗うとすぐに色が落ちてしまいます。
1. お湯に焼きミョウバンを溶かす。お湯1リットルに対してミョウバン大さじ1程度
2. 染色液に浸しておいた布を絞って、ミョウバン液につけ、色が変わったら数回押し洗いする
3. ミョウバン液から布を取り出して絞り、再び染色液につけ、絞ってミョウバン液につける
4. 3を2~3回繰り返した後、色が出なくなるまで水ですすいでから干す
染色液に布を入れる前に、折りたたんだり、ビー玉(※4)をくるんだりして輪ゴムで留めておくと、模様をつけることもできます。秋田さんによれば、豆乳の濃さや、タマネギの皮の量、染色液・ミョウバン液につけておく時間の長さや回数によっても、染まり具合は変わるそうです。「いろいろ試して、自分の好みの染め具合を見つけてください。草木染めは植物の薬効を取り入れると伝承で言われてきました。講習に参加した方も『素材のパワーをもらえる気がします』と感想をくれるんです」。
※4 乳幼児がいるご家庭では、誤飲に注意してください。
【取材協力・写真提供】
WAVERweaver秋田じゅんこ
甘利翠