知っておきたいほうれん草の基礎知識
ほうれん草は、中央アジアを原産地とするアカザ科ホウレンソウ属の植物です。栄養価が高い野菜としても知られており、ビタミンAやビタミンC、カロテン、鉄、カルシウム、マグネシウムなどを含んでいます。
また、ほうれん草は、東洋種と西洋種の2種類があります。現在は、両方の特性を活かした交雑種が多く販売されており、耐病性があって栽培しやすいのが特徴です。
東洋種の特徴
・葉の先がとがっている
・根が赤い
・葉肉が薄い
・味が淡白なので和食向き
西洋種の特徴
・葉の先が丸い
・根元の赤味が淡い
・葉肉が厚い
・味が濃いので炒め物向き
ほうれん草の栽培時期
ほうれん草は冷涼な気候を好むため、寒さが増して霜に当たることで甘みが増します。ほうれん草の発芽や生育には15~20℃が適しており、夏の時期の栽培は難しいとされてきましたが、品種改良により通年出荷されるようになりました。
ほうれん草の種まきは、春まき・夏まき・秋まきと時期をずらして何度も栽培する方法がとられています。寒冷地や冷涼地では4~5月・6~9月・9~10月、一般地では3~5月・7~9月・9~11月、暖地では2~4月・8~9月・9~1月に種まきが行われます。時期によって変動がありますが、種まきから1~2カ月ほどで収穫が可能です。
夏まきできるほうれん草の品種
ここでは、特に夏まきに適している「アクティブ」「ジャスティス」「ミラージュ」という三つの品種について紹介します。
アクティブ
アクティブは、葉が黄色く変色し、しおれてしまう「萎凋病(いちょうびょう)」に対して強い耐性があります。生育スピードは遅めで、低温期は特にゆっくり育ちますが、春から夏には、25~28日ほどで収穫できます。葉は浅い切り込みがある広葉で、味が良いことでも知られています。
ジャスティス
ジャスティスは、アクティブ以上に萎凋病に強い耐性を持ち、白や黄色の斑点ができる「べと病R-1~9、R11~16」にも抵抗性があります。葉は、色が濃く滑らかな剣葉で、とがった葉先には浅い切り込みがあります。夜間の高温期が続いても、生育遅延などが起きにくい耐暑性を持ちます。種まきから収穫までの期間も短とされ、収量性にも優れています。
ミラージュ
ミラージュは、耐暑性に優れているため、暖地では7月中旬~8月下旬、寒冷地では7月中旬~8月中旬の種まきが適しています。アクティブ以上に萎凋病に強く、べと病R-1~7に抵抗性を持っています。
葉は濃い緑色で、滑らかな剣葉をしていて、葉先がとがっています。アクティブやジャスティスと違い、はっきりと切り込みが入っているのが特徴です。耐暑性があるので、高温期でも生育遅延などの障害が起きにくく、夏場でも安定的に収穫ができるでしょう。
プランターでの栽培方法
ほうれん草はプランター栽培が可能なため、日当たりのあまり良くないベランダなどでも丈夫に育ちます。
ここでは、プランターで栽培するために知っておきたいポイントを紹介します。
1.プランター選び
ほうれん草は根が深く伸びるため、根がプランターの底に当たって生育不良を起こしてしまわないように、深さ20~25センチの物を選びましょう。10リットル以上の容量があるプランターは、水持ちが良いため育てやすいのでおすすめです。
2.土づくり
土づくりの手間を軽減するためにも、市販の培養土を利用すると便利です。軽石をプランターの底に敷き、1~2センチの「ウォータースペース」(プランターの上縁から土の表面までの空間)と呼ばれる空間を設けて、培養土を入れます。ウォータースペースをとることで、水やりの際に土の流出を防げます。
3.管理方法
発芽するまでは土の表面が乾かないように水やりを行い、発芽後は乾いたら水やりをしっかりするようにしましょう。
湿気に弱い性質があるため、本葉が5枚くらいまでは、水やりは控えめにすると根がよく伸びます。
最初の間引きは、双葉が完全に開いてから株間が3~4センチ間隔になるように行い、より大きく育てたいときには、6センチ間隔で2回目の間引きを行います。ほうれん草は光の影響を大きく受けるため、街灯や室内の照明などの影響も考えて置き場も考えるようにしましょう。
4.収穫
品種にもよりますが、夏まきと秋まきは、種まきから約30~40日で収穫できるまで成長します。収穫のタイミングは、草の丈が25センチ程度に育った頃が目安です。葉が折れないように株元の土を押さえながら引き抜くか、株元から切って収穫します。
自宅で栄養たっぷりのほうれん草を育てよう
ほうれん草は、春・夏・秋と、種まきの時期が複数回ありますので、家庭菜園を始めやすい野菜の一つです。
また、種まきや収穫したい時期に合わせて品種を選ぶことで、一年中、自宅で育てたほうれん草を楽しむことができるでしょう。サラダや煮浸し、炒め物など、調理方法も簡単なので、手軽に栄養をとることができます。調理前にアク抜きをすることで、カルシウムの吸収を妨げるシュウ酸を取り除くことができるので、必ず行うようにしましょう。